定着率向上の鍵:産業カウンセラーが提案する新たなアプローチ
私の本業は業務改善と人材育成のコンサルティングです。
多くの企業で業務改善と15,000人以上の人材育成を行っていると、
色々な専門業をご経験してこられた方とお会いする機会が増えます。
そのうち、保育士をご経験されて5年未満で退職し、
保育士を選択せずに、別業種を変えてお勤めし、
業種が合わずに転職を繰り返されている方のなんと多いことか。
その7~8割ほどが、劣等感や自己否定感が強く、
メンタルヘルス不調のサインが見られています。
そりゃ、そうですよね。
子どもと関わるプロで学んできた方々が、
企業の“あり方とやり方”
“大人との関わり合い方”については、
学ぼうにも学ぶ環境が整っていないのですから未成熟なのは当然のことかもしれません。
また、保育士養成講座を卒業したばかりの保育未経験者の方でさえ、資格を取ったらプロとして子どもを育成指導する側となります。
昔と違って、上の子が小さい子のおむつ替えをすることなどの保護者を手伝うことが過少になっている時代、その方々が数年間の机上の空論で学ぶ事を中心となった勉強を行い、実習先でたった数日間の保育実習で新任保育士がプロとして現場に入るのですから、自信喪失するのは予測できることです。
その上、命がかかるお仕事ですから、とっさの判断力と決断力が必要になる機会が多く存在します。
子どもと関わるときに保育現場で譲れないことは、
子どもがケガをすることなく、健やかにのびやかに日々過ごすためを念頭に置いた行動が日常茶飯事になり、時には大人特有の力技を使い、保育や教育指針にのっとった仕事をおこないます。
ですが、企業に勤めると、
世間が受け入れる品質・サービス・利益を念頭に置いた行動を要求されます。
その為、保育現場では全く経験しないようなことが多数存在します。
そんな時に、企業カウンセリングやコンサルティング、就職・再就職支援の人材育成支援をしている中で、途切れることがないほど苦悩している元保育士と出合うのです。
そして、頭の整理をする手伝いをしながら、企業と園の違いをお伝えし、保育現場に戻ることで本領が発揮される事を伝えることが殆どです。
ですが、こと元保育士の方に限っては、
「もう保育園には戻りたくない!」と駄々をこねた子どものように強くおっしゃる方が9割ほど。(苦笑)
もともと働いていた園は皆さんどこも違うのにも関わらず、苦笑いするほどに全く誤差が無く、同じ事で辞めたいと回答をされるのです。(苦笑)
そして、保育士を続けたくない理由に関しても、他人の評価を気にするがあまり理由づけとして言えば、厚労省が調べている内容、「結婚・出産・家事・育児・介護等が一番」
ですが、それは「職場の人間関係や保護者との対応を気にする」が故の言い訳であり、そう言わなければ自分が辞める正当な理由が必要だということも同じです。
カウンセリングをしていれば、そんな「真の理由」にたどりつくことは普通なのですが、保育業界はどうしても、力関係に依存する体制が残っていて、建前と本音の切り分けを必要以上に要する職種みたいなので、通常は真の理由が表に出にくいのかもしれません。
その為、今のままで時代変化にのりこそなっているままの園と組織や考え方では、
執拗にメディアに叩かれる業界にもなるんだろうなと感じています。
今回、福岡県の保育士離職防止セミナーで私が話す内容は、
時代変化に伴った企業の在り方と潰れやすい新人の傾向があるので、
将来の日本の未来を担う方と始めの段階で関わる保育現場に求められていることや
いま行っている保育と社会で求められていることとの格差を違う視点で考えてもらい、
これからの園の“あり方とやり方”
“大人との関わり合い方”について、
そして園の組織体制や運営につなげてもらえたら良いなぁと簡易的な内容を織り込む予定にしています。
ただ、こういったセミナーを開催するとき毎回同じなのは、
問題意識が高いところ程こそ、情報収集にお見えになります。
逆に、「うちは大丈夫」「現場をわからない人の話を聞くだけ意味がない」とお考えのところは、問題が勃発した時に、どうしたら良いかと混乱され、藁をも掴む思いでご連絡があるのも普通です。(苦笑)
そんなこともあって、
私はそんな企業経営者や現場を目の当たりにする仕事なので、
自分の利益は後回しで、すべてを反面教師として、先手を打つことを選び、自分の会社の人材育成にも、外部を入れながら関係性を保つ為の投資を日々行ってます。