製造現場に協働ロボットを導入する手順、導入効果とメリット、デメリットを検討する
製造業のGDPは全産業の2割程度を占めています。就労人口も同じように全産業
の2割弱の割合となっていることから、製造業は現在も日本の基幹産業の一つと
なっていることが分かります。
★参考記事
https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html
1.人材不足の解消に向けて
現在の製造業を巡る大きな課題になっているのは、「人材不足」です。
昨今のように経済が活況を呈しても、ものづくりに携わる人材が不足している状態
では、経済成長を支えることができません。現場レベルで生産性を上げることに
よる対策ももちろん大事ですが、経営レベルで生産性を上げるという視点も非常に
重要です。
人材確保は「現場力」の維持・強化を図る上での最も大きな課題です。現在は、
定年延長等によるベテラン人材の活用の取組等が行われていますが、今後は、
ITやロボット等を活用した合理化・省力化に取組の重点が移ると考えられます。
2.新しい付加価値の創出、最大化
経産省が昨年12月に実施した調査では、2/3の企業が製造現場で何らかデータを
収集しています。(大企業88%、中小企業66%)
しかし、データの利活用を主導する部門は、53%が経営層ではなく、現場サイド
主導でのデータ収集・活用となっています。
経済のデジタル化が進展する中、付加価値向上に向けた経営上の重要なツールで
あるデータ収集やIoTの利活用が、「経営戦略的観点」から行われていない可能性
が高いのです。
データ取得が現場主導のボトムアップアプローチの場合、生産現場の合理化等の
生産性向上には活用されるが、ビジネスモデル変革等による新たな付加価値の
創出につながらないという懸念があります。
3.スマート工場の実現
スマート工場とは、工場内のオートメーション化を高度に進めた上で、さらにIoT
技術を活用して工場内設備・システム・センサーなどをインターネットで接続し、
総合的に管理することにより、生産性向上につなげるという考え方です。
第4次産業革命と呼ばれる流れの中の一つの取組であり、アメリカやドイツなど
でもすでに同様の取組が行われています。
スマート工場が実現すれば、工場の在り方や情報伝達、生産性や品質向上などに
大きな変革をもたらす可能性が拡がり、下がったのではと危惧されている現場力
を再構築することにもつながります。
しかし、スマート工場を推進するにあたっても人材不足という壁があるのが現状
です。現場のデジタル化が推進される中、優秀な人材を多く集めるとともに、
デジタルに強い人材やスキルを持った人材の採用や育成が急務です。
しかし、十分なデジタル人材を確保できていないと考えている企業が8割弱を占め
ているとされています。この点については、企業経営層だけでなく製造業全体と
して対策を行うべき課題であると考えられます。
4.まとめ
製造業はいま大きなデジタル変革期にあるといえるでしょう。このような状況下
で経営層に求められるのは、今が変革期であり危機感を持って変化に対応していく
必要があるという認識と、現場力の再構築(スマート工場化)に向けた課題を
解決できる経営力です。
スマート工場化、DX化を進めていくにあたっては、人材の問題や設備投資の問題
部門間での連携など、現場だけでは解決が難しい課題も多いです。これらの課題を
解決していくためのポイントは「経営層が危機感を感じ、それに対応する意欲が
あるか」です。
環境変化における危機感が強い企業ほど、設備や新しい取組に対して積極的な
投資やサポートを行う傾向が強いです。そのためまずは「変化の必要性」を経営
層がしっかりと認識することが大事です。
★参考記事
https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/503472293.html