言葉を選ぶ
NHK クローズアップ現代「子どもたちは 放課後どこへ」では、学童保育の危機的な状況を伝えていました。
そして、子どもたちの幸せのための法整備も進んでいる状況の中で、社会全体で取り組む必要性を提案されていました。
その中で、子どもをもつ親と行政、そして、子どもと関わる現場の方々の具体的な取り組みを紹介されていました。
どんな形になるかわかりませんが、現実的には、まだまだ先になる話のように思えてなりませんでした。
そして、私には、子どもにとって、放課後の生活が、安全で自由な生活になる事がよいと訴えているように映りました。
個人的に子ども預かりをしている立場から考えると、わがままな子に育てる事が目的ではないので、「したい事はするが、しなければならない事もする子」に育てる事が重要だと思います。
その点から考えると、番組に少し違和感を感じました。
それぞれの地域には、それぞれの状況があり、一律に対応する事はできませんが、根本的に「子どもを預かる(預ける)」姿勢でいるか、それとも、「子どもを育てる」姿勢でいるかによって、対応にかなり大きな違いが生まれます。
子ども同士のトラブルは、どの状況であっても発生します。
そのトラブルを子ども自らが向き合い、解決しようとするのか、それとも管理する者が、トラブルが起きないように改善策を練るかは、全く対応が違います。
目指すは、子どもの自立です。
したい事だけをさせようとするから、子どもたちは、トラブルを自らの問題と考えず、他人や環境のせいにします。
子どもたちが、自己主張し合えば、問題が収まるどころか、問題が複雑になり大きくなります。
この状況に、管理者として責任を感じ、少しでもトラブルをなくすように対応を考えることになります。
また、子どもを預ける親もトラブルが起きない方が安心できるため、管理者に対応を求めます。
これは、「子どもを預かる」「子どもを預ける」との立場なら、当然です。
でもこれでは、子どもはいつまで経っても自立できません。
子どもを過保護にする事ではなく、子ども自ら考え、判断し、行動するための環境が、目の前に現れていると考える事が、子どもの自立を目指す事になります。
狭ければ狭いなりの過ごし方を考える子にならなければ、環境に適応できる子にはなりません。
子ども自身が問題と向き合っていかないと不満が募るばかりです。
問題が起きた時こそ、子どもが育つチャンスです。そのチャンスを活かすと、子どもは、過ごし方を考えます。
・時間の使い方
・場の使い方
・ルール作り
など、子どもなりに精一杯考えます。
決めたら、それを守ろうして動き出す組織ができます。
その場で、子どもが育ちます。
それよりも、もっと大きな問題が、潜んでいます。
子どもの預かりは、家庭に子どもが帰るまでの一時的な場です。
家庭に帰った後の子どもや親の家庭生活に負担がかかり、家庭生活にしわ寄せができては、預かりがマイナスに働きます。
預かりの時間の中で、子どもが家庭ですることの負担の一部を解消する事ができれば、家庭生活の負担が少なくなります。
子どもが、遊びたいだけ遊び、やりたい事だけやり、しなければならない事は家庭に帰ってからするという生活では、親の負担は、軽減されず、逆に負担を増すことになります。
(遅く帰ってくる分、短い時間で対応するとか、遅くまで対応しなければならないことになる事が予想されます。)
預けることを親の負担を減らすことにするためには、家庭に帰ってからの子どもの生活を見通した対応が、学童保育では必要かと思います。
そのためには、
「子どもたちが、家庭に帰ってからしなければならないことは何か?」
を考え、その1つでも学童保育の中でしておく事が重要かと思います。
それも、子ども自身が、それをする事が、家族のために大事な事だと考え、取り組む事が必要です。
管理する側が、指示や命令ですることではなく、子ども自ら考え、判断し、行動する事が、子どもの自立につながります。
「あなたが、頑張ってくれたから、助かったわ。」と親が、子どもに感謝できる家庭生活を送る事ができた時、「子どもを預けてよかった。」と思うのではないでしょうか。
単に「親がいない時間を預かる、預ける」でなく、「子どもを一緒に育てる」という意識をもつことが必要かと思います。
ちなみに、あすなろ教室では、子どもが家に帰ってからする事を「勉強」「遊び」「仕事」「読書」などと考え、子ども自身が、スケジュールを立てて、それに合わせて生活するようにしています。
帰る前に振り返りをし、自分の生活ぶりを見直します。
自立を目指してこのように取り組んでいます。
「家でする事が済んでいるので、家族団欒の時間になっているので助かります。」
と保護者の方から声が頂く事があります。
今子どもたちは、畑で野菜を収穫し、野菜を家に持ち帰っています。これも保護者に大変喜ばれています。
家族の一員として、どの子も自分の生活作りに頑張っています。
私は、家庭生活を支えている実感を得ながら、子ども預かりを楽しんでいます。