産業カウンセラーが守る職場:カスタマーハラスメント法案

最近、SNSを見ていると、なんだか自分の考えとぴったり一致している気がする…。
そんな感覚になる経験はありませんか?
まるで、あなたのためだけに作られた情報の楽園。
ですがそれ、ちょっとちょっと待った。
実は思っているよりも心理的影響大の危険が潜んでいます。
あなたの傾向に合わせた情報を表示するフィルターバブル
フィルターバブルとは、検索エンジンやSNSのアルゴリズムがあなたの過去の行動を分析し、「あなたが好きそうな情報」だけを優先的に表示することで生じる現象です。
これは便利な一方で、異なる視点に触れる機会が減り、気づかないうちに「情報の泡」に包まれてしまうのです。
今回は、このフィルターバブルの仕組みや実例、心理的影響、そしてその対策について伝えます。
1. フィルターバブルとは?
ある日、あなたがカフェで「おすすめのコーヒーは?」と聞いたら、店員が「あなたが過去に頼んだものだけ」をメニューに載せてくれたらどうでしょう?
「いやいや、新しい味も試したいんだけど!」と思うかもしれません。
それは、他にも新しい味があると知っているからわかること。
…もし、そのことを知らなかったらどうなりますか?
そう、他のものがあることを知る機会を損なわれてしまい、存在すら知らないままなのです。
これがフィルターバブルの仕組みです。
インターネットはあなた好みにカスタマイズされている
インターネットの世界では、検索エンジンやSNSのアルゴリズムがあなたの過去の行動を分析し、「あなたが好きそうな情報」だけを優先的に表示します。
これは便利な一方で、異なる視点に触れる機会が減り、気づかないうちに「情報の泡」に包まれてしまうのです。
~ちょっと余談~
この「あなたが好きそうな情報」というのは関連するサイトだけではないようです。
笑ったのはGemini君の画像生成にまで影響していることがわかる出来事がありました。
私は喜多川歌麿風の美人画で浮世絵風の女性という文章を打ちました。
そうすると、浮世絵とはさっぱり関係ない下記のような着物姿の女性が生成されるわけです。
同じような文言で知り合いも浮世絵風の美人画を作ってとお願い。
出来上がった美人画は、私の美人画とは全く違って、日本の怖い昔話に出てくるような恨めしそうな顔をした乱れ髪の女性像。
まるで「四谷怪談」「皿屋敷」「牡丹燈籠」に出てきそうな姿。
それも、手が三本あったり、一本だったり。
そのうえ、キツネのようにカップを加えた姿で迫力満点。
まさに日本の怪談話にぴったりのホラー画像。
…実は、その方はホラー系は苦手。
ですが、検索ワードって、心配事や不安なことを率先してネット検索している方なんですよ。
日頃のうっぷん含めて怒りをぶつけていることもあるようです…。
そう、Geminiはクロームの情報を得ていますから、その人の心模様も画像で映し出すんだと笑えました。
2. フィルターバブルの実例
フィルターバブルの影響は、政治、社会問題、経済などさまざまな場面で見受けられます。
以下のような具体的な事例があります。
日本でも多く見られているだけでなく、世界でだって同様。
身近なところで忍び寄るフィルターバブル現象なんです。
① 2016年の米国大統領選挙
Facebookのアルゴリズムにより、共和党支持者にはトランプ氏の支持投稿が、民主党支持者にはクリントン氏の支持投稿が優先的に表示されました。
結果として、異なる党の情報に触れる機会が減り、選挙期間中の社会的分断が深まったとされています。
② SNSのタイムライン
TwitterやInstagramのタイムラインでは、ユーザーが過去に「いいね」した投稿やフォローしたアカウントの情報が優先的に表示されます。
これにより、異なる意見や視点に触れる機会が減り、特定の価値観が強化される傾向があります。
③ 新型コロナウイルスワクチンに関する情報
ワクチンに関する誤情報がフィルターバブルの影響で拡散され、「ワクチンによる不妊」「免疫破壊」などのデマが広がりました。
