生きていく理由(必要性)の根拠となる存在意義
目 次
1.昨日と同じ今日を繰り返す日々
2.変化への対処に欠かせぬ柔軟さ
3.何をどう変える?
4.現実を直視し主体的に取り組む手本を示す
5.改善された状態が見えていますか?
昨日と同じ今日を繰り返す日々
ひきこもりという現象は、毎日同じことを繰り返していると言えます。
目が覚め、食事をとりその日を漫然と過ごす。そこに何かの変化をつけることもなく、
家族もまた、その光景があたりまえのようにその日を終える。
「いつになったら動き出すの?」
「そのうち動くよ」
「いつもそう言うじゃない。なぜ動かないの?」
「自分なんか受け入れてもらえないよ」
「またそれを言うの」
「・・・・・」
これは、変化が起こること、変化をおこすことへの怖れです。
親も子も、変化することで何か新たなものが生じてしまうことが怖いのです。
多少なりとも今までに積み上げてきたものが、失われてしまうのではと不安にかられるのです。
変化への対処に欠かせぬ柔軟さ
変化に対応できないという課題を親も子も抱えています。
変化に対応できるためには、柔軟さが必要です。
硬直化されたコミュニケーションの中でバランスを保っていた親子は、柔軟な思考を欠き、
たとえ状況が改善される可能性が見える変化に対しても、それを拒もうとします。
一旦固定化されてしまえば、それが苦悩の源泉であっても、安定が崩れるかのような錯覚に
陥るのです。
柔軟な思考にするためには、囚われをはずすということです。
人は認識を深め、気づきのレベルを高めることで、世界観が広がります。
自己の認識にないものは、存在自体がないのです。
人はよほどの自分育てがない限り、親の世界観以上の視野をもてません。
閉塞的環境の住人となった不登校、ひきこもり、ニートの家庭は、先ず親が価値観の大転換
といった変化への挑戦をしていかなければならないのです。
何をどう変える?
「先ず親が変わらなければ」という言葉は、よく聞かれますが、いささか言い古されたきらい
があります。こういった言葉が出ていても、「本気で変わろうとしているのだろうか?」と
首をかしげたくなることは、決して少なくありません。
恐らく、「変わらなければ」とは言っても、何をどう変えればいいのかが、全く分かって
いないのだと思います。
中には、色々な相談窓口へ行ったり、講演や研修を受けただけで、変わったような気に
なっている方も多いようです。
耳学問が一種のトランキライザー(精神安定剤)になっているケースです。
当事者家族の集まりなどで、一生懸命他者に「親が変わらなければ」と勧めている方を拝見
したりする場合がありますが、そういう人にかぎって、10年近くもわが子の問題解決は出来て
いなかったりがあります。
現実を直視し主体的に取り組む手本を示す
では、どう変わっていけばよいのかと言いますと、わが子へ気づきを与えられる変化が必要
だということです。当人に気づきがなければ、親がどう変わろうと子は変わりません。
ですから、「親が変われば子が変わる」というのは、正確に言うと「親が子どもに気づきを
与えられるように変われば、子は変わる」です。
わが子に気づきを与えるためには、先ず「親自身の問題として受け止めてくれるように
なった」と感じてもらえることが必要です。
「学校の責任」「先生が悪い」「親がダメだと思っている世間の偏見が悪い」
「格差社会が悪い」などと言っている内は、何も変わりません。
なぜ学校へ行かないのか、なぜ働かないのかとかいった理由が分かり難いだけに、とかく
責任転嫁をしてしまいがちですが、自身の身に起こるあらゆる問題は、当たり前ですが
その原因に必ず自身が関与しています。
ですから、先ず、親が自身の問題として受け止め現実に向き合うという姿勢をしっかりと
わが子に示すことが大切なのです。
「ひきこもる子をもつ親」という問題に真摯に向き合うのです。
それが、現実逃避をし続けるわが子へ気づきを与えることができます。
改善された状態が見えていますか?
また、問題解決にあたっては、「こうなってほしい」といった未来像へ向けた解決志向の
視点が重要です。つまり、どういう状況になったら解決したと見なされるのかを明確に
する必要があるのです。到達点ですね。
最も大切なことは、明るい未来を描くことです。
そもそも希望をもって臨んでいるか。
解決の可能性を信じているか。
どういう状態が解決がなされた状態なのかを見誤ってしまえば、さらにとんでもない状況を
招いてしまいかねません。
単に学校に戻ったり、働き出したりが解決ではないことは、これまでにもお話しております。
不登校、ひきこもりが無くなったら全て問題はなくなるのかを考えてみられたらいいです。
解決志向は、今何が出来て、何が出来ないでいるのかを明瞭にしていきます。
できないでいることをできるようにしていくことを実行していかなければなりません。
また、うまくいかなかったやり方を何度も繰り返さないことです。
意外にこれが多いものです。
状態の改善は望んでいても、そのために自身の方針を変えることには抵抗を感じるのです。
それがたとえ誤っていも。
「生きかたの見直し」これが、「親が変われば子は変わる」の真意です。