福岡の偉人:福岡市 論理で抗う大西巨人

さぁ、今週も金曜日になりました。
福岡を語る上で、忘れてはならない偉人伝。
毎週金曜日のお約束。
今日は、夢野久作(ゆめの きゅうさく/1889年~1936年)
福岡市出身の福岡市出身の異色作家であり詩人のお話です。
著書には『ドグラ・マグラ』などが知られています。
その作品世界は、幻想・怪奇・哲学・精神医学が入り混じる。
まさに“迷宮”のような文学空間。
「わからなさ」と、どう付き合うか
福岡出身で、昭和初期に活躍した夢野久作。
代表作は『ドグラ・マグラ』。
読んだことがなくても、タイトルだけ聞いたことがある人もいるかもしれません。
この作品、よく「読むと頭がおかしくなる」と言われているようです。
ですが実際は、そんなホラーじゃない。
むしろ、「人の心って、こんなに複雑なんだ」と気づかされるような話。
何が書いてあるのか、よくわからない。でも、それが大事。
『ドグラ・マグラ』は、精神病院で目覚めた青年が、自分の過去を探る話。
読んでいるうちに「これは誰の記憶?」「何が本当?」と混乱してくる内容で。
それが不快に感じる人もいる。
逆に「この“わからなさ”が面白い」と感じる人もいる。
夢野久作は、物語の中で「わからないこと」と、どう向き合うかを疑問になる。
それって、現代にも通じるテーマかもしれませんね。
SNSで流れてくる情報、
誰かの言葉、
自分の気持ち
――全部が混ざって、何が本当かわからなくなること、ありませんか?
人間って、こういうところがある
夢野久作の作品には、確かに“狂気”というテーマが出てきます。
ですがそれは、特別な人の話じゃないようで。
誰の中にもある、ちょっとした不安とか、混乱とか、そういうものを描いています。
たとえば『瓶詰地獄』という短編。
孤島に流れ着いた男女が瓶に手紙を詰めて海に流す。
その語り口はどこか不穏で、
読んだあとに「だから、なんだったんだろう」と考えさせられる。
夢野久作を読んでちょっとだけ自分のことを考える
夢野久作の作品は、読者に「あなたはどう思う?」と問いかけてくるようで。
「自分の記憶って、どこまで確かなんだろう」
「人の心って、どうやって理解すればいいんだろう」
そんな疑問が、ふと浮かんでくるのです。
しばらくすると、そんな疑問って、そもそも必要なのか??とハッとして。
そして、自分の認知の縛りに気が付くきっかけでもあるのです。
最後に
夢野久作は、難しい作家かもしれません。
ですが、作品に触れることで、「わからないこと」と、少しだけ仲良くなれる気がします。
自分がすっきりするための答えを求めている自分に気が付く機会でもあるかも。
今の時代を生きるうえで、
拘りを持たないという拘りを持つこと。
グレーな部分を残すということ。
そんなことに気がつくことが案外大事なのかもしれません。
追記:
このコラムを書いて、夢野久作の童話があることをお知らせくださった方がいます。
難しいお話ばかりではないこと。
何故か、夢野久作の童話が動画で多いコト。
福岡で、案内所も資料館もなく地元の作家と認知されていないこと
何故か、ゲームキャラとして存在していること。
下記の動画もその一つだそうです。



