色欲に駆られる
子どもの自立を促す上で、「自分で考え、判断し、行動すること」を大切にすることは、とても大切な事です。
でも、子どもにしたいことを聞き、「子どもがしたいことをさせること」とは異なります。
「したい」と言うのは、感情に基づいた考えになります。
これを続けると、感情が優先される生き方を後押しする事になります。
感情は欲求とのつながりが強く、マズローの欲求の5段階説(5段階・・・最も低い段階から順に、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求)でもわかるように、子どもが求める欲求は、必ずしも、自立の方向にならない事があります。
満たされていなければ、今のレベルよりも、低いレベルの欲求を求めることになり、自立の方向とは、真逆の方向(依存の方向)に流れていきます。
例えば、
勉強した方がよいとわかっていても、家庭内にトラブルがあり、不安を抱えていれば、承認欲求や自己実現欲求を目指すよりも、安全欲求や承認欲求を求める事になります。
「勉強したい。(しなければならない。)」と言う方向が「家族から愛されたい。」「私のそばにいてほしい。」と言う方向に子どものしたい内容が変わってしまいます。
それが満たされなければ、感覚に訴えて、「おなかがいたい。」「眠れない。」など体調を崩してまで、こちらに向かせようとします。
また、自立心が芽生え始めるころになると、わざわざ抵抗してこちらから目を離させないようにします。
つまり、「子どもがしたいことをさせる」前提が整っていないと、自立できない全く真逆な「自立できないで依存心の強いわがままな子ども」を育てる事になります。
ストレス過多の時代を考えると、家庭において、しわ寄せは、弱者である子どもが引き受ける事になります。
子ども自体がストレスを抱えやすくなっている中で、「子どものしたいこと」は、自己実現に向かうのではなく、安全欲求や承認欲求を求める事が多くなります。つまり、依存の方向に流れやすくなります。
私は、不登校の子どもの増加は、このことを物語っていると考えています。
(根拠はありません。私の体験経験からの考えです。)
それでは、どうすればよいのか。
指示や命令で子育てをすればよいのかと言えばそれは、違います。
やはり子どもの意思を大切にしなければなりません。
そのためには、自己実現に向かっていく方向への声かけが必要です。
例えば、
親「何をしたいの?」
子「〜をしたい。」
親「何のためにそれをしたいの?」(何故そうしたいのか?)
と、欲求の目的を聞き出す声かけが必要になります。
目的や目標に向かって歩み出す事が自立につながります。
(子どもが、目指す目的、目標があるかを確認する事)
子どもが、返事に困ったり、親の願う返答でない事があっても、それを受け入れるしかありません。
その時には、「まだ、この子には、下位の欲求が満たされていないのだ。」ととらえて、子どもが安心して、自己実現が目指せる環境を整える努力をする事になります。
例えば、
・子どもと一緒に過ごす時間を増やす。
一緒にする(遊び、料理、掃除、洗濯物たたみ、整理整頓など)
・身体を触れ合う
ハグ、手を繋ぐ、頭を撫でる、入浴、添い寝など
・愛情を感じる声かけをする
「愛しているよ。」「一緒にいたいよ。」「一緒〜しようよ。」「あなたがいないと悲しい。」「一緒にできて嬉しい。」など
などです。
もし、目標や目的が明確であれば、子どもの願いが叶えられるように、フォローする事になります。(子どもの願いに合った環境づくりをする事)
わたしたちは、環境に大きく影響されて生きています。自立を目指す子どもにとっては、家庭の環境が特に大きな影響を与えます。
私は、愛情溢れた家族関係が子どもにとって一番大事だと思います。
そこには優れた自立した大人(親)が、見本としていてくれます。