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コールセンターの応答率を上げるには、何から手を付ければよいのか対策を詳しく解説

2021年12月4日 公開 / 2022年9月6日更新

テーマ:コールセンターの課題解決

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: チームビルディングマーケティング戦略企業ブランディング

質問です。
お客様窓口、所謂コールセンターの利用頻度って、どれぐらいですか?

毎月使っている人も居るようですが、多くの人は前回いつ使ったのか覚えていない??ほど、昔に使ったか覚えていない程度と云う人も珍しくありません。
このように利用頻度には個人差が有るようですが、コールセンターに関する印象に関してはあまり個人差が無いようです。

その印象とは、・・・・・。

  • 繋がらない。
  • 待たされる。

と云うネガティブな印象です。

何時かけても、だいたい「ただいま、大変込み合っています。しばらくお待ちいただくか、しばらくたってからおかけ直しください」と云う録音音声が聞こえてきます。
電話を掛ける利用者は、もう慣れっこになっていますが、是非改善して欲しいとも考えています。

問題です。

コールセンターの管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)たちは、利用者に与えるネガティブな印象に気が付いていないから改善されていないのでしょうか。

ヒントです。

あなたが利用者側のとき、待たされてやっとオペレーターに電話が繋がった瞬間、何か一言いいませんか??
「いつまで、待たせるんだ」もしくは、「やっと、繋がった」
ですよね。
だから、オペレーターは長く待たせてしまい、申し訳ない。
と毎日プレッシャーを受けながら一件いつけんの応対に臨んでいます。

先ほどの『問題』の回答は、後ほど回答しますので、もうしばらくお待ちください。
そして今回のコラムは、コールセンターの応答率の上げ方について開設します。

コールセンターの重要管理指標(KPI)の応答率とは何??

先ほどの『問題』の回答をします。
コールセンターの多くの管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)たちは、利用者のネガティブな体験や印象を知っています。
『繋がらない』『待たされた』などのネガティブな体験を利用者がしている事も、不快な印象を受けている事も、もちろん知っています。
では、知っていながらネガティブな体験や印象の改善がなぜ進まないのでしょうか。
コールセンターの管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)と直接利用者の応対を任されているオペレーターも、出来ればすぐに繋がり、すぐに問題を解決したいと考えています。
理由は、不快な印象はコールセンターを運営する企業にとって、サービス利用や再購入の妨げになってしまうからです。
あえて乱暴な言い方をすれば、コールセンターが自社のサービスや商品販促の営業を妨害してしまいます。
自社の営業妨害は、誰でもしたくありません。
電話を使った問い合わせでコールセンターを快適に利用してもらうためには、利用者とオペレーターは必ず一対一になる必要が有ります。
更に、電話が終わってからの記録の保存作業が必要になるので、コールセンター管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)は電話利用者数よりオペレーターの要員数を増やさなければ、なりません。
しかし、現実はコールセンター利用者より、応対を担当するオペレーターの人数が少ないために、待ち時間が必要になります。
電話を待つ状況は少し分かり辛いので、スーパーのレジ待ちのイメージです。自分の順番が来るまで、待ちます。
実は、順番を待つ待ち方にも、いくつか種類が有ります。

  1. 空いているオペレーターの誰でもよいから、誰かが空くまで待つ方式、
  2. 特定のオペレーターが空くまで、待つ方式
  3. ある程度待っても、オペレーターが空き状態にならずに、他のグループなどに溢れる方式
  4. あえて、待たせない方式

等が有ります。
更に、

  1. 待つと覚悟を決めたら時間無制限に待たせる方式
  2. 待つと覚悟を決められても、時間が来たらシステムから一方的に切られてしまう方式

などです。
これらの方式を選択しているのは、コールセンターの運営者側ですから、当然利用者に与える体験や印象を知らないわけが有りません。
そのため理想は、利用者にコールセンターで問題なく快適に手続きが進んだ。やっぱり、自分が選んだサービスや製品に間違いはなかった。と感じて欲しいのです。
しかし、コールセンターの管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)と応対を担当しているオペレーターは、理想と運営予算と云う現実の板挟みになっていて、厳しいコスト管理に支配されています。
そのため今まで立ち上げてきたコールセンターシステムには、必ずと言ってよいほど応対フロアーの中でも、誰からでも一番よく見えるところに応答率や待ち呼数などの重要管理指標(KPI)を表示する電光掲示板を設置しています。
あるコールセンター長さまに、コールセンターシステムの構築後のお引き渡しでKPIや応答率について、ご説明したときに一言
「KPIの変化を注視して、勘と度胸でオペレーターの要員配置数を流動的に決めなければならないのね」
「それは、責任重大で、神経が磨り減る仕事を引き受けてしまった」
と、仰っていました。

