福岡の偉人:江戸の“異人”を愛した文学者 中野三敏

さぁ、今週も金曜日になりました。
福岡を語る上で、忘れてはならない偉人伝。
毎週金曜日のお約束。
今日は、如水庵 松永伊平
改め森千太郎(1867-1929)のお話です。
目次
何かを始めるのに、遅すぎることはない
如水庵 松永伊平、改め森千太郎(1867-1929)。
その生き方に学ぶ、再出発のヒントになれば…と書いています。
この年齢からじゃ無理だろう…
もう遅いかもしれない…
(๑′-﹏-๑) ショボ~ン…
そんな言葉を、自分に言い聞かせてしまうことはありませんか?
再就職や転職、自分のキャリアを再構築することを考えるとき、多くの人が不安を抱えます。
ですが、福岡の老舗和菓子店「如水庵」森千太郎(もり せんたろう)の歩みを知ると、「もう一度やってみようかなぁ」と思えるかもしれません。
菓子づくりの原点は、「誰かのために」
明治〜昭和にかけて、福岡で静かに、けれど芯を持って生きた菓子職人。
現社長の4代前、高祖父にあたる父 松永庄平から菓子屋を引き継いだ森千太郎。
その和菓子屋こそ福岡の老舗和菓子店「如水庵」です。
森千太郎は、明治のころから福岡で菓子職人として働いていました。
神社やお寺に供えるための落雁(らくがん)を、一つひとつ手作りしていたそうです。
木型に家紋を彫り、注文主ごとに違う意匠をあつらえる――。
言ってみれば、相手の人生や信仰に寄り添うようなお菓子づくり。
大きな会社ではなく、小さな店。
派手ではないけれど、丁寧な仕事。
こうした地域に密着した地道な姿勢は、後に大きな転機を呼びこみます。
そして、こういった姿勢こそが、働くということの原点なのではないでしょうか。
インターネットの求人よりも、自分が日々過ごす地域にこそ情報は転がっているもの。
株式会社如水庵 企画販促部からのお話
創業年度については、天正年間に松永庄衛門が創業したと代々言い伝えられていました。
ですが、物証や記録が見つかっていないため創業については不明とされています。
資本力がモノをいう時代。
自分の過ごす場所の情報こそ、世の中から埋もれてしまいがち。
ですが、ビジネスというものは、身近なところに転がっている。
お商売の基本が忘れられる時代だからこそ、あなたの絶好の機会は、身近に傍に落ちていると気が付くことも大事かと。
認められた仕事は、思わぬ形で返ってくる
明治43年、森千太郎は驚くような依頼を受けます。
それは明治天皇から、落雁の製作を依頼されたこと。
日露戦争で亡くなった兵士たちの遺族に、慰めの品として贈る落雁。
それを託された森千太郎さんは、白装束をまとい、身を清めて製作にあたったと伝えられています。
祈るような気持ちで、ひとつずつ仕上げたといいます。
どんなに小さな仕事も、丁寧に続けていれば、誰かがちゃんと見ているものです。
「伝統にふさわしい菓子を作りたい」と願った先に
その後、伝統にふさわしい菓子作りにも挑戦を始めます。
そこには森千太郎の孫の行動力が力となる。
森正美は、現社長の祖父となるそうで、黒田長禮に訪ねて頼みごとを行ったようです。
…福岡の旧藩主である黒田長禮(ながみち)侯を、自ら訪ねて頼みごとをしたこと。
「福岡の土地の文化にふさわしい和菓子を作りたい。
そのために、黒田家の家紋を使わせていただけませんか?」
願いを“かたち”にする
職人が旧藩主へ直接願いを届ける…。
普通なら「無茶だ」と思われるような申し出でした。
けれど、森家の想いが伝わり、黒田家の家紋「藤巴(ふじどもえ)」が刻まれた屋根瓦の提供を受けることが叶いました。
その瓦をもとに、家紋入りの意匠が最中の模様として表現。
餡には黒田家のルーツである備中産の大納言小豆が使われました。
そして、2年の歳月をかけて試行錯誤が重ねられ、
生まれたのが、今も多くの人々に親しまれている「五十二萬石もなか」です。
地域に根ざす発想が、今へつながる
こうした行動の根底には、
文化を次世代につなぎ、土地の想いをかたちにするという意志があります。
それは今でいう「ふるさと納税」にも通じるような、
地域の価値を守り育てる先駆け的な考え方とも言えるでしょうか。
一人の職人の願いから始まった挑戦が、
福岡の文化や経済を静かに支える力となる。
このことから、お商売を通じた地域づくりや地域との関わりかたへのヒントが見えてきます。
まとめ:始めるのに、年齢も、立場も関係ない
森千太郎は、特別な肩書きがあったわけでも、若くして大成功したわけでもありません。
ですが、自分なりのやり方で信頼を積み重ね、人の心に届くものを作ってきました。
私たちの再出発にも、同じことが言える気がします。
- 過去の経験や手仕事は、きっと誰かの役に立つ
- 大きな一歩は、小さな積み重ねから生まれる
- 思い切って行動した先に、新しいチャンスがある
どこかで一度立ち止まった人にこそ、森千太郎のような歩み方は心に響くかもしれません。
もし今「何かを始めたい」と思っていたなら、
それはもう、再出発の第一歩です。
参照資料URL
https://corp.josuian.jp/about-us/history/
https://corp.josuian.jp/wp-content/themes/josuain-wp/pdf/gojunimangoku-history.pdf
株式会社如水庵 企画販促部



