福岡の偉人:久留米市 音のデジタル化を実現した「CDの父」中島平太郎

さぁ、今週も金曜日になりました。
福岡を語る上で、忘れてはならない偉人伝。
毎週金曜日のお約束。
今日は、吉田 秀雄(1903年11月9日 - 1963年1月27日)
電通第4代社長のお話です。
広告とは、ただ情報を伝えるものではありません。
人の心を動かし、社会を変えていく力を持つもの。
日本の広告業界を形作り、その意義を広げた人物がいました。
それが吉田秀雄です。
吉田秀雄は、ただ道を歩むのではなく、道なき場所に道を作ってきました。
混沌とした広告業界に秩序をもたらし、商業放送の実現に奔走し、広告の国際化を推し進める。
そのすべてが、広告を社会の重要な柱へと育てるための挑戦でした。
幼少期:逆境の中で芽生えた強さ
1903年、福岡県小倉市(現北九州市)に生まれた吉田秀雄。
幼いころから厳しい現実と向き合いました。
父を事故で失い、一家は困窮。
その中で吉田秀雄は新聞配達をしながら学び続け、進学の道を模索します。
自らの未来を切り開くために養子となる道を選びました。
吉田秀雄にとって人生とは、与えられるものではなく、自ら掴み取るものだったのです。
広告業界の改革者としての歩み
東京帝国大学を卒業後、日本電報通信社(電通)に入社した吉田秀雄は、当時の広告業界の現実に疑問を抱きます。
秩序も基準もなく、ただ力関係に左右される世界。
そこで、吉田秀雄は広告の理論を研究し、合理的な取引を導入しようと動き始めました。
広告の可能性を信じ、業界のあり方を変えようとする姿勢は、時に困難を伴いました。
ですが、吉田秀雄はひるむことなく、業界全体の成長を目指して道を切り開いていったのです。
商業放送を現実のものに
吉田秀雄の挑戦は、広告の枠を超えていきました。
戦後、日本に民間放送を根付かせるべく奔走します。
GHQの規制にも柔軟に対応しながら、地域ごとに商業放送局を設立する仕組みを作り上げました。
1951年、ついに日本初の商業ラジオ局が誕生します。
これは、広告が単なる宣伝を超え、社会とメディアを結びつける新たな時代の幕開けでした。
広告の国際化と新しい未来
吉田秀雄は、日本の広告業界を世界に広げる必要性を早くから感じていました。
海外視察を重ね、欧米のマーケティング理論を取り入れ、広告会社の在り方を根本から変えていきます。
台湾の広告業界の発展にも尽力し、「広告は経済の牽引役となる」と説いて現地広告会社設立を支援しました。
広告とは社会を支え、経済を動かす力だ。
そうした視点を持って、吉田秀雄は広告業界の未来を作っていったのです。
鬼十則:仕事への哲学
吉田秀雄の仕事への向き合い方は、「鬼十則」に凝縮されています。
電通『鬼十則』
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない
- 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己を小さくする
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらない
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる
働くことの意義を端的に表した言葉は、広告業界だけでなく日本のビジネスシーン全体に影響を与えています。
ですが、その精神は「猛烈に働くことが正義」という考え方にもつながり、後の電通の過労問題とも関連が指摘されることになりました。
そう、時代の変化とともに、人の経験の仕方が変われば、受け取り方も様変わりします。
このご時世、吉田秀雄の哲学は再評価される時期。
それは、私が産業カウンセリングの場でも痛感することの一つです。
…とはいえ、
挑戦を続けることは、自らを大きくし、社会を動かす原動力となるもの
それは、生きる上で不変の存在です。
吉田秀雄の生きざまは、広告業界のみならず、働く人にとっても指針となりました。
未来への問いかけ
吉田秀雄が生涯かけて問い続けたのは、
「君は、自らの道を作れているか?」
ということでした。
吉田秀雄の人生は、ただ既存のやり方に従うのではなく、新しい道を作り出すことに捧げられ、先頭に立って世の中を引っ張っていく存在でした。
現状に甘んじるのではなく、理想を掲げ、新しい未来を切り拓くこと。
その精神は、現代の私たちにも強く響くものがあります。
何かを変えたいと思ったとき、迷いが生じたとき、吉田秀雄の歩んだ道を思い出してください。
あなたの人生は、あなた自身が常に開拓していくもの。
人生という道は、自ら生み出し、作るものなのです。
参考ページ
https://www.yhmf.jp/outline/biography/
https://www.yhmf.jp/.assets/yhmf_40th.pdf
https://www.yhmf.jp/outline/biography/achievement/



