不登校(ひきこもり)が知らせてくれていること

中光雅紀

中光雅紀

テーマ:解決のための視点

不登校が両親(夫婦)の関係に影を落とす?

かねての相談の場面では、ほとんどが母親のみです。

そればかりか父親の話がしばらく出てこない場合も少なくありません。

子どもがどうなっているか、自分(母親)がどうしてるのかの話が続き、

「母子家庭なのかな?」と、こちらが思ってしまうぐらい、

全く話が出てきません。



そういった場合は、あらかた父親の問題解決への非協力が見られます。

子どもの家庭での暴力があったり、素行不良があっても、

「私が言っても聞いてくれなくて・・・」と、

母親自身が子どもにどう対処しているかの話はあっても、

それ以外の話が出てこない。



そこで「お父さんは、どうされているんですか?」と尋ねると、

うつむきかげんで、

「実は主人は、何も言ってくれなくて・・・」とか、

「おまえの教育が悪いからだ」と叱責されている話などの

夫(父親)へのグチが出てきます。



ある民間機関のアンケートで、

「子どもの不登校に関連して、夫婦関係の危機を感じたことはあるか」

という質問に73.02%が「はい」と回答という結果が報告されていました。

不登校が夫婦関係の基盤を揺るがす深刻な問題であることが

うかがえるとありましたが、

わが子が不登校になったから危機を招いたというよりも、

「だから不登校につながった」という方が正確だと感じます。



つまり、最愛のわが子が学校に通えぬほどの事態になっている

わが家の有事に、夫婦で意思統一、役割分担、協力体制が

整わぬこと自体がそもそも、子どもの不登校の原因のひとつに

なっているということです。



そのことに気づけていない親御さんが少なくないようです。

あくまでも、子ども自身の問題と捉えているからです。

「学校に行かないなんて考えられない」

「何を考えているのか、さっぱり分からない」

「逃げてばかりで情けない」

「せめて病院にでも行ってほしい」

どこまでも、子どもの状態だけを問題視しています。

不満を抱いている相手に依存してしまっていないか

あまりにもグチが多い場合は、私はわざと

「ご主人と離婚されたらどうですか?」と申しています。

「離婚されて、親権はお母さんが得ますか?昼夜働いて、

子どもを養う覚悟がありますか?」と尋ね、

腹くくりが出来るかどうかを確認します。

つまり、自分の生活を守りたいのか、子どもを守りたいのかを

母親自身に確認して頂いているのです。

精神的に自立できていない母親の場合、

「子どもを守れますか?」と問われた時に、返事に窮しています。



このようなケースでは、子どもから、

母親の生き方に対して批判的な言葉をあびせられていることが

少なくありません。

つまり、一方で自分に無関心な父親への絶望と、

その父親に依存し、自分自身の意見も出せない、

自立出来ていない母親への幻滅を訴えているのです。

割合的には、女性に多いようです。



精神的自立を欠いた母親は、我が子に過剰な期待をよせます。

そのために自分が子どものころなし得なかったことを、

我が子の意志を度外視してはたそうとしてしまいます。

これらは、習い事など表面的にはさせてあげていることが多く、

愛情の深さのように見えてしまいがちなので、母親自身も周囲も

子どもの心の負担に鈍感になりがちです。



一方子どもの危機に向き合えない父親は、場違いの説教を繰り返すか、

教育、子育てに対しての責任の一切を母親に負わせようとします。

真に解決すべき問題はどこにあるのか

「離婚されたらどうですか?」という問いかけのもう1つの意味は、

子供の問題解決の障害になっているものに気づいておられるかを

確認するためです。

その障害とは、もちろん父親の無理解さだけではありません。

父親(母親の場合もある)の無理解さが、問題発生の原因

なっていることは事実です。

しかし、問題解決の障害となっているものには、

父親が無理解だから何もできないとあきらめている母親の

その姿勢もあるのです。

何を優先させるべきかが見えなくなっているようです。



わが子の引きこもりは、家族内の拮抗を浮き彫りにします。

だからこそ、子供たちは家族の“救援者”なのです。



解決すべき問題はどこにあるのか、

その本質から目をそらさずに向き合わなければなりません。

現実に向き合うことを恐れ、避けてしまえば、

わが子の挺身は報われぬこととなります。



子どもの訴えに真摯に耳を傾ける潔さをもった親のいる家庭は、

必ず本来の絆を取り戻すことが出来るのです。

子どもたちは、それを待っているのですから。

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Mybestpro Members

中光雅紀
専門家

中光雅紀(不登校・ひきこもり支援者(家族心理教育コンサルタント))

NPO法人地球家族エコロジー協会

トラウマの視点からひきこもりの原因を見える化していくアプローチを行い、そのもがきのプロセスから人間としての成長を果たし、ひきこもりから脱却。新しい自分に生まれ変わるような変化をサポートしていきます。

中光雅紀プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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