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コラム

クロック(機械式)の修理

2023年9月9日

テーマ:時計メンテナンスの知識

コラムカテゴリ:くらし

弊社では ウォッチ(腕時計)だけではなくクロック(置掛時計・掛時計)の修理も承っています。
ご依頼いただくクロックはクオーツ式、機械式様々ですが、
今日は機械式のクロックの修理についてお話しさせていただきます。

なぜ動かなくなるの?

機械式クロックで修理のご依頼があるものは殆どが数十年以上前に作られたものです。
歯車で動くものはどれも「潤滑油」が差してありますので、
潤滑油が乾いたり・劣化したりした状態で使い続けると歯車の軸受けの穴が広がってしまい、歯車の位置ズレをおこし動かなくなってしまいます。
ヘルムレ(ドイツ製)置き時計計1
その上、クロックの場合は腕時計のような気密性がありませんのでホコリや湿気が機械のコンディションに大きく影響します。
ですから数年に1度は分解掃除をして古くなった潤滑油と機械の汚れをキレイにし、適量の新しい潤滑油をさしておかなければなりません。

アンティーク時計を見つけたら

「実家を整理していたらおじいちゃんの置き時計が見つかった。」
「なかなか味のあるいい感じの時計なので動かしてみたら動いたのでしばらく使ってみた」
こんな時は動いているからといってそのまま動かし続けてはいけません。

何年もお蔵入りしていた自転車を引っ張り出して乗り回すのと同じでさび錆のチェーンでギアーをガリガリ動かしているようなものです。
これがひどくなるとペダルが重たすぎてへとへとになってなってしまいますよね。

時計の中には大小様々な歯車が多数組み合わさっていて規則正しく動いています。ただそれぞれの歯車にかかっている回転の力はゼンマイなどの動力源に近いほど強くて歯車の軸受に強い摩擦が起こり、軸受け穴の一方方向が少しづつ削られて楕円形の穴になってしまうんです。
こうなってしまうと歯車同士のかみあいがうまくいかず止まってしまうことになるのです。
こうなってしまうと分解掃除をできるだけ早く行うべきです。
MIMAKEIYAかけ時計
私たち時計職人はお預かりした時計を全て分解して一つひとつの部品の錆を落とし揮発油とブラシなどを使って洗います。
また分解前に観察して異常を見つけた軸受け穴をメタルブッシュなどを使い修正します。
その後元の形に戻して行きます。最後に機械油を丁寧にさしていくのです。
出来上がったらある程度の日数をかけて作動テストを繰り返し、調子が出なければ原因を探して修正を行いその後めでたく納品となります。

この記事を書いたプロ

衞藤憲太郎

時計修理、修復とビフォーケアのプロ

衞藤憲太郎(株式会社ハナブサ)

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