センター長に説明したKPIの定義とは

  1. コールセンターの利用者の満足度とコールセンターで働く人たちの緊張感を刺激する指標
  2. コールセンターで働く管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)やオペレーターが、理想と現実の中で程よいバランスを保つ勘を養い、利用者と接する時の度胸を決める指標

です。

【参考資料】

個別に定義連れている代表的なKPI(重要管理指標)

  1. 応答率        応対件数÷利用者が架けてきた電話の件数
  2. 放棄呼件数      放棄呼とは、オペレーターに繋がる前に電話が切られた件数。
  3. 放棄呼率       放棄呼率とは、放棄呼数÷利用者が架けてきた電話の件数
  4. ASA(平均応答速度)   コールセンター利用者がオペレーターとつながるまでの平均時間
  5. ATT(平均通話時間)   電話応対に係る平均時間
  6. ACW(平均後処理時間) 電話応対の内容をまとめ、履歴として残す平均作業時間
  7. サービスレベル    各コールセンターが決めているASAの遵守率

コールセンターの応答率はなぜ重要なのか

コールセンターに使える資源は、無限ではありません。

例えば

  1. コールセンターの所在地、や設置数
  2. お問い合わせを扱うサービスや商品
  3. 扱うサービスや商品へのお問い合わせに見合う要員の確保
  4. 確保した要員の教育とスキルの維持と向上
  5. コールセンターで継続して働いてもらうための貢献意欲を引き出す誘因の提供
  6. クレーム対応と再発防止と未然防止対策の推進
  7. 離職者を出さないマネジメント

等が有ります。
1. と2. は、コールセンターが直接決める対象ではありませんが、運営には結構インパクトがある要素です。
コールセンター長と管理者(MG,SV、リーダーなど)は、3 、4 、5 、6 、7 を任されているようです。
このリストの中に、給料などの福利厚生要素が抜けていると感じている方もいらっしゃると思いますが、・・・・・。
ある研究によると、仕事への貢献意欲に及ぼす要因の中に、給料は必要だけれどさほど重要視していない。と云う研究結果が発表されています。
その研究結果を一言で説明すると、働く人にとって、給料は生活が確保できて余裕が有れば、その線から上は幾らでも一緒と云う感じでしょうか。
本題に戻ります。
『コールセンターの応答率はなぜ重要なのか』でした。

質問です

応答率が悪いと、どうなるでしょうか。

ヒント

応答率が悪い状況とは、ASA(平均応答速度)に時間が掛かって、サービスレベルもさほど良くなく、放棄呼も多い状態ではないでしょうか。
多くのコールセンターのフロアーでは、電光表示板でこの状態を管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)もオペレーターも自席からよく見えます。
この条件が揃ったときのコールセンターの利用者の満足度とオペレーターの緊張感を考えてみてください。

答えです

KPIを観ているオペレーターの応対に臨む覚悟の度合いはマックスになり、不機嫌な利用者と電話を介してロックオンされている、
状況です。
想像しただけで、全身がこわばり、息苦しくなりそうです。
このような状況が長く続いたら、誰だって逃げ出したくなります。
逆に、逃げ出さなかったら、ずたずたにぼろぼろにされてしまいそうです。
このままだと、ぼろぼろにされてしまうと危機感を感じたオペレーター達は、静かに離職していく事が実証実験時のオフサイトミーティングから分かっています。

ちょっと、怖かったですね。
すみません。
この怖い状況を回避するために、KPIの応答率はとても大切な指標になっています。
とは云っても、理想と予算の現実に挟まれているコールセンターの現場の緊張感は変わりません。

