フィッティングによる頂点間距離と度数変化
防曇コート、つまり曇り止めのレンズはいくつかあります。
購入された方や店頭などで試した人は、
息を吹きかけても曇らないことを確認されたと思います。
防曇コートの種類
防曇コートは大きく3種類くらいにわかれると思います。
①メンテナンスフリータイプ
②専用セリートによる定期的な清拭タイプ
③曇り止め剤の定期的な塗布タイプ
通常、防曇コートといわれると、①のメンテナンスフリータイプを考えると思います。
ただ、②③の場合も結構あると思うので、
購入後に、思ってたのと違うということは多くあります。
どれも一長一短なので、どれが良いとかは一概には言えないです。
なので、眼鏡店で、どういう特徴があるのかを、きちんと説明してもらってから、
購入するかどうかを検討する方が良いと思います。
通常のレンズに防曇効果は付与できる?
市販品として、防曇効果のあるセリートやスプレー、塗布剤はあります。
これらの商品は、通常のレンズに防曇効果のある薬剤が塗布されることで、
レンズは防曇効果を得ています。
そうなると、②③と同じではないかと思われるかなと。
この違いは効果時間にあると思います。
大抵、市販の後付けの商品は、洗浄などを行わないなら1~3日程度効果が続きます。
防曇コートのレンズの場合、同じく洗浄なしでは、1週間程度効果があると思います。
『1週間しか効果がないなら、あまり意味ないかな』と言われる方もおられますが、
1週間くらい経つと、レンズも汚れているので、レンズを拭くなら、
同じ作業ではないかなと思います。
ちなみに、通常の防曇効果のある商品を試したところ、
個人的にはジェルタイプの塗布剤が一番効果があったかなと感じました。
レンズが曇る理由と防曇コートの仕組み
メーカーによって仕組みや特徴が異なると思うので、
大体の説明になります。
まず、レンズが曇る理由については、撥水コートが原因です。
撥水コートは水をはじく効果があります。
水をはじくということは、小さな水玉ができるということです。
この小さな水玉が密集することで、曇りとなります。
例えば、金属板の表面に霧吹きで水を吹きかけると小さな水玉ができます。
浸透性のある布地に霧吹きで水を吹きかけると水が均一に染み渡ります。
金属板の場合が撥水効果、布地の場合が防曇効果と考えるとイメージしやすいと思います。
水中ゴーグルが水の中で曇らないのも同じ理由です。
撥水コートと防曇コートは両立できる?
今後、技術革新とともに、両立できるようになるかもしれないものの、
現時点ではメンテナンスフリーで、両立しているものはないと思います。
原理的に、撥水コートと防曇コートは反対の性質であるため、難しいはずです。
構造的に撥水コートが上になっていれば、防曇コートは意味がない。
防曇コートが上になっていれば、撥水コートの意味がないということです。
そのため、各レンズメーカーは
『メンテナンスフリー』『専用セリートによる清拭』『専用薬剤の塗布』
と試行錯誤を行っていると思います。
防曇コートの各タイプの特徴
メンテナンスフリーの防曇コートは、ハードコートの上に防曇コートがある構造になってます。
そのため、グレードで違いますが、マルチコートなどに比べて、傷に弱くなります。
ただ、市販のサングラスなどは、ハードコートのみやノンコートの場合が多いため、
それらに比べれば、多少は強いと思います。
専用セリートや専用薬剤を使用するタイプについては、
おそらくですけど、添着しやすい界面活性剤が使用されていると思います。
界面活性剤により、曇りがなくなるという原理です。
ちなみに市販の曇り止めの商品の主成分は界面活性剤がほとんどです。
全体的に、防曇コートのレンズはレンズに水分が染み込みやすいため、
水分が付着した際は、速やかに拭き取ってください。
そうしないと、レンズにシミが付きます。
まとめ
防曇コートは
①メンテナンスフリー以外に、専用セリートや専用薬剤を使用するタイプもある
②マルチコート、特にグレードの高いコーティングを使用しているレンズよりも傷がつきやすい
③傷つきやすいと言っても、市販のハードコートやノンコートのサングラスよりは強いと思われる
防曇コートは、その特徴についてきちんと聞いて、納得してから購入してください。
次回は、『レンズは店舗でどこまで削ってる?』