旅館業許可で求められる「建築士の確認書」とは?発行できる建物・できない建物

松本直樹

松本直樹

テーマ:用途変更・旅館業許可


旅館業許可で建築士確認書が求められるケースが増えています

直近で、旅館業許可や簡易宿所の申請において、

「建築基準法に適合していることが分かる資料」
「建築士による確認書」

の提出を求められるケースが増えています。

実際に当事務所にも、旅館業許可を進めている事業者様や、連携させて頂いている行政書士の方からご連絡頂いており福岡県内だけでなく、他県の案件でも同様に、旅館業許可の手続きの中で下記の確認を求められています。

「保健所から建築士の確認書を求められた」
「200㎡以下なので確認申請は不要だと思っていたが、確認資料を出すように言われた」
「建物が旅館業として使えるか、建築士に確認してほしい」
といった内容です。

ここで重要なのは、
旅館業許可の窓口で求められているのは、単なる間取りの確認ではないという点です。

旅館業として使用する建物が、不特定多数の方が利用する施設であり、
建築基準法上の用途、避難、防火、採光、換気、構造、既存建物の適法性などの面で問題がないかの確認なのです。
特に、既存住宅やマンションの一室、古い戸建てを旅館・簡易宿所として活用する場合は、建物ごとに状況が異なります。

そのため、「確認書だけすぐに発行できます」というものではなく、まずは建物資料や現況、保健所から求められている内容を確認したうえで、確認書の作成が可能かどうかを判断する必要があります。

【関連記事】
旅館業許可を取得する場合は、200㎡以下であっても建築基準法の適合確認が求められるケースがあります。 詳しくはこちらの記事もご確認ください。
旅館業許可時の建築基準法適合確認が重要に|200㎡以下でも建築士の証明が求められます

「200㎡以下だから確認申請不要」とは限りません

旅館業・簡易宿所の相談で多いのが、
「200㎡以下だから確認申請は不要ですよね?」というご質問です。

たしかに、用途変更する部分の床面積が200㎡以下の場合、建築基準法上の用途変更確認申請が不要となるケースはあります。しかし、ここで注意が必要です。

確認申請が不要ということと、
建築基準法に適合しなくてよいということは、まったく別の話です。

特に注意が必要なのが、
200㎡以下の専用住宅を、旅館・簡易宿所などの宿泊用途に変更する場合です。

専用住宅として使う場合と、旅館・簡易宿所として使う場合では、建築基準法上で確認すべき内容が変わります。住宅の基準では問題がなかった建物でも、旅館として使う場合には、
変更後の用途に応じた規定に適合しているか?
を確認しなければ、法適合とは言えないからです。その為、法適合するにはどの様な是正工事が必要かを計画前に判断する事をお勧めします。

住宅と旅館では、求められる基準が違います

専用住宅は、基本的に家族など特定の人が継続的に住むことを前提とした建物です。
一方で、旅館・簡易宿所は不特定多数の人が宿泊する用途となります。

そのため、建築基準法上は、避難・防火・採光・換気・排煙・内装制限・階段・廊下・竪穴区画など、住宅とは異なる視点で確認が必要になります。

たとえば、次のような点です。

宿泊室として使う部屋の採光・換気は問題ないか?
避難経路が確保されているか?
階段や廊下の幅、避難上の支障がないか?
内装材に制限がかかる部分はないか?
3階建ての場合、竪穴区画の検討が必要ではないか?
既存の増築や改修部分に違反がないか?
図面と現況が一致しているか?

つまり、200㎡以下で確認申請が不要な場合でも、
旅館として使う状態で建築基準法に適合しているか別途確認する必要があります。

工事内容によっては、大規模改修の確認申請が必要になります

もう一つ注意が必要なのが、用途変更に伴う改修工事です。

たとえば、旅館業や民泊として使うために、

  • 間取りを大きく変更する
  • 壁を撤去する
  • 柱や梁など構造に関わる部分を触る
  • 階段まわりを改修する
  • 屋根、外壁、床、階段など主要構造部を大きく改修する


といった工事を行う場合、用途変更の面積が200㎡以下であっても、別の理由で確認申請が必要になることがあります。

特に、建築基準法上の主要構造部について、修繕・模様替えの範囲が過半に及ぶ場合は、大規模の修繕・大規模の模様替に該当します。

確認書を発行する前に確認する資料

  • 物件所在地
  • 建物の構造、階数、延べ面積
  • 現在の用途
  • 予定している営業形態
  • 間取り図、平面図、配置図
  • 確認済証・検査済証の有無
  • 建築確認等台帳記載事項証明書
  • 登記事項証明書
  • 物件概要資料
  • 増築・改修履歴
  • 保健所から求められている確認内容

200㎡以下の住宅・マンション一室でも、保健所から建築士の確認書や建築基準法上の確認を求められるケースが増えています。 「確認書が出せるか分からない」「検査済証がない」「用途変更が必要か分からない」という段階でも、まずは一次調査で整理できます。
建築基準法適合確認の一次調査を相談する


次回は、200㎡以下の旅館への用途変更で注意したいポイントについて解説したいと思います。

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松本直樹
専門家

松本直樹(建築家)

株式会社松本再生建築研究所

福岡県を中心に、住宅・空家を旅館・簡易宿所等へ活用する際の用途変更、消防・保健所協議、改修計画を支援する建築士事務所です。200㎡以下で確認申請が不要なケースでも、旅館業許可前の法適合確認が重要です。

松本直樹プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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