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調子が良くても、調子が悪くても分解掃除~機械式時計の場合

2024年4月13日 公開 / 2024年4月14日更新

テーマ:時計メンテナンスの知識

コラムカテゴリ:趣味

分解掃除
時計のメンテナンスでよく使われる「分解掃除」という言葉があります。
時計に限らず他の機械メンテナンスでも使われる言葉ですが近年は高級時計の人気の影響かネットで「分解掃除」と検索すると「腕時計の分解掃除」に関する記事が続々と出てきます。

Weblio辞書によれば  オーバーホール(分解掃除)とは
ムーブメント(機械)内部の部品同士の磨耗や潤滑油の劣化を改善するために、以下の作業工程で行う時計修理作業を言う。
(1) 外装のチェック (2) 分解 (3) 劣化部品の交換・修正 (4) 洗浄 (5) 組立 (6) 注油
(7) 調整 (8) 外装組立 (9) 性能チェック
定期的に行うことで時計の状態を良好に保ち、購入当初の能力に近い状態で長く使用することが出来る。

機械が壊れてなくても分解掃除(定期メンテナンス)

ゼンマイで動く機械式時計の場合、部品の劣化を最小限に抑えるために「時計の機械の調子が良くても]3~4年に一度の割合で分解掃除をされることをお勧めします。いわゆる定期メンテナンスです。
定期メンテナンスの分解掃除でも、不具合発生時の分解掃除でも作業は殆ど同じなので基本料金は変わりません。
それなのに何で そんな必要があるの?
と思われる方が多いようです。
確かに数年のスパンで比較すると大差はないように思いますが、経年によって劣化した潤滑油で無理に時計を動かし続けると部品の摩耗や破損などの大きな故障に繋がって
しまいます。時計に大きなダメージを与えてしまうことになり時計の健康寿命が短くなってしまうのです。

機械の調子が悪くなっても分解掃除(修理)

一方 遅れ・止まりの症状が出てきた場合や自動巻の時計では持続時間が短くなってしまった場合など機械に関する様々なトラブルの場合には分解掃除が必要になります。作業内容は「定期メンテナンスとしての分解掃除」と同じですが、交換しなければならない部品が多くなってしまい、交換する部品代を別途請求される事が殆どです。

メーカーや修理店によって異なる付加サービス

厳密にいえば分解掃除は機械部分のメンテナンスを指しますので、腕時計につきもののメタルバンドやケースは含まれません。そこで時計のブランドによって、あるいは時計修理会社によって分解掃除の際の付加サービスが大きく異なります。
1.ロレックス公式サービスセンターでは「オーバーホール」に、ケース・バンドのポリッシュが含まれます
2.オメガ公式サービスセンターでは「コンプリートメンテナンスサービス」と表現し機能と美観の回復を謳っていますので、オーバーホールとケース・ブレスレットの洗浄と研磨をすることになっています
3.同じセイコーでもグランドセイコーはポリッシュ付きですが、クレドールの分解掃除にはポリッシュがつきません。(希望すればポリッシュ可能ですが追加料金が発生します)
4.その他メーカーや時計修理店
 時計が止まってしまった場合、分解掃除をせず機械そのものを交換する事もあります。その際ケースやバンドの洗浄は一切行わずメンテナンスを完了するメーカーもあります。

実はケース・ブレスのメンテナンスも大切です

腕に装着する時計は意外と汚れてしまいます。
汚れを放置するとサビの原因になってしまい、時計に悪影響を及ぼします。
分解掃除の際は一緒にケース・ブレスの洗浄をしてくれるかどうか事前に確認される事をお勧めします。

この記事を書いたプロ

衞藤憲太郎

時計修理、修復とビフォーケアのプロ

衞藤憲太郎(株式会社ハナブサ)

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