中医学と現代医学の融合:不妊治療をサポートする最善のアプローチ
不妊治療で、ナゼ葉酸が注目される理由
知られていませんが、日本人は葉酸の働きに特徴があるんです。
葉酸を選ばないと妊活、妊娠中にも、影響があることも。 一般的な葉酸として販売されている葉酸は、妊活、妊娠中には向かない可能性がある、ということです。 もちろんエビデンスもあります。
つまり、妊活で葉酸を利用する場合、人工の葉酸より天然の葉酸がオススメ。
天然の葉酸でも、妊活、妊娠中への影響があることもあり、オススメは黒棗の葉酸です。
また、妊活や不妊治療中のサプリメントで重要なこととして、なるべく毒性試験をしているサプリメントがオススメ。
葉酸が妊活への影響として、日本人の約半数50%にあたる葉酸の特定の代謝遺伝子保有しているとされています。
この特定の代謝遺伝子保有していると人工葉酸を摂取することで体内で活用されにくいことがわかってきたんです。
つまり、葉酸の効果に問題があるかもしれない、ということです。
他にもFSHレセプターの反応が悪くなるため、卵胞の発育に良くない影響がでることもわかってきました。
妊活中、FSHの数値が高く、なかなか下がらない方、また卵胞の発育が悪く良い卵子が作れない方は、人工葉酸ではなく天然葉酸がオススメ。
詳しくは、「下記の日本人の約半数50%にあたる葉酸の代謝遺伝子MTHFR遺伝子C677T多型とA1298C多型があると」を読んでみてください。
他にも、天然の葉酸が妊活中に必要な理由があります。
それは、心の問題。
天然葉酸(Folate) の体内状態と“うつ病”の相関性を調査した結果、葉酸欠乏は「うつ病」の危険因子であることがわかってきたんです。
日本人の40%~50%は遺伝的に人工葉酸を上手く使うことができないません。
そのため葉酸が上手に代謝されない場合、葉酸不足になる可能性が高く、うつ病のリスクが高まるとも言われているんです。
エビデンスとして、海外だけでなく、日本国内のエビデンスでも報告されています。
妊娠中でも葉酸は必要です。
厚労省は先天異常の発症リスク低減のため葉酸の補充を妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄、通常の食事摂取に加え葉酸480µg をサプリメントから毎日摂取することを推奨しています。
では、3ヶ月以降は、というと? 採り入れた方がいいんです。
3ヶ月以降も葉酸を摂取した場合、子どもの脳の成熟度が高かったことわかってきたんです。
他にも、良いことが。
難しいコトが、苦手な方は、ここまでで大丈夫です。 もっと詳しく知りたい方は、ここからですよ~。
妊活では葉酸を選ぶことが大切
日本人の約半数50%にあたる葉酸の代謝遺伝子MTHFR遺伝子C677T多型とA1298C多型がある場合
◎卵巣のFSHレセプターの反応が悪くなる
◎卵胞の発育が悪くなる
つまり、妊娠に影響するということです。
『葉酸代謝遺伝子MTHFR遺伝子C677T多型とA1298C多型は卵巣刺激と卵胞発育に影響する』(論文紹介)
葉酸は細胞内の様々な核酸やタンパク質の合成を促進します。
生殖分野では、葉酸不足は神経管欠損との関連は有名ですが、そのほかにも葉酸代謝は卵巣機能、着床、胚形成、および妊娠の全過程に影響を及ぼすともされています。
いくつかの研究で、葉酸代謝異常は、子宮内膜症、反復流産、高ホモシステインなど、不妊症の高いリスクと関連していることが報告されています。
葉酸代謝異常を引き起こすMTHFR C677T遺伝子多型と卵巣刺激の関係を比較した報告とMTHFR C677T多型が卵巣内の卵胞の成長に関連しているをご紹介いたします。
『MTHFR C677T多型は、卵胞刺激ホルモンレベルと制御された卵巣過排卵反応に関連しています:臨床データベースからの後ろ向き研究』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30922641/
目的: 中華人民共和国湖南省の静脈内注入安全性評価センターにおける不妊女性の制御された卵巣過刺激(COH)における臨床データ分析を用いて、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)C677T多型の影響を評価すること。
患者: この遺伝的関連研究には、アクセス可能で完全な電子医療記録を備えた標準的な長期治療プロトコルを受けた722人の不妊女性が含まれていました。
