新たに工場を建設し、運用するにあたって検討すべき重要項目、注意点等

濱田金男

濱田金男

テーマ:製造業の支援サービス

新たに工場を建設し、運用するにあたって検討すべき項目、注意点等について概要
を解説します。

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1.製造工程の求められる生産能力
生産量の目標を確定し、需要予測を行う。
生産ラインの効率や稼働時間を考慮して、必要な生産能力を計算する。
今後の拡張性を考慮し、将来的な需要にも対応できる設計を検討する。

2.必要設備、人員
生産工程に必要な機械や設備をリストアップする。
各設備の技術的な要件や保守計画を確認し、メンテナンス計画を策定する。
適切な人員配置とトレーニングプログラムを計画し、必要なスキルを
持つ従業員を確保する。
安全対策や緊急事態への対応計画を策定する。

3.製造工程の構成
製造工程の流れや工程間の依存関係を明確にし、効率的なプロセスを設計する。
各工程の品質管理手順を確立し、品質保証の仕組みを構築する。

4.初期費用
土地取得、建設、設備購入などの初期投資を明確に計算する。
資金調達計画を策定し、リスクを評価する。
地元の法規制や環境への適合性を確認し、それに伴うコストを考慮する。

5.ランニングコスト
設備の維持保守コスト、人件費、エネルギーコストなど、日常の運用に関わるコスト
を計算する。
原材料の調達先や価格変動に備え、サプライチェーンのリスクを管理する。
エネルギー効率の向上やリサイクルの導入など、持続可能性を考慮してコスト削減策
を検討する。

6.その他
地元社会とのコミュニケーションや協力を図り、地元コミュニティに与える影響を
考慮する。
税制や補助金、労働法規制など、地域ごとの法的要件を把握し、遵守する。
災害対策や緊急事態への対応策を策定し、事業継続性を確保する。
これらの項目を綿密に検討することで、新しい工場の建設と運用を成功させるため
の基盤を築くことができます。

次に、機械装置などの新製品の製造工程設計、生産ライン設計において生産ライン
の方式、必要設備、必要人員、スキルの明確化など、必要な検討事項、その注意点
などを項目別にまとめてみます。

1.生産ラインの方式
連続生産ライン vs. バッチ生産ライン
連続生産は大量生産向きであり、バッチ生産は製品の多様性や柔軟性に適している。
製品特性と市場の需要に応じて最適な方式を選択する。

2.自動化レベル
自動化の導入には高い初期投資がかかるが、生産性向上や品質の向上が期待できる。
ただし、保守やトラブルシューティングにもリソースが必要なため、バランスを考慮
する。

3.生産機械とツール
各生産工程に必要な機械やツールを選定する。技術的要件や製品仕様に適合している
か確認する。

4.原材料の取り扱い設備
原材料の適切な保管・取り扱い設備を確保し、品質の劣化や汚染を防ぐ。

5.検査および品質管理装置
検討事項: 製品の品質を確保するための検査および品質管理装置の導入を検討する。

6.必要人員
①運転・監視スタッフ
生産ラインの運転やトラブルの監視を担当するスタッフの配置とトレーニングを確保する。

②メンテナンススタッフ
機械や設備の定期メンテナンスや修理を担当するスタッフを配置し、適切なメンテナンス
スケジュールを設定する。

①スキルの明確化
トレーニングプログラム
必要なスキルセットに基づいたトレーニングプログラムを設計し、従業員のスキルを
向上させる。

②チームワークとコミュニケーション
異なる部門間の効果的なコミュニケーションとチームワークが必要。
専門職のスキルと共通の理解を確保する。

③問題解決スキル
トラブルシューティングや品質問題に対処できるスキルを持つ従業員を確保し、問題
発生時の対応手順を確立する。
次に、新規に製造設備を導入する際の注意点ついて列挙します。

1.技術的適合性
導入する製造設備が製品仕様や生産プロセスに適合していることを確認する。
最新の技術や業界標準に合致しているかを検討し、将来の技術進化にも対応できるか
評価する。

2.生産能力と拡張性
設備の生産能力が予測される需要に対応していることを確認する。
将来的な拡張や増産の可能性に備え、設備の拡張性を考慮する。

3.コストとリターンオンインベストメント (ROI)
導入コストと期待される収益、効率向上を評価し、リターンオンインベストメントを
算出する。
長期的な視点でコスト対効果を検討し、製造設備の寿命やメンテナンスコストも考慮
する。

4.設備メンテナンスと保守
メンテナンスの容易さや頻度を確認し、設備の稼働率を維持できるように保守計画を
策定する。
メーカーからのサポートやアフターサービスが十分に提供されるか確認する。

5.スキルとトレーニング
従業員が新しい製造設備を適切に操作できるよう、トレーニングプログラムを用意する。
設備メーカーが提供するトレーニングやドキュメンテーションを活用する。

6.エネルギー効率と環境への影響
設備のエネルギー効率を評価し、省エネ対策を検討する。
環境への影響を評価し、法規制への適合性を確認する。

7.法的・規制要件の遵守
地域や業界の法的な要件や安全基準に適合しているか確認する。
必要に応じて許認可手続きを行い、規制要件を遵守する。

8.サプライチェーンのリスク
設備や部品の供給源を確認し、サプライチェーンのリスクを評価する。
予期せぬ供給の中断に対処するためのバックアッププランを用意する。

これらの要点を考慮することで、新しい製造設備の導入がスムーズかつ成功裏に行わ
れるでしょう。
ロボットやIOT、画像処理機器など最新技術を導入する場合、特に注意する点につい
て述べます。