コールセンターの応答率の目安

次に、多くのコールセンター長が経験から導き出したコールセンターの応答率の目安について解説します。
一般的に言われている応答率の目安は、80%から95%と、少し幅が有るようです。
ただし、この応答率は、コールセンター利用者の応対を担うオペレーターの意志ではなく、あくまで理想と現実との板挟みになっている管理者(センター長、MG,SV、リーダーなど)が見ている景色だと云う事です。
一般的には、応答率が高いコールセンターは、利用者との応対時に全身がこわばり、息苦しくなるような状況ではないので、オペレーターの離職率もさほど悪化していないようです。
今まで実施してきた実証実験の結果から考察すると、応答率だけが離職率を高める要因になっているわけではないので、複数の要因が重なりコールセンターから働く人に与える誘因が、貢献意欲より下がると離職率が高まります。

誘因≧貢献意欲

応答率、クレーム件数や率と他のKPIでコールセンターの運営を切り盛りしているコールセンター長や管理者(MG,SV、リーダーなど)が多く居る事が実証実験から分かっています。
しかし、実証実験で分かったことは、それらのKPI単独で管理する方法に対して、KPIとクレーム、KPIと離職率と組合せごとのバランスの均衡点を見つけてコールセンターを運営する方法が、より多くのメリットを得られると結論付けています。

コールセンターの応答率を下げる要因とは

先ほど応答率が悪化したときの状況を想像していただきました。
今度は、応答率を下げる要因について、解説します。

応答率は、応対件数÷架かってきた電話の件数

でしたから、

  1. 応対件数と架かってきた電話の件数が等しくなれば、100%になります。
  2. 架かってきた電話の件数より、多くの対応はできないので応答率が120%と云うことは有りません。
  3. 架かってきた電話の件数より応対件数が少ないと、応答率は悪化してしまいます。
  4. コールセンターに電話を架ける原因が多くなれば、応対者(オペレーター)数が同じでも、応答率は悪化してしまいます。


今、応答率が悪化するパターンが分かりました。
3. と4. のパターンが、応答率が悪くなります。

次に3. になる状況を考えてみます。

この場合の主な要因は、

  • 架かってくる電話の件数に対して応対要員(オペレーター)数を削減している事が考えられます。
  • 一件の電話応対に係る時間が長引いてしまい、その結果お待たせしてしまう事が考えられます。

4. になる状況を考えてみます

この場合の主な要因は、

  • 何かの事情により、コールセンターに電話を架けたくなるような広告やトラブルなどの出来事が起きた反応で、架かってくる電話の件数が増えた事が考えられます。
  • クレームなどの再発防止と関連する未然防止対策の効果が表れていないため、コールセンターに電話を架けてくる利用者数が減らないばかりか積み上げられて増加傾向が続いている事が考えられます。

コールセンターの応答率を上げるには

次の話題は『コールセンターの応答率を上げるには』です。
多分運営コストを気にしなくてよければ、架かっている電話の件数に対応できる人数を投入していけば、応答率は100%となるでしょう。
しかし、理想と現実の板挟みにあっているコールセンター長や管理者(MG,SV、リーダーなど)には、この作戦は絵にかいた餅的なプランで、出来たらどれだけ幸せだろ~。と想像するぐらいですね。
現実的な対策ではなさそうです。
では、

問題です

現実的な対策って有るのでしょうか。

ヒント

先ほどお示しした
『コールセンターの応答率を下げる要因とは』の中に、ヒントが有ります。

答え

コールセンター長や管理者(MG,SV、リーダーなど)が行える制御可能な対策とは

  1. 一件の電話対応に係る時間が長引かせない対策
  2. コールセンターに電話を架けたくなるような広告に対する対策
  3. クレームなどの再発防止と未然防止に対する対策

です。

答えの各項番について、解説します

1. 一件の電話対応に係る時間を長引かせない対策

多くのコールセンターで応対しているオペレーターには、応対に係る権限が渡されていて、各自の責任に於いて最善を尽くしながら応対していく事が前提となっています。
しかし、コールセンター全体を基準にすると応対時に於ける聴き方、伝え方、考え方について、必要なことと不要なことの整理が出来ていません。
そのため、同じテーマの応対で同一オペレーターが対応しても、聴く順番や伝える項目や導く考え方などが、適宜考えられ応対を進めています。
ちょっと乱暴な表現をすると『毎回、応対の進め方はアドリブの状態』です。性善説で考えれば、たぶん問題ない内容を話しているはずですが、録音データを聴き起こして確認するまで、誰も内容の保証が出来ません。
一方で対外的に公開する文章は、複数の確認や承認を得て初めて、公開に進みます。
未承認の会話運びをいきなり、アドリブで回答してよいのでしょうか。
その対策は、スクリプトを作成し、応対で使う前に承認を得て、応対時にスクリプトを使うことをお勧めいたします。
事前に承認を得ていれば聴き方、伝え方、考え方のスタンダード(標準)が用意されているため一件の電話に係る時間が必要以上に長引くとこはなくなります。そればかりか、聴き漏れ、伝え漏れ、勘違いの削減効果も高まります。そのため、クレームに陥るリスクを軽減させることが出来ます。

