Vol.10:カタツムリは恋をすると、殻をこすり合わせる
目次
12月に“急に仕事を辞めたくなる人”が増える
12月の朝。
電車の窓に映る自分の顔が、なぜかいつもより“魂7割抜けてる”感じになる。
スーツの人たちは、無言でマフラーに埋もれ、
駅の改札はまるで 「社会人のため息スキャナー」 みたいに重い空気を吸い込んでいく。
この時期になると相談室に、
必ずと言っていいほど増えるのが、
「もう無理です。辞めたいです」という声。
ですが、
“会社が特別ブラックだから”でも
“本人が弱いから”でもなく、
実は12月特有の「三重苦トリプル攻撃」 が重なるせいじゃないかなと考えています。
12月の会社は“イベント渋滞”のブラックホール
デスクの上には書類の山。
背後では誰かが「年内にこれだけ…」と呟いている。
外では取引先がみんな同じ顔で「今年中に!」とせっついてくる。
さらに社内チャットには、上から順番に送られてくる「今年の振り返りシート」 というボスラッシュ。
ここに加えて、
・寒さで自律神経が乱れる
・日照時間が少なくて気分が落ちる
・周りはイベントで浮かれている
という、メンタルに不利すぎる季節条件。
つまり12月の会社は、
人間のHPが減る仕様のダンジョン
てんこ盛りなのです。
みんな「辞めたい」と思うのに、誰も言わない
12月のオフィスに漂う“静かな疲れ”は、
だいたい全員が気づいている。
やる気をそがないように始まる会議室で飛び交う言葉は、
今年ラストスパート!がんばろう!
来年は攻めの姿勢で!
…今、攻めたら全滅するぞぉぉ状態
この季節の職場は、
“限界ギリギリの人々が互いに明るく振る舞う”という
年末の宗教儀式みたいに見えることがあるのも不思議。
辞めたくなるのは「限界」じゃなく“正常反応”
実は12月に仕事を辞めたくなるのは、
メンタルの危険信号ではなく、
「体と心が正しく環境を評価している」正常反応。
だって、
・忙しい
・寒い
・疲れる
・未来の不安が押し寄せる
・みんな機嫌が安定しない
こんな状況で「仕事最高!」とか言ってたら、
むしろそっちの方が心配ですよ。
12月の“辞めたい”は、
火災報知器の「ピッ」という正常動作と同じ。
壊れてるんじゃなく、むしろ働いている。
だから私は毎年こう言う
12月に辞めたくなる?
あなた、それ正常。
むしろ生存本能が高いタイプです。
むしろ本当に危ないのは、
心が疲れ切って“辞めたい”という感情すら湧かなくなる時ですよ。
12月に辞めたいと思えるのは、
まだあなたの脳に“生きる余力”が残っている証拠なんです。
そして、これは12月だけの風物詩
もし12月に
「辞めたい…」
と頭をよぎったら、すぐ判断しないこと。
12月は一年で最も“辞めたくなる季節”であり、
最も「正確な判断ができない季節」だから。
友達や家族、同僚に毒を吐くのは控えて産業カウンセリングにお越しください。
理由は簡単、1月に入ると気持ちが変わって“辞めたい”という気持ちが消え失せているから。
あんなに語っていた気持ちが変わると、その副産物はあなたの生き方に関わってきますよ。
話す相手を見誤ってはいけません。




