賞与の月給化の効果は?

北出慎吾

北出慎吾

テーマ:コラム

おはようございます。福井の社会保険労務士 北出慎吾です。12月の足音が聞こえ、周りでもインフルエンザで休む方が増えてきました。毎年11月から増え始め、1月ぐらいにピークを迎えますが、2025年度は11月には昨年の実績を上回り、12月にはピークを迎えそうです。予防接種やマスクなど感染予防を行っている方も多いと思いますが、大事なのは免疫。食事や運動などで免疫をつけましょう。私もゴルフで運動していますw


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冬の賞与の査定に向けて面談を始めている企業も多いと思います。賃上げやインフレ対策のひとつとして賞与を給与に組み込み、月額の給与を増加させる、いわゆる「賞与の月給化」★が(退職金の月給化も同様)大手企業を中心に導入されていますが、実際の所、効果はどうなんでしょうか。
★賞与割合を減らして、月給に組み込む

パーソル総合研究所が「賃上げと就業意識に関する定量調査」を公表しその中に賞与を月給に組み込むことの調査結果を発表しました。賃上げとモチベーションについて、「ベースアップ」があっても半数はモチベーションが高まらず」自社でベースアップがあった人のうち、モチベーションが向上したのは約半数にとどまりました。年代別に見ると、ベースアップでモチベーションが向上した人の割合は、20代で6割弱。年代が高いほど、モチベーションが向上した人の割合が低く、自社でベースアップがあっても半数以上はモチベーション向上につながっていない。という結果でした。グラフを見ると、20代・30代は歓迎、40代以上は後ろ向きというような傾向です。

一部声を拾ってみると、
・「退職金の月給化を実施してほしい」(25歳男性,教育・学習支援業)
・「賞与の月給への組み込みをしているだけで、総額年収は変わらない。40代以上はベースアップの恩恵がなく、20-30代と経営層のみ年収が上がっており、やる気が出ない」(44歳男性,製造業)
・「賞与を月給に組み込むことで、業績を反映した賞与に期待できなくなる」(51歳女性,宿泊・飲食サービス業)
・「退職金制度がなくなったのが不安」(31歳女性,金融・保険業)

社員の年齢層にもよるためこれが最適というのはなかなか難しいですが、報告書には、離職防止には他社との横並び(ヨコ比較)ではなく、「給与の未来展望」(タテ比較)を示すことが鍵であると提言しており、賞与の一部を月例給与に組み込むことが「未来の安定性」の手段となることも記載されています。

1.将来不安の直接的な軽減
賞与は業績連動性が高いため、将来の変動リスクがあります。対して、月例給与を安定的に底上げすることで、従業員は「毎月の生活が支えられる」という確かな安心感を得られます。これは、「給与が変わらない」ことによる離職リスクを直接的に解消する力もあります。
→月額給与が上がることで社会保険料のアップも想定されますので、導入の際にはシミュレーションが必要です。

2.納得性・透明際の担保
継続就業意向を高める要素として、給与の「調整方針の透明性」や「決定方針の透明性」といった「納得性」が非常に重要です。賞与の一部を固定的な月例給与に移管することで、従業員は自分の労働対価がより明確になり、給与体系に対する納得感と信頼感が向上します。
→人事評価制度の導入は不可欠でしょう。

3.育成意欲の維持
自身と部下・後輩との給与差の縮小や、将来の昇給期待の喪失が、上司・先輩層の育成意欲を低下させている点も懸念されています。月例給与の安定的な上昇カーブを示すことは、中堅・ベテラン層に対し、「自分自身の未来も明るい」という確信を与え、結果として組織全体の育成力を維持・向上させる効果が期待できます。
→中堅・ベテラン社員にも1on1などで意思疎通を図っておく必要があります。

賞与を月給に組み込むことはひとつの方法であり、見せ方についても効果がありますが、企業の戦略となりそうです。

詳細はこちら
https://rc.persol-group.co.jp/wp-content/uploads/thinktank/data/wage-increase.pdf


【編集後記】
我々の仕事は、パソコンで行う仕事も多いのでどうしても運動不足になりがち。健康経営のために社内で何か啓発しようかな。。。

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北出慎吾
専門家

北出慎吾(社会保険労務士)

シナジー経営社会保険労務士法人

顧問契約(労働・社会保険の書類作成、手続き代行)や給与計算業務だけではなく、会社を発展させ、リスクから守る就業規則の作成、人事評価制度の構築や社員研修などを得意としている。返済不要の助成金提案も好評。

北出慎吾プロは福井テレビが厳正なる審査をした登録専門家です

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