妊活で人気だった低炭水化物ダイエットが話題にならなくなった理由について詳しく解説

テーマ：妊活

低炭水化物ダイエットとPCOS：過去と現在の視点

以前の主張：低炭水化物ダイエットの効果

低炭水化物ダイエットは、以前から多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の症状改善に効果的だとされ、多くの注目を集めていました。PCOSはインスリン抵抗性を伴うことが多く、低炭水化物ダイエットがインスリン感受性を高め、血糖値を安定させることによってホルモンバランスを整えると考えられていました。このため、PCOSに悩む多くの女性がこのダイエット法を取り入れ、妊娠率の向上を期待していました。

低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の摂取量を大幅に減らし、主にタンパク質や脂質を中心にした食事を摂取します。インスリンレベルを下げることができるため、血糖値の変動が抑えられ、肥満や代謝異常を抱えるPCOS患者には一時的に良い効果があったとされました。

今では話題にならない理由

しかし、最新の研究や栄養学の見解では、極端な低炭水化物ダイエットは、長期的には健康に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されています。

1)エネルギー不足のリスク

極端に炭水化物を制限すると、日常的なエネルギー供給が不足し、疲労感や集中力の低下などを引き起こすことがあります。特に妊娠を目指す女性にとって、エネルギー不足は身体機能を低下させ、ホルモンバランスを乱す原因にもなります。

2)栄養バランスの偏り

低炭水化物ダイエットでは、食事のバランスがタンパク質や脂肪に偏ることが多く、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しがちです。これにより、体内の栄養素のバランスが崩れ、ホルモン調整に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ビタミンB群やマグネシウムなど、ホルモン生成に必要な栄養素が不足することが懸念されています。

3)ホルモンバランスの乱れ

極端な食事制限は、特に女性の体にとって、ホルモンバランスを乱す大きな要因となります。妊娠を目指す場合、過剰なダイエットは月経周期に悪影響を与えることがあり、排卵や着床に問題が生じる可能性があります。

現代の推奨されるアプローチ：バランスの取れた食事

妊娠を希望する女性にとって、極端なダイエットは避け、栄養バランスの取れた健康的な食事が重要視されています。低炭水化物ダイエットの代わりに、適度な炭水化物、健康的な脂肪、十分なタンパク質を摂取することで、体全体の栄養状態をサポートし、ホルモンのバランスを保つことが重視されています。

PCOS患者には、以下のポイントを取り入れたバランスの良い食事が推奨されます。

・低GI（グリセミック指数）の炭水化物を選ぶ：急激な血糖値の上昇を避けるため、玄米や全粒粉、野菜など、低GIの食品を摂取することが推奨されます。
・良質なタンパク質と脂肪を摂取する：鶏肉、魚、大豆製品、オリーブオイル、ナッツなど、体に良い栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
・十分なビタミンとミネラルを確保する：ホルモン生成や免疫機能に欠かせない栄養素（ビタミンD、マグネシウム、亜鉛など）を摂取するよう心がけます。