一部の人は、これらの誤情報が事実であるかのように認識してしまい、ワクチン接種を避ける動きが生じました。
④ 消費者の購買行動
オンラインショッピングでは、過去の購入履歴や閲覧履歴に基づいて商品が推薦されます。
これにより、ユーザーは自分の好みに合った商品を見つけやすくなる一方で、新しいブランドや異なる選択肢に触れる機会が減ることがあります。
おすすめ表示がなされないと、この世に存在しているにもかかわらず誰にも知らされることがない。
そう、世の中に存在していることすら知らされない商品やサービスになるのです。
3. フィルターバブルが心理に与える影響
フィルターバブルは、私たちの思考や感情にさまざまな影響を及ぼします。
以下のような心理的な変化が起こる可能性があります。
① 確証バイアスの強化
人は、自分の考えを裏付ける情報を好む傾向があります。
このことを「確証バイアス」といいます。
フィルターバブルによって、ユーザーは自分の意見を支持する情報ばかりを受け取るため、異なる視点を排除しやすくなります。
結果として、「自分の考えが正しい」と確信しすぎてしまう。
そのことで、他者の意見を受け入れにくくなる「確証バイアス」に溺れることがあります。
② 社会的分断の加速
フィルターバブルの影響で、異なる立場の人々が対話する機会が減り、社会的な分断が進む可能性があります。
たとえば、政治的な議論では、自分と同じ意見の人ばかりが集まり、異なる意見を持つ人々との対話が減少します。
これにより、対立が深まり、社会全体の結びつきが弱くなることがあります。
③ ストレスと不安の増加
フィルターバブルの中で、特定の情報ばかりに触れると、過度に不安を感じることがあります。
例えば、災害や経済危機に関する情報ばかりを見ていると心理面に影響しやすい。
「世界は危険だ、未来は暗い、絶望的だ」
といったネガティブな思考が強化され、ストレスが増加することがあります。
④ 自己肯定感の低下
SNSでは、自分と似た価値観を持つ人々の投稿が優先的に表示されます。
これにより、「みんなが成功しているのに、自分は…」と感じることが増え、自己肯定感が低下することがあります。
特に、成功や幸福を強調する投稿ばかりを見ていると、「自分は十分ではない」と思い込んでしまうことがあります。
この考え方はちょっと厄介。
リセットするのに、人の話を信用できない。
「自分は駄目だ」という思考にどっぷりとつかってしまうと「悲劇の主人公」に溺れてしまいます。
日々の探し物は、劣等感を増幅させる情報を率先して探します。
また、逆もしかりなのです。
4. フィルターバブルを回避する方法
フィルターバブルの影響を軽減し、心理的な健康を保つためには、以下の対策が有効です。
異なる情報源を活用する
SNSや検索エンジンだけでなく、新聞や専門家の意見にも目を向けることで、多様な視点を得ることができます。
検索履歴を定期的にクリアする
プライベートブラウズを活用し、アルゴリズムの影響を抑えることで、より公平な情報に触れることができます。
意識的に異なる意見に触れる
自分と異なる立場の意見にも耳を傾けることで、より広い視野を持つことができます。
SNSの使用時間を管理する
情報の偏りによるストレスを軽減するために、SNSの使用時間を制限し、リアルな対話の機会を増やすことが重要です。
まとめ
フィルターバブルは、情報の利便性を向上させる一方で、心理的な影響をもたらすこともあります。
だからこそ、情報の多様性を意識し、健全な情報環境を作ること。
そのことで、心を柔らかくし、できないことに固執し、執着する必要性のないことがわかる。
結果的に、よりバランスの取れた思考を維持することができるのではないでしょうか。
とはいえ、一度スイッチが入ったら、なかなか気が付かないのが人間。
そんな時には、社会全体のことを加味して話を聴いてくれる産業カウンセラーの力を借りてくださいね。



