罪悪感を抱え合う親子

中光雅紀

中光雅紀

テーマ:解決のための視点

解決の要は親の関わり方

当協会は、「親の会」を非常に重要視しています。

それは、解決の要が親御さんの関わりであり、

当事者にとって命綱だからです。

つまり、本人がたとえ「脱したい」とやる気を出したとしても、

親の理解、協力、関わりがなければ、解決に至らないからです。



「やる気の問題」と捉えておられる親御さんは

まだまだ多いですが、違います。



本人たちは、ほとんどかねてネットを使用しています。

ですから、ネットで当協会を知りSOSが入ることがあります。

また、遠方から自ら訪ねてくるようなこともありました。

こういったケースは、実は

直接の支援につながらないことが少なくないのです。



どうしてだと思いますか?

やる気はありますよね。

自分から言ってきているのですから。

なぜか?

それは、親の理解、協力が得られないからです。



そもそも自分から助けを求めてくるのは、

親が何も動いてくれていないからです。

「本人がやる気を出して動いていけばいいだけのことだから」

という考えをしているのです。

自分たちが何かすることはないと思っています。



現状から脱したいと思っても、

何からどう始めていけばいいかも分からない状態です。

また、やることが分かったとしても、

すぐにそれを実行できる状態にもありません。

前へ進みたいやる気があっても、

それを上回る不安怯えを抱えているかぎり、

すぐに動き出せるわけではないのです。



親御さん自身、「何とかしたい」とは常々思っていますよね。

ではなぜ、動かないのですか?

それと同じことです。

単なるやる気の問題ではないことが、お分かりでしょう。



そういうことから、解決の要である親御さんが

心労から先に倒れてしまっては、一巻の終わりですので、

親御さんに元気になってもらうために、状況や段階に応じて、

4つの親の会や居場所を運営しています。

過剰な罪責感が不適切な償いを招く

親御さんたちが疲弊しておられるのは無理も無いこと

ではありますが、ご相談に来られるほとんどの親御さんが、

親としての無力さを思い知らされ、また、

自分たちがわが子に与えたであろう心理的負担を省みて、

がっくりと肩を落とされ、時には涙をこぼしながら語られます。



私がかねてより申し上げていることは、

反省心はいいのですが、責任感も強すぎると、

自分のした行為を「罪」と判断し、それを贖おうとします。

それは絶対やめましょうということです。

その贖いが、一生わが子の面倒を見ることなどになれば、

それこそが本当の「罪」となります。

もちろんこれは、疾患や障がいからではない、

「社会的ひきこもり」の場合です。



責任感の強い親御さんの場合、そのほとんどが

これまでのわが子への対応を後悔しています。

後悔すれば気持ちは沈むだけです。

解決策を講じるエネルギーが残っていません。



後悔ではなく「反省」に止めることです。

反省もしすぎると後悔になります。

「省みる」の字が示すように、少な目でいいんです(笑)。

「三たび省みる」で丁度よいでしょう。



後悔はただただ過去を振り返り悔やむ。

反省は先へ進むために後ろを向いて、

結果と原因の再検討をしていくこと。

「何があったか」

「何故なのか」

これらをしっかり振り返るのです。



口が裂けても本人に言ってはならなことは

「お母さん、お父さんが全て悪かった。ごめんなさい」です。

これでは本人への責任の自覚を促せません。

自分を責めるのではなく判断の責任をもつ

では、本人たちの責任って何だか分かりますか?

「ひきこもった本人も悪い!」ではありません。

いいとか悪いとなれば、また「罪」という意識になります。

真面目な子ほどそう受け止めます。

断罪するのではなく、

「自らとった選択が今の状況を招いている」

ということに気づかせるということです。



ある考え方を選択し、他でもないある行動をとった。

その結果が今を作ったわけだから、

そこからの影響に対してどういう姿勢・態度で臨むのか

自分で判断しなさい。

ということです。



子ども達の多くも、

「学校をやめてごめんなさい」

「働けなくてごめんなさい」

「手を上げてごめんなさい」

「役立たずでごめんなさい」

「僕は期待に応えられない悪い子です」

と、ひたすら心の中で

「ごめんなさい、ごめんなさい」と言っています。

笑顔で苦難を乗り越える

過度な罪責感は現実から逃れたくなります。

親子で罪悪感を感じていれば、

事態が改善されるはずもありません。

わが子を救えるのは親御さんたちなのですから。

親御さんが先ず元気になりましょう。



「笑う門には福きたる」

笑えない状態だからこそ、笑うのです。

笑える方法を「親の会」で学び合うのです。

笑えない状況の中で笑顔をつくっていくからこそ、

笑える状況に本当になっていくのです。

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中光雅紀
専門家

中光雅紀(不登校・ひきこもり支援者(家族心理教育コンサルタント))

NPO法人地球家族エコロジー協会

トラウマの視点からひきこもりの原因を見える化していくアプローチを行い、そのもがきのプロセスから人間としての成長を果たし、ひきこもりから脱却。新しい自分に生まれ変わるような変化をサポートしていきます。

中光雅紀プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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