地域と季節によって時間が異なる(不定時法)和時計の世界

6月10日は「時の記念日」です。
私たちは普段、腕時計やスマートフォンを見ながら、時間に追われるように生活しています。しかし、江戸時代の人々は、今とはまったく異なる時間の感覚の中で暮らしていました。
江戸時代の日本では、「不定時法」と呼ばれる時間制度が使われていました。昼と夜をそれぞれ六等分するため、季節によって一刻(一時間に相当する時間)の長さが変化します。夏は昼の時間が長くなり、冬は短くなるという、自然の移ろいに寄り添った時間の考え方です。
その不定時法に対応するために生まれたのが「和時計」であり、その代表的なものの一つが櫓時計です。櫓時計は、季節ごとの昼夜の長さの変化に合わせて調整しながら使われていました。
私は現在、三台の櫓時計を管理しています。いずれも実際に動く状態を維持しており、時を刻む姿を今に伝えています。長い年月を経てなお動き続けるその姿には、先人たちの知恵と技術の高さが感じられます。
現代の時計は、一年を通して正確に同じ速度で時を刻みます。それは社会生活を営むうえで欠かせない便利な仕組みです。しかし一方で、私たちはいつの間にか時計に時間を管理されるようになってはいないでしょうか。
江戸時代の人々は、日の出や日の入り、季節の移ろいとともに時間を感じながら暮らしていました。不定時法がそのまま現代に適しているとは言えませんが、自然のリズムに寄り添う時間感覚には、今の私たちが学べるものもあるように思います。
時の記念日は、単に時計の大切さを考える日ではありません。自分にとって時間とは何か、どのように使いたいのかを見つめ直す日でもあるのではないでしょうか。
6月10日の時の記念日。
時計を見る回数を増やす日ではなく、自分自身の時間との向き合い方を考える一日にしてみてはいかがでしょうか。
ハナブサ75周年特別企画として
櫓時計の限定公開を行います


