甘えの功罪

須田敏男

須田敏男

テーマ:生き方

 人間一人では、生きていけないので、他者と上手く関わりを持ち、充実した生活をしたいと思っています。

 互いに助け合う関係の中で生まれてくる信頼関係があると長く関わりを持ち、いざという時にも役に立ちます。

 自分の都合のいい関わり方をしていると、相手からしてみると「使われている」と感じ、信頼関係ではなく、義務や責任でつながるだけで、その場限りの付き合いとなり、長続きしないように思います。

 「使われてもいい。それが相手のためになるのであれば・・・。」
と思う方はどれほどいるでしょう。
 中には、「使われて損をした。」と思う人もいるかもしれません。

 ただし、愛情が絡んでくると、「使われてもいい。それが相手のためになる」と思う事ができます。
 
 子育てをする立場にある方の多くは、「子どものために」と愛情に満ちた対応をされ、見返りを求めることはなく、「損をした。」とは思わないかもしれません。

 子どもからすると、制約が少なく、思い通りになる事が多く、自由でのびのびと安心して生活する事ができます。
 
 これが行き過ぎると「甘え」となり、依存が強くなり、自立が遅れていくように思います。

 また、支える側にも、依存が強くなります。頼られる事で、つながりが、密になっていくと感じる事が多くなり、子どもから離れる事ができなくなります。

 互いの自立のために「甘え」はほどほどにしなければなりません。

 私の地域の成人式に参加する親の数が昔と比べるとかなり多くなったことからも、子どもとのつながりが強くなっている事が、よくわかります。
 「甘え」「甘えられ」の関係の強さを感じます。

 大人になっても「甘え」が強く残っていると、自由だけが強調され、それに伴う義務や責任を負う事が軽視され、相手に責任や義務を負わせる事になってしまいます。

 対等な人間関係では、甘えではなく、相手に迷惑をかけられないとの思いから、責任や義務を果たす事になります。
 これが、相手を思い遣る気持ちにつながっていきます。

 甘えられるだけ甘えさせ、「自由には責任と義務が伴う」ことを伝えないまま子どもを育てるとわがままになるだけのように思います。

 自分の思いが通らないと、「通さない相手が悪い。」と平気で主張する姿を見ると、「甘え過ぎ」ではないかと感じます。

 この姿勢は、親だけに留まることなく、誰に対してもその姿勢は貫かれ、人間関係が上手く築けない事にもなりかねません。

 思いが通らないのは、
 「上司が悪い。」「会社が悪い。」「行政が悪い。」「社会が悪い。」
 となり、相手を責め、自分自身の責任や義務に目を向けられない姿を見ると、とても心配になります。
 
 コロナ禍以降、「甘え過ぎていませんか。」思う出来事が増えた感じがします。

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須田敏男
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須田敏男(メンタルヘルスサポーター)

あすなろ教室

 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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