結果: TTグループの基礎FSHレベルは、CCグループのそれよりも有意に高かった。TTグループのダウンレギュレーション後のFSHレベルは、CC/CT遺伝子型のFSHレベルよりも高かった。
TT遺伝子型患者はCC/CT遺伝子型と比較して有意に高いGnRHアゴニストとFSHの総投与量を受けたが、hCGの総投与量はCC/TT遺伝子型と比較してCT遺伝子型で高かった。
ホルモンレベルとCOHの結果の間のさらなる関連分析は、基底FSHレベルと胞状卵胞数および卵母細胞の数との有意な負の相関、ならびに中期II卵母細胞および卵母細胞の数とのダウンレギュレーションFSHレベルを示しました。
結論: MTHFR C677T多型は、高用量の卵巣刺激薬と、より高いFSHレベルに関連していました。
FSHレベルと卵母細胞の数の間の負の相関は、C677T多型がCOH卵母細胞の予後不良に役割を果たす可能性があることを示唆しました。
これは、より長いフォローアップを伴う将来の前向き研究で研究する必要があります。
『メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)は卵胞活動に関連しています』 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17572411/
目的: MTHFR遺伝子の多型は、細胞分裂とアポトーシスの減少に関連しています。
この発見により、MTHFR多型が卵巣内の卵胞の成長に関連しているかどうかを評価することができました。
より具体的には、排卵誘発を受けている女性の集団における2つの一般的な多型C677TおよびA1298Cの影響を調査しました。
患者: 排卵誘発を受けている223人の女性。
主な結果の尺度: 3日目のFSH、E(2)、胞状卵胞数、使用したゴナドトロピンの量、13 mmを超える卵胞の数、hCG投与日のE(2)、および卵母細胞数。
結果: 変異型MTHFR 1298 C対立遺伝子を持つ女性は、基底FSHレベルが有意に高く、卵巣刺激後、13 mmを超える卵胞の生成が少なく、hCG投与日のE(2)レベルが低く、より多くのアンプルが必要でした。
治療中のゴナドトロピンホルモンの低下。
変異型MTHFR677T対立遺伝子を持つ女性は、有意差を示さなかった。
結論: MTHFR A1298C多型は、C677T多型ではなく、より高い基礎FSHレベルと関連しており、卵巣刺激に対する反応の決定要因である可能性があります。
要約すると 日本人の約半数50%にあたる葉酸の代謝遺伝子MTHFR遺伝子C677T多型とA1298C多型を保有している方は人工葉酸を摂取してしまうと体内で活用されにくいばかりか更にホモシステインを上げてしまいますのでFSHレセプターの反応が悪くなり卵胞の発育が悪くなります。
そのためFSH高値で下がらない方、卵胞の発育が悪く良い卵子が作れない方は葉酸の代謝遺伝子MTHFR遺伝子多型の可能性がありますので人工葉酸ではなく天然葉酸を摂取することが大切です。
今回はうつ病と天然葉酸(Folate)の関係(東京大学の研究論文)
『うつ病と 天然葉酸(Folate) 』
うつ症状の生理学的な原因のひとつとしては、神経伝達物質であるセロトニン・ノルアドレナリンの減少あるいは受容体の感受性に問題があるとされており、これらの病因を治癒する薬として、古くは、三環系・四環系抗うつ薬、最近は、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、さらにはセロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)が、処方されています。
またホモシステインの血中濃度が、あるレベル以上になるとうつ病や循環器疾患・認知症の発症リスクが増加することは世界的に沢山の研究がなされています。
この有害なホモシステインの血中濃度を低値に維持している酵素として、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)が、体内に存在しており、葉酸、ビタミンB6およびビタミンB12の協力を得て、ホモシステインをメチオニンに変換しています。
天然葉酸(Folate) の体内状態と“うつ病”の相関性を調査した11件の疫学調査のメタアナリシスによると、葉酸欠乏は“うつ病”の危険因子であることが認められました。