1.技術の適合性とニーズの評価
導入する技術がビジネスのニーズに適合しているか、具体的な目標や課題解決に寄与
するかを確認する。
プロジェクトのスコープと技術のスコープを整合させ、無駄な導入を避ける。

2.スキルとトレーニング
従業員が新しい技術を理解し、操作できるように十分なトレーニングを提供する。
技術の導入に伴い、必要なスキルセットがチームに備わっているか確認し、必要なら
ば新たな採用や外部トレーニングを検討する。

3.データセキュリティとプライバシー
IoTや画像処理など、データが関与する技術の導入においては、データセキュリティ
とプライバシーの確保が重要。
適切なセキュリティプロトコルや暗号化手法を導入し、規制要件に遵守する。

4.システム統合と互換性
既存のシステムやプロセスとの適切な統合を確認し、シームレスな動作を実現する。
ベンダーや機器間の互換性を確認し、問題が発生した場合の対処策を考慮する。

5.リスク管理とトラブルシューティング
技術の導入に伴うリスクを評価し、トラブルシューティング計画を策定する。
システムの停止やデータ損失などの緊急事態に対処するための対策を用意する。

6.コストとROIの評価
導入にかかるコストを正確に算出し、リターンオンインベストメントを検討する。
長期的な利益や生産性向上を見越してコスト対効果を評価する。

7.規制と法的要件の遵守
IoTやデータ処理技術に関連する法的要件や規制に適合するための措置を講じる。
データの蓄積や取り扱いにおいて国内外の法律を考慮する。

8.供給チェーンとサポート体制
導入する技術のベンダーが十分なサポートを提供できるか確認する。
供給チェーンの安定性や将来的なサポート体制を評価し、事業継続性を確保する。
これらの注意点を考慮することで、最新技術の導入を効果的かつ安全に行うことが
できます。

流れ生産(ジャストインタイム生産)と多品種少量のロット生産は、異なるアプローチ
を取る生産方式です。以下にそれぞれの特徴や比較点を示します。

1.流れ生産(ジャストインタイム生産)
①特徴
生産ライン上に無駄がなく、一貫した流れが実現される。
在庫を最小限に抑え、需要が発生するまで生産しない。
生産工程や資材供給が均等に調整され、タイムラグが極力ない。

②生産ライン方式
単一の生産ラインがあり、製品が次々と製造される。生産工程は効率的で継続的。

③生産管理方式
カンバンやトヨタ生産方式など、リーン生産の原則を採用。
予測よりも実際の需要に基づいて生産が行われるため、過剰在庫を抑えることができる。

④利点
在庫が最小限でコストが削減される。
生産の迅速な調整が可能で、需要変動に迅速に対応できる。
不良品やムダを最小限に抑える。

⑤課題
高い生産ラインの柔軟性が求められるため、導入や変更にコストがかかることがある。

2.多品種少量のロット生産
①特徴
製品のバリエーションが多く、多様な製品が同時に生産される。
少量ずつのロットで生産され、在庫が生じることが一般的。

②生産ライン方式
複数の生産ラインやセルが並行して運用される。
製品ごとに生産工程が異なる。

③生産管理方式
MRP(Material Requirements Planning)などの計画に基づく生産管理が用いられる。
予測に基づいて材料や生産スケジュールを計画し、在庫を維持する。

④利点
多様性に対応し、市場の多様な需要に迅速に対応できる。
製品切り替えが比較的容易。

⑤課題
在庫の増加や仕掛品の蓄積が発生しやすく、コストがかかる。
生産の変更に時間がかかることがあり、生産ラインの効率が低下する可能性がある。

3.比較
①在庫管理
流れ生産は在庫を最小限に抑え、需要に応じて生産するため、在庫コストが低減される。
ロット生産は多品種や少量の生産ロットが多いため、在庫を一定程度維持することが
一般的。

②柔軟性と迅速な対応
流れ生産は需要変動に素早く対応できるが、生産ラインの柔軟性が求められる。
ロット生産は多品種の製品を同時に扱える柔軟性があり、製品切り替えが比較的容易。

③生産スケジュールの安定性
流れ生産は需給のバランスが取れるため、生産スケジュールが安定しやすい。
ロット生産は需要の変動に合わせて柔軟に生産するため、スケジュールの不安定性が
生じることがある。

どちらの生産方式が適しているかは、製品の特性や市場の要求によります。多様な製品
を効率的に生産する場合にはロット生産が適している一方、需要変動に迅速に対応し、
在庫を最小限に抑えたい場合には流れ生産が有利です。

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濱田金男
専門家

濱田金男(企業経営コンサルタント)

合同会社高崎ものづくり技術研究所

大手電機メーカーで設計、製造、品質管理に長く携わり、中国工場立ち上げ、韓国での生産ライン効率化など海外支援実績も多数。新しい時代を見据えた工場改革、付加価値向上と人材育成で、ものづくりの現場をサポート

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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