いろいろな顔
甘えん坊で、困った事があるとすぐに助けを求め、自分の思い通りにならないと、すぐに癇癪を起こす子がいます。
できないと思うと、全てをダメにしてしまい、積み上げる事がなかなかできません。
例えるならば、積み木を数段積んで、思い通りに積み上がらないと、全て壊して、毎回0から積み上げるような感じです。1段でもうまく積み上がったところがあればそこから積み上げればよいのに、そんな事はしません。
できないと思った瞬間に、嫌な感情が湧き上がり、その感情を抑える事なく、すぐに行動に移してしまっているように感じます。
冷静になって落ち着くまで待ってから対応する事も一つの対応の仕方ですが、そんな余裕がありませんでした。
今回は、本気で叱る姿を見せて、甘えを許さない真剣な姿を子どもに示してみました。
きちんと正座をし、対面して、睨みつける様相をし、きちんと私ち向き合うことを要求しました。
「これまでの対応と違うぞ。」と思ったからでしょうか、
真剣さが少しずつ増して、こちらをきちんと見てくれました。
そこで、次のような話をしました。
「あなたは、一度山を登ったにも関わらず、同じくらいの高さの山なのに、山を変えただけで、山に登れないと言っているようなものだ。
山に登る力があるのに、もったいない。
今やった勉強でもそうでしょ。ヒントを出しただけで、自分の力で、最後までやり切ったでしょ?
あなたには、やり切る力があるのに、問題が変わっただけなのに、どうして、ヒントも聞こうとせず、『僕には、無理、できない。』と決めてしまうの?ヒントを聞けば、きっとできるはずだよ。」
神妙に聞いていましたが、急にその場を離れ、下敷きやノート、鉛筆を用意して、私のところに戻ってきました。
そして、ヒントを聞こうとしてくれました。
このときには、嫌がって逃げ出した気持ちはなく、何とかやってみようとする、とてもいい顔になっていました。
じっくりとヒントを聞き、一生懸命に取り組み始めました。
何とか、私の気持ちが伝わったようです。
これから困難なことがあっても、逃げる事なく、自分を信じて、課題と前向きに関わってもらいたいと思いました。
ふと振り返ってみると、いつもなら間違えるとすぐに泣き出した子が、今日は泣かずに最後までやり切る事ができていました。
「今日は、泣かずに最後までがんばったね。」
と褒めたばかりでした。
場の雰囲気が、本来もっている子どもたちの力を発揮させてくれたように思えてきました。
自分の力には、限界があります。諦める事なく、何とか現状を変えたいと、願い続けた事が、このような子どもたちの姿になったように感じました。
そして、子どもたちの力を信じて、諦める事なく、指導し続けたいと思いました。
日頃から、子どもたちに「逃げない、誤魔化さない、嘘つかない」と言っている事が、自分への声かけのように思えてきました。