葉酸は、チロシンからドーパミン、トリプトファンからセロトニンを合成する際に用いられます。
葉酸は気分を向上させるために効果的な栄養素の1つで、うつ病などの心の病気の人の3分の1が葉酸不足状態といわれています。
また、日本人男性約300名を対象にした葉酸摂取量とうつ症状の関係を調査した観察試験では、葉酸の摂取量が多いほどうつ症状が軽減されることがわかりました。
葉酸の摂取が少ないとうつ病になりやすい
東京大学、国立健康栄養研究所、国立国際医療センターの研究グループは、栄養摂取量とうつ症状との関連についての研究を行っていますが 『 日本人は天然葉酸(Folate) 摂取量の少ない人ではうつ症状の人が多い』 という研究結果を発表しています。
この研究では
●福岡県の20~60歳代の517人(男性309人、女性208人)を対象 ●過去1ケ月間に食べたものの栄養成分の摂取量を算出 ●うつ症状があるかどうかを問診で調査
摂取した各栄養素とうつ症状の関連を調べた
その結果
1)天然葉酸(Folate)の摂取が少ない人ほどうつ症状の割合が高かった
2) 天然葉酸(Folate) の摂取が多い人では、少ない人よりうつ症状が半減していた
3)この傾向は女性でも確認できたが、男性でより明確だった
との結果が得られました。
葉酸は Folic Acid (人工葉酸) Folate (天然葉酸塩) に分けられます。
「葉酸はDNAのメチル化(遺伝子をオンまたはオフにするプロセス)及びDNAの修復や合成に欠かせません。」
そのため「葉酸を摂取することはこうしたゲノムの機能の多くを補助する可能性が高いです。」
人工葉酸と天然葉酸塩では人工葉酸の方が生体吸収率が高いと言う利点があります。
しかし人工葉酸と天然葉酸塩では体内で代謝のされ方が両者の間では大きく異なります。 天然の葉酸塩は小腸内で代謝されるとテトラヒドロ葉酸塩(THF)に変換されメチル化します。
人工葉酸はこれとは異なり、最初に肝臓の中で還元されメチル化され、ここでは葉酸を身体が利用できる活性化HF形態に変換するために酵素ジヒドロ葉酸塩(DHF)還元酵素が必須です(THFは血液脳関門さえ通過するので、葉酸塩が神経障害に対して効くことを説明できる一つの要因)。
「Folic Acid (人工葉酸)」は、肝臓で生理活性の高い「メチル葉酸塩」に変換されないと体内で利用されません。
ところが変換する遺伝子に異常があって、「Folic Acid (人工葉酸)」を「メチル葉酸塩」に変換できない遺伝子異常の人がいます。
それは、日本人の40~50%がMTHFR遺伝子に異常がある事がわかっています。
正直、かなり多い数です。
葉酸の代謝に関わる遺伝子はMTHFR遺伝子のC677T&A1298Cの2種類です。
両方、もしくは片方に遺伝子異常がある人は、変換できないのでどんどん体の中にFolic Acid (人工葉酸)がメチル化されずホモシステインが体に蓄積されてしまいます。
これが日本人のおよそ半数が、せっかく摂取したFolic Acid (人工葉酸)が体内で使われにくい、つまり不足しやすい遺伝子型です。
実は、日本国内で市販されている葉酸サプリメントのほとんどがFolic Acid (人工葉酸)なのです。 日本人に本当に必要なのは「Folate (葉酸塩)」のほうです。
こちらは天然葉酸塩と言われていて、すでに「メチル葉酸塩」に変換されている状態なので、食べ物から摂ったのと同じように吸収されます。
日本人の40%~50%はMTHFR遺伝子のC677TとA1298C遺伝子に変異がありますのでFolic Acid(人工葉酸)では2人に1人がうつ病のリスクを改善できません。
ただ、異常があるから絶望的なわけではなくFolate(葉酸塩)のほうで正しく葉酸を摂れば、MTHFR遺伝子変異があっても防止はできるということです。
この遺伝子異常があると、葉酸が上手に代謝されない事になるので葉酸不足になり、ホモシステイン代謝が進まず血液中にホモシステインが溜まっていき高値が続くとうつ病のリスクが高まります。
日本人は特に「葉酸」を、人工葉酸(Folic Acid)ではなく、天然葉酸塩(Folate)のほうを摂ることが大切です。
妊娠中の葉酸補充と赤ちゃんの脳の発達
妊娠中の葉酸補充は出生児の脳の良好な発育に関連するというハーバード大学のグループによる研究結果が医学誌「JAMA Psychiatry」に掲載されました。 葉酸と言えば、妊娠、出産に際して最も重要なビタミンで有名です。