2. コールセンターに電話を架けたくなるような広告に対する対策

電話応対に係るオペレーターのシフト(配置)計画は、過去営業日の中から似たような条件だった電話が架かってきた件数と、シフト計画に対する実績を基に過不足を微調整して事前に用意します。
用意されたシフト計画に基づいて、オペレーターも出勤してきます。
朝の電話受付時間になってから、事前に知らされていない広告が入っていると、コールセンターには広告を見た人からシフト計画を上回る問い合わせが寄せられます。そうなると、コールセンター内に居るスタンバイ要員をかき集めても応答率が悪化してしまいます。
もしこのような事例が起きているのなら、企画部門を巻き込んで対策を考えるべきです。できればメールを貰うだけではなく、検討会に定期的に参加するぐらいの意気込みで応答率の悪化を防いでください。

3. クレームなどの再発防止と未然防止に対する対策

コールセンターに寄せられる内容にどんな分布が有るのか調べた実証実験をしたことが有ります。
結果は、問い合わせの内容は、パレートの法則のように分布しました。
内容を分類すると30近くありましたが、問い合わせ件数が多い分類グループの中から上位2割の内容は、応対件数の約78%(約8割)を占めていました。
その中でも、改善要望やクレームとは別に、「〇〇〇が探せない」「〇〇〇が分からない」と云う分類グループが目立ちます。
これらを改善して、再発防止と関連事項に対する未然防止対策を実施したところ約20%の問い合わせ件数の削減に成功しています。
コールセンターは、足で改善要望などを探しに出かけなくても、ブースで待機していれば改善要望をユーザーが教えてくれます。
せっかく収集できる改善要望などを眠らせておかずに、どんどん再発防止や未然防止対策に活用しましょう。

そうすれば、コールセンターの応対要員(オペレーター)数を増やし続ける負のスパイラルから抜け出すことが出来ます。

コールセンターの応答率の改善は、絵に描いた餅ではない

いかがでしたでしょうか。
『コールセンターの応答率を上げるには』でご紹介した対策なら、今すぐにでも取り組めそうではないですか。
コールセンターの運営管理は、理想とコストなどの現実の板挟みになっています。

コールセンター長のお仕事は

  1. クレームやトラブルを出さない事
  2. クレームやトラブルを原因にした離職者を出さない事
  3. クレームやトラブルの再発防止と未然防止対策の推進役になる事

です。
理由は、企業内の他の部門を見渡してみてください、このお仕事に取り組むことが出来る条件が揃っている部門が見当たるでしょうか。
もし、見当たれば協議してどんどんクレームやトラブルの再発防止と関連事項の未然防止を協力し合いながら推進していきましょう。
もし、企業内にこのお仕事に取り組むことが出来る条件が揃っている部門がなければ、もう誰かのお仕事ではなく、間違えなくコールセンター長とその仲間たちのお仕事です。
是非、その気になって再発防止と未然防止対策の推進役として、立ち上がることをお勧めいたします。
そうなれば、コールセンターで働くオペレーターへの誘因が大きくなること間違えありません。

追伸.
コールセンターでお客さまとの応対に臨むオペレーターを支援する当社AI人工知能『コーチングエンジンⓇシステム』の応対支援画面について「機能説明が欲しい」とお問い合わせを頂きhttps://activecs.co.jp/news/768.html
に、公開いたしました。
是非、機能説明もご確認ください。

弊社ホームページでも運営課題の解決方法をご紹介しています。
 https://activecs.co.jp/
解決方法を仕入れご活用ください。

この記事を書いたプロ

沖本能道

AIを活用しコールセンターの価値を高める専門家

沖本能道(株式会社アクティブ・コーチング・システム)

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