わが子の心がねじれる時
自分を大切にできなくて
かねて私は、当事者たちに「自分を大切に」ということを努めて伝えています。
ですが、多くの当事者たちは
「??」
「自分を大切にするって、どうするんですか?」と聞き返してきます。
大切にしていない状態を伝えた方が分かりやすいだろうということで、
こう答えています。
「自分を粗末にしない。疎んじないということ」と。
不衛生な生活、自堕落な生活、不健康な生活をしていることが多い当事者たち
には、この表現の方がピンとくるようです。
決して大切にはしていないなということが理解できるようです。
中には、好きなことだけをしていることを自分を大切にしていることと
勘違いしている者もいます。
それは単なる甘やかしであって、むしろ成長を妨げ堕落させてしまっている
ことを気づかせます。
もちろん、自分に嘘をついている、自分をごまかし欺いているのも大切にして
いない状態です。
これでは自分を敵に回します。
自分を味方にできなくて、ものごとがうまく運ぶはずもありません。
大切にすることで大切にされる
大切にするものは、何も自分だけではもちろんありません。
自分にとって特に「大事」であることは、基本大切にすべきですね。
大切にすることで何が得られるかと言いますと、なにより大切にすると、
大切にしたものから自分が大切にしてもらえます。
何か不満が出たときに、自分がそれを大切にしているかを振り返ってみると、
不満の原因が必ず見えてきます。
自分がなすすべてに責任をもつ
人を大切にする。
これは一番分かり易いと思います。
大切にされるとその相手も大切にしたくなります。
大切にしないということは、粗末に扱うということですから、粗末に扱われて
平気な人はいません。
コロナ禍においては、それまで以上に解雇や派遣切りの話題がよく取りあげ
られていました。
また、学校でのいじめ問題、職場での種々のハラスメントの問題。
いっこうに無くなりません。
大切にされていないという不満は、深い悲しみと激しい怒りを生みます。
物を大切にする。
例えば、職人さんは道具をとても大切に扱います。
道具から大切にされるというのは、長く使えますね。
いつまでも役に立ってくれるということです。
それこそ、名人になればなるほど、道具と体が一体化し、匠の技を生みます。
事を大切にする。
事というのは出来事や機会(経験・体験)です。
楽しいことも苦しいことも生きていれば色々なことがあります。
「禍福はあざなえる縄の如し」まさに人生いろいろです。
そのひとつひとつの事を大切にするということは、活かしていくということです。
活かしていけば、自分の成長の糧となります。
時間を大切にする。
時間の質を高めるということです。
時間は誰にも平等にあります。
1時間という長さ(量)は誰にとっても同じです。
しかし、その使い方(質)は違います。
何のためにその時間をあてがうかです。
時間は、黙っていても、動かずにいても絶えず消費しています。
時間の質を高めれば、ワインやお酒を熟成させるように、自身を円熟させて
いくためのエネルギーとなります。
空間(場)を大切にする。
自分が居る環境、所属している場(グループ)を大切にします。
環境から受ける影響は私たちの心理面に大きなはたらきかけがあります。
森の中にいる時と、コンクリートの壁に囲まれている時とでは全く違いますね。
また、学校やクラス、職場、サークルといった場は、様ざまな機会を私たちに
提供してくれます。
場を大切にすることでの恩恵はそれは大きなものがあります。
場を大切にする始めの一歩は、掃除、整理整頓です。
乱雑な空間は、心や頭の中も混乱させます。
廻り合せを大切にする。
時間と空間の交点が廻り合せです。
ある瞬間、ある場所で、何事か何者かと出会う。
廻り合せが悪ければ、交通事故や通り魔にも出会ってしまいます。
廻り合せを大切にするということは、「縁」を大切にするということです。
人間は、自分以外の誰かと関わりあうから人間です。
関わりあう別の誰かがいるから「間」があるんです。
その「間」をとりもつのが「縁」です。
『大才は袖すり合う縁をも活かす』という柳生家の家訓もありますが、
「縁」を大切にすることで、人生がより良くなっていきます。
「とかくこの世は縁しだい」です。
時間と空間を大切にしていくことが、廻り合せを良くしていく方法です。
また、シンクロニシティ(意味の有る偶然の一致)も頻繁に起こってきます。
そして最後に人生を大切にする。
人生そのものを大切にしていけば、人生から自分が大切にされます。
身に起こることはすべて必然の結果。必要だからこそわが身に起こる。
こう心がけて生きていけば、なぜわが子が不登校になったのか、ひきこもって
しまったのかの訳が分かり、親として、一人の人間として大きく成長でき、
家族の絆が深まり、温もりのある家庭となっていくでしょう。
人生があるゆることを教えてくれるのです。
「大切にする」ことを心がけていくためには、責任をもつことです。
責任意識があれば、自ずとその対象を大切に思うことができるでしょう。