この世界、知らんことだらけ:Vol.4リカちゃん人形は苦い味

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:この世界、知らんことだらけ

苦い靴
子どものころ、夢中で遊んだリカちゃん。
華やかなドレスを着せたり、髪を三つ編みにしてはほどいてを繰り返したり。
靴が小さすぎて、左右逆でも「履けたからOK」って満足してたあの頃。

あのときはただ「かわいい!」って楽しんでいただけなのに、大人になって知ったある事実に、ちょっと胸がぎゅっとなった。

リカちゃんの靴が苦い

実は、リカちゃんの靴が苦いように作っていることをご存じでしょうか?

…へ?なんで?靴にそんな要素、いる?って思う。
けれど、その理由を知って納得。
そして、ちょっと感動。

それは、誤飲を防ぐ“やさしさから生まれた味”でした。

リカちゃんの靴は、ほんの指先に乗るほどの小ささ。
小さな子がうっかり口に入れてしまう可能性もあるから、「うわっ、なにこれ苦い!」とすぐに吐き出せるように、あえて“苦味”が仕込まれているのだそう。

安全性が確認されている苦み成分

使われているのは「デナトニウムベンゾエート」という、世の中でいちばん苦い成分のひとつ。

ごくごく少量でも、「二度と口に入れたくない…」と思うほどのインパクト。
それでいて、安全性はちゃんと確認されている。
まさに「苦いけど、やさしい」工夫なんです。

気づかれない優しさって、すごい。
子どもは気づかない。
親もたぶん、気づかない。

けれどその小さな靴には、誰かの「大丈夫かな」がちゃんと染みこんでいたんですね。
「気をつけてね」と紙に書くよりも先に、「何かあっても大丈夫にしておこう」と考えるやさしさ。

仕組みに宿る思いやりは至る所に存在している

「やっちゃダメよ!」とたとえ声ををかけたとしても、目を離した隙に危険は潜んでいるものです。
声掛けだけじゃなくて、仕組みに宿る思いやり。
これって、なんだか日本らしい細やかさだなとも思いました。

あの頃の自分に、ちょっと伝えたい。
リカちゃんの靴はとても小さい。
お気に入りの靴がどこかにいってしまって半日探したこともありました。

そんな記憶の中に、あの“苦味”も、ちゃんとあったんだなと思うと、「ありがとう」って、ちょっとだけ言いたくなりました。

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組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

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