いよいよ4月より施行の配偶者居住権  <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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テーマ:令和二年度税制改正

令和2年度予算は2月末衆院を通過、年度内成立が確実となる一方、税制改正法案まで自動成立とはならないのですが、今回は、令和2年度税制改正法案の内、4月から施行となる配偶者居住権に係わる改正点を、以下にて取り上げたいと思います。

配偶者居住権税制の概要と改正の背景

平成30年の民法改正により配偶者居住権が新設(4月より施行)されたことに伴い、令和1年度の税制改正で配偶者居住権・配偶者敷地利用権(いずれも物権でなく無償使用権)の相続税評価方法も定められ、建物の残りの耐用年数や平均余命など、配偶者が後どれだけ自宅に住めるかをもとに複利現価率を適用して配偶者居住権・敷地利用権の価額をまず算定し、建物・敷地の所有権評価額は、全体の価額からその算定された価額を控除した残額として計算することとされた。配偶者が死亡した場合、配偶者居住権は消滅し、その結果、家屋等を相続した相続人へ配偶者居住権が自働移転するも相続税は課税しないとされた。一方、配偶者居住権の合意解除や放棄があったとき、対価の支払いがなかった場合、配偶者から建物等の所有者へ配偶者居住権等の価額の贈与があったものとするとされたが、対価の支払いがあった場合の取扱いは明示がなかった。

改正事項

対価の支払いがあった場合は譲渡所得とするとされ、譲渡所得の計算における取得費は下記の取扱いとなり、対価の支払いがない場合、配偶者から下記(1)の金額を贈与されたとされる。

(1) 配偶者居住権等が消滅等をし、配偶者がその消滅等の対価として支払いを受ける金額がある場合の取得費:居住建物等の取得費× 配偶者居住権等割合- 減価の額

(2) 居住建物等を取得した相続人が配偶者居住権等の消滅前にその居住建物等を譲渡した場合の取得費:居住建物等の取得費 - 配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費

留意事項

留意事項は下記の通りです。

1)配偶者が対価を得て譲渡した場合に、居住用財産の3,000万円控除をはじめとする居住用の特例の適用が可能となるか否か不明。

2)配偶者の死亡時に配偶者居住権は消滅し、相続財産でなくなるため配偶者所有権の設定登記は節税に繋がるが、資金的要請からの売却の必要性含め、総合的な判断が必要。

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