不登校・ひきこもりの解決とは?
あやふやで危なげなアドバイス
不登校のご相談の場合、「行ける?」「今日はどうする?」
と聞いていいものやら判断に困りますとか、
ひきこもりの場合、動くことを厳しく促すことを
していいものでしょうか?と、それぞれ本人に対して、
何らかの刺激を加えた方がいいのか否かといった迷いが
多く聞かれます。
その多くが、医療施設や相談施設から過去にもらった
アドバイスで、「受けいれてあげてください」
「本人の意志を尊重して任せてあげてください」
といった内容を聞かされたものの、事態が変わるでもなく、
不安が消えず尋ねてこられたものです。
もちろん本人の意志を尊重することは、大切なことではありますが、
このアドバイスでは、ただ黙って本人のなすがままに見ているだけ
(見守ると表現しているようですが)、
本人からの要求はそのまま聞きいれるという形になってしまっている
ことが多いようです。
それは、受けいれるという意味と、任せ方を伝えていないからです。
それではさらなる長期化を招いてしまいます。
ありのままを受け入れることは、そのままにすることではない
受容することの大切さは私自身何度もお伝えしていることでは
ありますが、受容するということは、
何も、納得し容認することではありません。
そうでなくても、不登校、ひきこもりの期間が長くなれば長くなるほど、
結果的にそれを親が容認していることになってしまっています。
ですから、一年以上も経ち、にわかに「このままでどうするんだ」
なんて切り出しても、本人は「何を今さら」といった気持ちです。
受け入れることは、容認することではなく、理解することです。
理解していけば、現状の意味が分かり、自ずと不必要な刺激は
何かが分かります。
言わなくていいこと。言ってはならぬこと。
させなくてもいいことなどが分かってきます。
問題意識がなければ判断はできない
任せるということに関して述べますと、判断や意思決定を
ある程度任せていくわけですが、この時大事になってくるのが、
問題意識を持たせたうえで、任せるということです。
自分で考え、判断し、決定し、そして自分で責任を負うことを
身に付けさせなければなりません。
しかし、先ずその前提として、現状に対しての明確な問題意識が
なければ、任せたからとて、何も変わりません。
問題意識というのは、ただ「困ったなぁ、どうしよう」
といった迷いではありません。
自分は、改善を要する問題、課題を抱えている。
改善、解決のために何らかの行動を起こしていかなければならない
という自覚です。
家族と支援者がなすべきこと
そもそも「問題」とは、「そのままにしておけないこと」です。
そのままにしておけないことをそのままにしてきた結果が、ひきこもりです。
ですから、「そのままにはしておけないんだ」という意識が出てこなければ、
ことの判断をできようはずもありません。
また、「問題」とは、理想と現実の差です。
理想とする困らない状態と、現状の間にある隔たりが、
解決すべき問題です。
ですから、先ずその理想とする状態が、明確になっているのか
ということが重要なのです。
何がどうなっておかなければ困らないのか、
生き辛さを感じなくてすむのか、何が今の自分に足りないのかが
分かっておかなけければ、改善のしようもありません。
これらの問題意識をもたせた上で、判断や意思決定を任せるように
しなければ、未成熟で判断能力のない小さな子どもに、
人生設計を尋ねるようなものです。
「いいかげんなんとかできないの?」
「うん、なんともしない」で終わります。
もちろん、意識をもたせていくためには、
黙って本人に任せていてもしようがありません。
親御さんがはたらきかけていかなければなりません。
支援者は、そのはたらきかけ方も具体的に
示してあげられなければならないのです。
「受けいれましょう」「見守りましょう」は、
事を荒立てず無難にすませられるアドバイスではありますが、
確実に長期化してしまいます。
当事者を支えるご家族や支援者自身が、
明確な問題意識をもっていく必要があるのです。