葉酸は、ビタミンB群に属し、補酵素として、アミノ酸やたんぱく質など、私たちの身体にとって重要な物質の合成に関与していて、DNAの合成や細胞の増殖に必須です。
妊娠期は、胎児にとっても、母親になる女性にとっても、細胞分裂が最も活発に行われるので、とりわけ大切になります。
そのため、妊娠前から妊娠初期(3ヶ月)迄、サプリメントで葉酸補充することで胎児の二分脊椎症や無脳症などの先天異常の発症リスクが約70%も低下することがわかっていますが、葉酸が不足すれば、胎児の先天異常だけでなく、さまざまなリスクが高くなります。
その中で、出生児の自閉症スペクトラムなどの精神疾患のリスクとの関連について、多くの疫学研究による報告がなされています(2)が、明確な結論は出ていませんでした。
どんな研究だったのか
アメリカでは1996年に1998年までに全ての食品メーカーは穀物への葉酸添加を法律で義務づけることを決定しました。
妊娠前の女性が葉酸を不足しないように主食に葉酸を添加し、全国民に強制的に葉酸を摂取させているのですが、このような国は現時点で世界で81か国あります。
既に20年になりますが二分脊椎症などの神経管閉鎖障害の発症数がこの法律の施行後に劇的に減少したことが検証されています。
因みに、日本では厚労省が妊娠前の女性に葉酸補充を推奨していますが補充するかどうかは個人のまかせているために穀物に添加しているような国と比べると先天異常の発症率は高くなっています。
さて、今回の研究論文では、妊娠中の葉酸摂取が出生児の脳の発育に影響するのかどうかを調べるべく、3つのグループの子どもを対象に研究を実施しています。
ハーバード大学医学部の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で、生まれた子ども292名。 そして、フィラデルフィア神経発達コホート研究(PNC)に参加した子ども861名、もう1つ、脳の発達のためのNIH(アメリカ国立衛生研究所)MRI画像研究(NIH)に参加した子ども217名です。
共通しているのは、全員、なんらかの理由で脳のMRI検査を受けていることです。 そして、子どもを出生時期で3つのグループにわけ
1:葉酸添加の法律が公布される前(1996年以前)の葉酸非摂取群
2:法律の公布と施行の間(1996年から1998年)の葉酸部分的摂取群
3:法律の施行後(1998年以後)の葉酸摂取群
にわけ、同年齢の子どもの脳の発育状況をグループ間で比較しました。
その結果は驚くべきものです。
マサチューセッツ総合病院出生児では両側前頭葉、側頭葉の大脳皮質の厚みが葉酸摂取群で厚く、脳の成熟度が高かったことがわかりました。
また、PNCやNIHの子どもでも葉酸摂取群のほうが脳の成熟度が高く、精神疾患の発症リスクが低かったというのです。
このことから、妊娠前から妊娠中に葉酸が添加された穀物を食べることで出生児の脳の発育や成熟が良好になり、精神疾患の発症リスクが低くなることが示唆されました。
妊娠3ヶ月以降の葉酸補充について
厚労省は先天異常の発症リスク低減を目的とした葉酸の補充は、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄、通常の食事摂取に加え葉酸480µg をサプリメントから毎日摂取することを推奨しています。
妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄としているのは、先天異常の発症が妊娠の極初期に発生するためです。
今回の研究結果から妊娠3ヶ月以降も出生児の健康を目的に葉酸のサプリメントを出産まで継続して摂取して方が良いでしょう。
ただし、その一方で、妊娠後期の人工葉酸サプリメント過剰摂取は出生児のアレルギーの発症リスク上昇に関連するという研究報告(3)がいくつかなされています。
そのため、継続する場合、厚労省が設定している食事以外のサプリメント摂取の上限量である1000μgを超えないように注意する必要があります。
文献) 1)JAMA Psychiatry. 2018 Jul 3. [Epub ahead of print] 2)JAMA Psychiatry. 2018; 75: 176. 3)Am J Epidemiol. 2009; 170: 1486.