電池交換こそ 時計の診断報告が必要です
はじめて機械式時計を手にしたとき ほとんどの人は恐るおそるリュウズを回し
針が動き出す瞬間をうっとりと眺めたと思います。
今まで使っていたクオーツ時計はいつも動いているのがあたりまえで、時間は時計が自分にいつも勝手に教えくれるものでした。
リュウズを巻いたその時、自分の手で「時」を動かし始めた快感を感じたものだと思います。
時計の健康寿命を延ばすには
昭和20年代までの家庭には茶の間の壁の中央部分に柱があり その上部にカチカチ音のなる時計が掛けられていました。
家人の誰かがネジを巻いたり時刻合わせを定期的にしていましたので、それぞれの家庭で時計の「お世話」をしていたひとは誰から教わるべくもなく時計の調子や時間の進み遅れまで調整していました。
ですから数年ごとに必要な分解掃除のことも当たり前のことと認識されていました。
時計の持ち主が時計の症状を知ったうえで時計職人に修理を依頼すること、それも数年に一度の頻度で、実はこのことこそが時計の寿命に大きく貢献していたのです。
歯車と潤滑油の関係
針が動いて時を刻む時計の内部にはたくさんの歯車があってそれぞれの役割をもって決められた場所で隣り合った歯車にかみ合わさって回転しています。
映画モダンタイムスのワンシーンで巨大な機械の中で主人公が歯車に挟まれないように飛び回る様をコミカルに表現していました。
時計の中もあんな感じです。
それぞれの歯車には回転軸(ほぞ)があって機械を形どる板(地板)には回転軸を通す為の穴(ほぞ穴)が決められた位置にあけられていて、この穴の中で軸が回り続けているのですが、軸と穴がこすれ続けることで穴の面が段々とすり減っていきます。
これを出来るだけ軽減するために潤滑油が使われるのですが、数年たつと潤滑油は劣化したり量が減ったりして滑らかな動きを作り出せなくなるのです。
ですから数年に一度の頻度で時計の動きを助けるための分解掃除が必要なのです。
このようなことは腕時計でもほぼ同じです。
特に新しく購入して大体3年間は歯車などの多くの部品が馴染んでいく期間で、顕微鏡レベルで金属の擦れ粉などが発生しやすいのでこの時点で最初の分解掃除をお勧めします。