事態に対してどう臨むか?
目 次
1.とかくこの世は縁しだい
2.縁に気づかなければ、チャンスも活かせず
3.求められてこその自信
4.結果を変える縁の効用
5.つながりが心の傷を癒やす
とかくこの世は縁しだい
“縁”というものを普段考えられたことがあるでしょうか。
私たちは様ざまな縁によって、様ざまな出会いがあります。
この「出会い」の良し悪しで、幸不幸が決まります。
何かの病気に罹っても、名医との出会い、良薬との出会いがあれば治ります。
勤め先との出会いも同じです。
やりがいのある仕事を長く続けられる幸運に恵まれるのも縁です。
人間は人の間と書きます。この間をとりもつのが縁です。
運のいい人は、人と人との縁を大事にしている人です。
縁に気づかなければ、チャンスも活かせず
私の好きな言葉があります。確か柳生家の家訓だったと思います。ご紹介しましょう。
小才は、縁に出会って縁に気づかず
中才は、縁に気づいて縁を活かさず
大才は、袖すり合うた縁をも活かす
ご縁を大切にしようとかねてから心がけていると、自然活動的になります。
自分の足を使って、人や情報との出会いを作ろうとします。
今は便利な時代です。インターネットであらゆる情報も得られます。
でも、そういう時代だからこそ、足を運び、自分の五感で確認するといった姿勢が必要です。
「心・気・体」の調和はとても大切ですが、なぜ肉体に五官が備わっていると思いますか?
五官で感じることで心に変化を起こすためです。
心に変化が起こらなければ、行動を変革することはできません。
不登校・ひきこもりは、自分を成長させ幸福にするために大切な縁を放棄している状態です。
それは機会を失うことでもあります。
また、家族が外部との接触を拒み家族境界を明瞭にすることで、問題解決のために必要な縁を
わが子から奪ってしまうことになるのです。
求められてこその自信
ひきこもり者たちは、様々なコンプレックスを抱えています。
ほとんどが、能力的な遅れ感です(容姿的なこともありますが)。
そのために自信をもてず閉じこもってしまうわけです。
中には、高学歴にも関わらず自信がない者や、ジャニーズ系の容姿なのに顔にメスを入れよう
とした青年もいましたが。
なぜ自信がもてないのかと言いますと、能力があろうが無かろうが、周囲から求められること
がなければ、もてるはずもありません。
つまり、自分を待ってくれている誰かがいるかどうかです。
結果を変える縁の効用
たとえ標準的な能力しかなくても、関わり合う周囲の人たちに恵まれたら幸せです。
気の合う仲間、親切な人たち、自分を成長させてくれる師等に恵まれれば、何の心配もあり
ません。
そういった人物に会えるのも縁しだいです。
いじめっ子にあうのも縁ですが、悪縁ですね。
つまり、原因と結果の間には縁があります。
原因は同じでも、縁によって結果は変わってきます。
同じ病気でも、出会った医師によっては、生と死を分けるのです。
縁は、環境・条件と捉えると分かりやすいでしょう。
可能性を秘めた種でも、肥沃な土地に蒔かなければ芽は出ません。
さらには、水や日光という条件がそろわなけれ生育もしません。
人や機会に恵まれるのも縁しだいです。
それほど縁というものは、生きていくうえで重要なことなのです。
能力や学歴があっても悪縁ばかりだと、もってる能力を活かす場に恵まれません。
であれば、もってないのと同じです。
縁は結果を変化させることができます。
望む結果を得られるためにも縁を活用することです。
かねてから、その重要さを認識して縁を大切にすることを心がけましょう。
つながりが心の傷を癒やす
縁は「つながり」です。
心の傷の癒やしに必要なものは、この「つながり」です。
人とのつながりを絶つ引きこもりは、心の傷をさらに深めます。
家族会を見ていても、参加者自体に縁を大切にする動きが見受けられません。
現代は、地縁や血縁といったものまでが希薄になっている傾向がありますが、
そういった背景の中で、同じ問題を抱えた“問題縁”によって出会った者同士が、
せっかくの機会を活かしきれていないようです。
この縁の玄妙さをよく表している中島みゆきの「糸」という楽曲があります。
なぜ めぐり逢うのかを 私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを 私たちは いつも知らない
どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない
なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ
こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない
縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます
「なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ
こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中」
ひきこもり者たちもまたこの心情でしょう。
母親と父親で紡ぎ合う柔らかい布で、傷ついたわが子を暖かく包み込んであげましょう。
家族会で出会う当事者家族同士も同じです。
出会った縁を大切にして、縦糸と横糸を紡ぎ合い支え合っていきましょう
「逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます」
ひきこもり者たちは、平凡な(普通の)幸せを望んでいるのです。