『どうすればいいですか?』が増えた組織は、何を失っているのか。

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:激変する時代こそ聡明である秘訣

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---迷わない環境は、人を考えなくする。
日常の経験こそが積み重ね。
チョッとした日常のことを題材に書きます。

圏外になった瞬間、私は不安になった

地方出張でGPSが止まった。

アンテナ1本。
くるくる回る地図。

その瞬間に湧いたのは、

「到達できるか?」よりも
「自分で何とかできるか?」という不安。

保証が消えた瞬間、自信まで一緒に揺らぐ。

最近、職場で増えていること

こんな声をよく伺います。

伝えたはずなのに、違うものが出てくる
本人は“できています”と言い切る
指摘すると自分には仕事に向いていないという
先に答えを聞いてくる
助言すると“否定された”と拗ねる

一見、やる気はある。
自信もある。

でもなぜか、話がさっぱり噛み合わない。

青い線依存が起きている

青い線依存が起きているとお気づきだろうか?

GPSの青い線は親切。
考えなくても辿り着ける。

でもその状態が続くと、
“自分で地図を読む感覚”が鈍る。

職場でも同じことが起きる。

正解を先に聞く。
失敗を避ける。
評価を落としたくない。

するとどうなるか。

「合っているかどうか」だけが基準になる。

目的や意図より、
“正解チェック”が優先される。

なぜ指摘すると怒るのか

これは、能力の問題じゃない。
前提の問題。

今、多くの人は
「正解ルートに“乗っている状態”」
ということを前提に仕事をしている。

いわば、最初から青い線の上にいる自分がデフォルト。

だから修正が入ると、頭の中ではこう変換される。

修正=やり直し
  =ルートから外れた
  =自分が間違っていた
  =否定された

修正=4つの主観による心の変動。
この一瞬の変換が、感情を刺激する。

本人は
「ちゃんとやった」
「言われた通りに進んだ」
つもりだから、

ズレを指摘されると、
内容ではなく存在が否定された感覚になる。

だから守る。
だから言い切る。
だから自信満々になる。

でも――
中身はズレている。

問題は、考えていないことじゃない。
“迷ってはいけない前提”の中で考えていること。

青い線から外れないことが目的になると、
考えることは、正解を探す作業に変わる。

その結果、

勝手に仕様が変わる。
確認ばかり増える。
「どうすればいいですか?」が口癖になる

自立が消えて、
依存だけが残る。

心理的安全性のすり替わり

本来の心理的安全性は、
「間違っても修正できる安心」

でも現場で起きているのは、
「間違いを指摘されない安心」

これは、全然違う考え。

前者は成長する。
後者は固まる。

混乱して自滅するのはなぜ?

そして最近のどの人にもありがちな傾向。

先に答えを聞く。
情報をたくさんもらう。
でも整理できない。

やる前から経験すらほぼない状態で応用編を知りたがる。
そして不必要なモノすら重要事項として無駄に情報を膨らませる。

それはなぜか?
“自分で組み立てる回路”を使う必要性がないから。
それと同時に、日常的に使う必要性を見失っているから。

だから、青い線がないと歩けない。
意図と目的が地図を読む筋肉が落ちている。

それを

「若いから」
「素直じゃないから」

で片づけると、本質を見誤る。

もっとも恐れないといけないこと

青い線を進むことに慣れた組織では、

自信があるように見えて、実はとても脆い。
圏外になった瞬間、全員がフリーズする。

「どうすればいいですか?」

その問いが増えたとき、
能力不足ではなく、
思考の外注が常態化しているサインかもしれない。

青い線は便利。
迷わない。
早い。
間違えない。

でも、線が消えたときに歩けないなら、それは安全ではない。

心理的安全性を高めているつもりで、
実は“間違えない環境”を整えているだけになっていないか。

圏外は一瞬で保証を奪う。

けれど、本当に怖いのは――
電波がなくなったときではない。

青い線が消えた瞬間、誰も考えられなくなること。

それは静かに、
組織の筋力を落としていく。

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鎌田千穂
専門家

鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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