偏見のレンズ：心のフィルターで歪む現実

チホズスタジオ
産業カウンセラーの鎌田千穂です。
福岡市でオンラインや訪問を中心としています。
事業内容は産業カウンセリング及びコンサルティングサービスです。
チホズ文字分析による、人材分析及び提案も行っています。

前回の記事では認知の歪みの種類とその分類の中でお伝えした、【極端な自己基準による歪み】適度な「こうあるべき思考」と過激な「こうあるべき思考」について紹介しました。
今回は【思い込みと偏見による歪み】の「心のフィルター」について掘り下げます。

「心のフィルター」は、私たちの認知に大きな影響を与え、物事を偏った視点で見てしまう傾向があります。
では、さっそくこのテーマをお伝えします。

心のフィルターとは？

心のフィルターとは、出来事や情報を選択的に受け取る思考パターン。
良い面を無視し、悪い面だけを率先して取り入れてしまい、更に自分自身を追い込むように煽りを加えることで、真実や現実を大幅に歪めてしまうものです。

どんなことなのかを例えて言うなら
仕事の評価だと・・・。
一日の大部分を成功させても、一つのミスを過大に取り上げて自己評価を下げる。
まるで、完璧なケーキに乗った一粒の苺に少し傷ついているだけで、ケーキ全体がダメだと感じるようなものです。
不思議なんですよね。
この気持ちを持った瞬間に、全ての美味しさを半減させるほど味覚にも影響を及ぼします。

家庭の場面だと・・・。
家族との楽しい時間を忘れ、たった一度の口論をいつまでも気にする。
まるで、素晴らしい映画の中のなかでラストシーンに不満が残ると、その映画全体が台無しだと感じて落胆するようなもの。

友人関係だと・・・。
たくさんの支えや励ましを受けても、一度の無視や誤解を過剰に気にする。
まるで、たくさんの星が輝く夜空なのに、月の明るさが勝り星の輝きが見えなくなるようなもの。

心のフィルターがもたらす影響

心のフィルターは、私たちの心に様々な影響を与えることに。
考えられるような具体的なことには以下のような影響があります。

全面否定の拒絶思考

心のフィルターは、全面否定の拒絶する気持ちを増幅させます。
そして良い出来事は軽んじるか無かったものにすることで、常に否定的な視点から判断しがち。

自尊心の低下

心のフィルターにより、自己評価が低くなることがあります。
悪い情報だけを取り入れることで、劣等感マシマシ。
自尊心を自らで低下させてしまいます。

人間関係の悪化

心のフィルターは、人間関係にも悪影響を及ぼします。
良い側面を見逃し、悪い側面だけに意識を向ける。
相手を必要以上に嫌悪することや恐怖心を煽り不安から誤解が生じることも。

心のフィルターの良い面

心のフィルターには良い面も存在しますよ。
適切に機能すると、良い情報を優先して受け取ることができる。
そのことで、ストレスを軽減し、前向きな気持ちを維持する助けになります。

できることの強化

心のフィルターをできることの方向に向けること。
日々の生活の中で良い出来事や楽しい経験をより多く認識することが増えていく。
このことで、全体的な幸福感が向上します。

ストレスの軽減

できることのフィルターを通して物事を見ると、ストレスを感じる状況でも冷静に対処しやすくなります。
悪い出来事をあまり重要視しないことで、心の負担が軽減されます。

自尊心の向上

自分の成功や良い点をより認識することで、自己評価が高まり、自尊心が向上します。
このことで、自己肯定感が強まり、前向きな自己イメージを増やして行動につなげることができます。

人間関係の改善

できることのフィルターを通して他人を見ると、相手の良い面を認識しやすくなります。
これにより、他人との関係が改善され、より良いコミュニケーションが取れるようになります。

良い出来事ノートをつけて心のフィルターを切り替える

毎日の良い出来事を記録することは思ったよりも効果的。
全面否定の拒絶思考から広がる心のフィルターを減らすことができます。

やり方は簡単。
「今日あった良いこと」を毎日書き留めるだけ。
できることの視点を養うことができます。

良い出来事ノートの付け方4ステップ

手順は以下の4ステップ

①　毎日書く時間を決める
　　朝起きたときや寝る前など、自分の生活リズムに合った時間を選びます。
②　感謝していることを3つ書く
　　その日に感謝していることを3つ挙げます。小さなことでも大丈夫。
　　「今日、美味しいコーヒーを飲んだ」
　　「友人からメッセージをもらった」
　　「天気が良かった」などなど。
③　具体的に書く
　　ただ「ありがとう」と書くだけではないですよ。
　　具体的に何に感謝しているのか詳しく書きます。
　　具体的に書くことで、その出来事をより鮮明に思い出せるからです。
④　日常の小さなことも見逃さない
　　大きな出来事だけでなく、日常の小さな幸せにも目を向けます。
　　「バスが時間通りに来た」
　　「仕事でちょっとした褒め言葉をもらった」などなど。