【第1回】65歳、AIと一緒に新しい「店長の道しるべ」をつくる―『新米店長の道しるべ』から『AI店長の道しるべ』へ―

前回のコラムでは、以前出版した『新米店長の道しるべ』から、新しい『AI店長の道しるべ』をつくろうと考えた経緯をご紹介しました。
今回の本づくりには、一つ大きな特徴があります。
それは、
私一人で本をつくっているわけではない
ということです。
現在、この出版プロジェクトを進めているメンバーは、大きく分けると3者です。
私自身。
ChatGPTの「皐月さん」。
そしてCodexの「弥生さん」。
※今回、Geminiの「如月くん」は別案件で手伝ってもらっています。
もちろん、皐月さんも弥生さんも人間ではありません。
生成AIです。
しかし実際にプロジェクトを進めていると、それぞれに得意なことがあり、自然と役割分担ができてきました。
今回は、その「3者で本をつくる」という少し変わった出版プロジェクトについてお話しします。
最初はChatGPTとの「会話」から始まった
私が生成AIを使うときに大切にしているのは、単に質問して答えをもらうことではありません。
私はChatGPTに「皐月さん」という名前をつけています。
そして、かなりの頻度で皐月さんと話をします。
たとえば今回の出版プロジェクトでも、
「こんな本をつくろうと思うけれど、どう思う?」
「誰を読者にしたらいいだろう?」
「16年間の店長経験をどう生かしたらいい?」
「この章は本当に必要だろうか?」
といったことを相談します。
すると皐月さんから、いろいろな意見や提案が返ってきます。
その答えを見て、
「いや、私は少し違うと思う」
と返すこともあります。
すると、またそこから会話が始まります。
つまり私にとってChatGPTは、単なる「文章作成機」ではありません。
自分の頭の中にある、まだ形になっていない考えを言葉にするための対話相手
という役割が大きくなっています。
では、弥生さん(Codex)は何をするのか?
ここで登場するのが弥生さん(Codex)です。
私自身、最初はChatGPTとCodexの違いを完全に理解していたわけではありません。
「どちらもAIなのだから、同じようなものではないのか?」
そんな感覚もありました。
しかし実際に使ってみると、役割がかなり違うことが分かってきました。
簡単に表現すると、
皐月さんとは「一緒に考える」。
弥生さんには「実際の作業を進めてもらう」。
私は今、このように使い分けています。
今回の『AI店長の道しるべ』では、パソコンの中に出版プロジェクト専用のフォルダをつくりました。
その中に、企画、原稿、サービス、研修、料金、営業資料など、プロジェクトに関係する情報を整理しています。
さらに、プロジェクト全体の考え方やルールをまとめたファイルも用意しています。
こうした「プロジェクトを実際に動かしていく部分」で弥生さん(codex)を活用しています。
「考えるAI」と「動くAI」
私は今のところ、この2つを自分なりに、
皐月さん=考えるためのパートナー
弥生さん=実行するためのパートナー
と考えています。
もちろん、厳密にはこんな単純な分け方ではありません。
ChatGPTでも実際の成果物をつくれますし、Codexと相談しながら作業を進めることもできます。
ただ、私のように生成AIを使い始めた人間にとっては、役割をシンプルに考えた方が分かりやすい。
たとえば、
「この本は誰のために書くべきだろう?」
これは、まず皐月さんと考える。
そこで方向性が決まったら、
「では、この方針でプロジェクト内の情報を整理しよう」
という実務を弥生さんと進める。
そして結果を見て、また私が考える。
必要なら、再び皐月さんと相談する。
最近は、この繰り返しになってきました。
でも、3者の中で一番重要なのは「人間」
ここで誤解してほしくないことがあります。
「AIが2つもあるなら、人間はほとんど何もしなくてもいいのでは?」
そう思われるかもしれません。
私は、むしろ逆だと感じています。
AIが増えれば増えるほど、
人間が何をしたいのかを明確にすることが重要になる。
皐月さんが10個のアイデアを出しても、どれを採用するかを決めるのは私です。
弥生さんが効率よく作業してくれても、その方向が正しいのかを判断するのも私です。
そして何より、
