単焦点レンズのindividual
『私はメガネが合わない。だから、コンタクトレンズしか使えない』という方が、
稀におられます。
もちろん、円錐角膜など、メガネやソフトコンタクトレンズでは、
どうしようもないこともありますが、
大抵の場合、その方が合わなかったというメガネを確認すると、
レンズの中心がズレていることがあります。
レンズの中心?
加工前のレンズは、丸い形をしており、大抵の場合、その中心点が『レンズの中心』となります。
ただ、見た目ではわかりにくく、たまに大きくズレている場合があるため、
単焦点レンズでも、レンズメーターで印点しないと、わかりにくいと思います。
また、累進レンズなどの丸レンズの場合は、印字されているマークでは、
1mm以下でズレている可能性も考慮し、刻印されている隠しマークで確認します。
印字されているマークはあくまでも目安としている専門店が多いのではないかなと。
これが加工した後になると、10mm以上ズレていたとしても、
見た目ではほとんどわからないです。
フレームの中心がレンズの中心?
フレームにレンズを合わせる場合、その人の瞳孔に、レンズの中心がくるように加工します。
これをアイポイントといいます。
このアイポイントは、レンズの横軸がPD(瞳孔間距離)、
縦軸が遠用・近用・遠近とレンズの種類によって変わります。
つまり、単純にフレーム枠の上下の中心が、レンズの中心というわけではないです。
レンズの中心がズレているとどうなるか?
レンズの中心がズレると、『プリズムの発生』『度数変化』『乱視軸の変化』
『ユレ・歪みの増大』など、様々な問題が発生します。
人によっては、『疲れやすい』『違和感がある』『気持ち悪い』などの問題です。
ただ、多少の型崩れでは、特に問題を感じない人が多いため、
単焦点レンズなら、掛けられない程ではないという人も多いと思います。
これが、遠近レンズなどの累進レンズでは、
中心が左右にズレるのは多少見にくい、多少疲れやすいくらいと思いますが、
上下にズレるとかなり気持ち悪くなります。
累進レンズが上下にズレた場合、なぜ気持ち悪くなるかというと、その設計が原因と思います。
累進レンズは累進帯長の範囲で度数が変化しており、ユレ・歪みが少なくなるように、
複雑に設計が入っています。
それが上下にズレると、左右での度数変化そのものに差がでたり、
プリズムが発生したりと、問題が生じるということになります。
これは、左右の加入度(老眼の度数)を変えた場合も、
同様の問題が発生します。
レンズの中心を正確に合わせるために
加工は正確に行わないといけないため、レンズメーターを使って、印点を行います。
印点した後は、それを目印にキャップをつけ、加工機にてフレームに合わせるように切削します。
これらの工程で、印点・キャップ・切削の3回は中心からズレる可能性があります。
眼鏡作成技能士の多くが、印点の精度を気にするのは、切削が終わった時点で、
0.25mm~0.1mm以下でズレを抑えたいためであり、
ここまでの精度でメガネを作製すれば、型崩れなどで多少ズレたとしても、
誤差の範囲として、そこまで違和感は少ないと思います。
実際に、0.1mm以下のズレで作製する人が多いのではないかなと。
まとめ
・レンズの中心がズレているかは見た目ではわからない
・型崩れが起こると、中心がズレるので、早めに直した方がよい
・累進レンズで気持ち悪くなる場合、購入した眼鏡店で再確認してもらう
次は、『アジア最大級の眼鏡展示会iOFT』について