発想を変えて「下請け」という立場を生かし、独自の生き方を模索する;自社の得意技術で顧客を獲得
製造業は34年間続いたデフレマインドから脱却するためにマインドチェンジが必要
と言われています。
そこで、これからの時代の、経営者・管理者の役割について考えてみたいと思います。
日本は、34年間続いたデフレから脱却の兆しが見え始め、製造業においても従来の
受注型部品加工から、付加価値のある製品・サービスへの転換が求められています。
この転換を成功させるためには、経営者を始め管理者・一般社員までが以下の重要な
ポイントを意識する必要があります。
1. 変化する顧客ニーズの徹底的な理解
安くて、良いモノを、納期通りに納入するといった、単に表面的な要求を満たすだけ
でなく、潜在的なニーズを掘り起こし、顧客の課題解決に貢献できる、高くても売れ
る製品・サービスを開発します。
それには、顧客との密なコミュニケーションを通じて、ニーズを正確に把握し、また
市場動向を常に把握します。
2. 技術・組織・そしてマネジメントの強みと弱みの分析
自社の強みと弱みを把握し、競合との差別化ポイントを明確にし、独自の技術やノウ
ハウ、経験などを活かして、競合が真似できない付加価値を提供します。
それには、SWOT分析により自社の強みを生かし・弱みを克服することが必要に
なります
3. 社員自ら自覚し意識改革を
従来の受注型生産から、付加価値創造への意識改革を徹底します。従業員が自社の
製品・サービスの価値を理解し、顧客目線で考えるように教育します。
工場の業務改革を進め、効果を出すのは一朝一夕には実現が困難です。
そこで、近い将来、会社の目指す目標に向かって成長する組織の考え方と行動とは
どのようなものか?について実践的な教育が必要です。
4. 10年変わらない組織は不祥事や惰性の温床
柔軟な意思決定と迅速な行動ができる組織体制を構築すると同時に組織の目的・目標
を達成するために必要な、人材やスキルを育成します。
長年にわたって、組織図が変わらない企業では、時代に取り残された硬直した組織
風土となって不祥事が発生しやすくなります。また、多様な、しかも変化の速い
市場に機敏に対応するには、従来の組織構造では対処が難しくなって来ています。
では、環境の変化に柔軟に対応し、付加価値を生み出す組織とはどのような組織で
しょうか?
5. 全国・世界に目を向けたマーケティング戦略の策定
顧客に自社の製品・サービスの価値を効果的に伝えるマーケティング戦略を策定
します。
これからの製造業は、既存の取引先から受注を待っているだけでは売り上げは伸び
ません。デジタル技術を活用した販路開拓や顧客とのコミュニケーションを積極的
に行うことが必要となっています。
6. 経営者と管理者こそ率先垂範
経営者と管理者が率先垂範し、付加価値創造への意識を高め、従業員にビジョンを
示し、挑戦を促します。
そのためには、経営理念と具体的な目標を社員に明示します。それが事業活動の
第一歩といえます。それらが力強く社員に語りかけられ、訴え続けられて、組織の
すみずみまで浸透し、それぞれの目指すべき方向が明確になれば、それが精神的
支柱、判断のよりどころとなって、経営者のみならず社員の行動、信念に力強さ
が生まれてきます。
7. 外部支援組織との連携
大学や研究機関、コンサルタントなど、外部の専門家との連携を積極的に行います。
また、資金調達や人材育成などについても、外部の支援を活用していきます。
8.長期的な視点と継続的改善
以上、様々な取り組みについて解説しましたが、付加価値創造は、短期間で達成
できるものではありません。長期的な視点に立って、計画的に取り組む必要が
あります。
市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて、製品・サービスを常に改善していく、
失敗を恐れず、新しいことに挑戦し続ける、これらのポイントを意識し、経営者
と管理者が一体となって取り組むことで、製造業は付加価値創造を実現し、競争
力を高めることができます。