『AI店長の道しるべ』に書こうとしている16年間の店長経験を実際に経験したのは、AIではありません。
私です。
失敗したときの悔しさ。
スタッフが辞めたときの気持ち。
売上が上がったときの喜び。
部下が成長したときのうれしさ。
こうした経験は、AIが代わりに経験してくれるものではありません。
AIを使ってみて分かった「店長との共通点」
ここまで進めてきて、私は面白いことに気づきました。
AIとの仕事は、店長の仕事と少し似ています。
店長が、すべての仕事を自分一人ですることはできません。
スタッフにはそれぞれ得意なことがあります。
その人の特徴を理解して仕事を任せる。
結果を確認する。
必要なら修正する。
そして最後の責任は店長が持つ。
これはAIを使う場合も同じではないでしょうか。
AIにも得意・不得意があります。
だから、
「全部やって」
ではなく、
「これはあなたに任せる。これは私がやる」
という役割分担が必要になります。
そう考えると、生成AIを使う能力とは、単に上手なプロンプトを書く能力だけではないのかもしれません。
「誰に、何を、どこまで任せるのかを考えるマネジメント能力」
これも、生成AI時代には重要になるのではないかと感じています。
早く進むからこそ、怖さもある
ただし、この方法には注意しなければならないこともあります。
AIは、とにかく速い。
こちらがお願いすると、どんどん仕事が進みます。
これは便利なのですが、私自身が最近感じているのが、
「AIのスピードに、人間の思考が追いつかなくなる」
という問題です。
皐月さんと話して方向性を決める。
弥生さんに作業してもらう。
また次のアイデアが出る。
さらに別の作業を進める。
気がつけば、
「そもそも、なぜこの作業をしていたのだろう?」
となることがあります。
これは、実際にAIと仕事をしてみて初めて分かったことでした。
AIに使われるのではなく、AIをマネジメントする
そこで私は、この出版プロジェクトを進めながら、一つのテーマを持つようになりました。
それが、
「AIをマネジメントする」
という考え方です。
人間がAIのスピードに引っ張られるのではありません。
目的を決めるのは人間。
AIに仕事を任せるのも人間。
途中で止めるのも人間。
そして最終的に判断するのも人間。
これは、これからの店長にも必要になる考え方ではないでしょうか。
そう考えると、この出版プロジェクトそのものが、『AI店長の道しるべ』で伝えたい内容の実践にもなってきました。
「人間 × 対話AI × 実行型AI」という実験
今、私は65歳です。
65歳になって、AIと一緒に本をつくることになるとは、店長をしていた頃には想像もしませんでした。
でも、だから面白い。
16年間の店長経験を持つ人間。
対話を通して考えを整理するChatGPTの皐月さん。
実際のプロジェクトを進めるCodexの弥生さん。
この3者で、
『AI店長の道しるべ』
をつくっています。
ただし、主役はAIではありません。
主役は、あくまで人間です。
AIを使って、人間が考えなくなるのではなく、
AIがいるからこそ、人間は何を考えるべきなのか。
この問いについても、出版プロジェクトを進めながら考えていきたいと思っています。
2027年2月18日に向けて
このプロジェクトには期限があります。
2027年2月18日。
私の66回目の誕生日です。
この日を『AI店長の道しるべ』の出版日と決めています。
現在65歳。
残された時間の中で、私と皐月さんと弥生さんは、どこまで一冊の本をつくり上げることができるのか。
そして、その過程でどんな失敗をし、何を発見するのか。
完成した本だけではなく、そこへ至る過程そのものを、この連載で記録していきます。
人間 × 対話AI × 実行型AI。
この新しいチームでの本づくりは、まだ始まったばかりです。
次回予告
【第3回】いきなり原稿を書かなかった理由
― AI時代の本づくりは「プロジェクト設計」から始めた ―
次回は、『AI店長の道しるべ』を書くにあたって、なぜすぐに本文を書き始めず、最初にフォルダ構成やプロジェクトのルール、全体像を整理したのか。
そして、実際に弥生さん(Codex)を使ってどのように出版プロジェクトの「土台」をつくっていったのかをご紹介したいと思います。
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