温泉や湯治でダイエット・デトックスに効果的な入浴方法
温泉宿で1泊、できれば2泊。観光地を巡りながら、気持ちのいいお湯につかって日々の疲れを癒やしたい。そんな温泉旅行ファンが増えています。
また日本には、古くから温泉滞在型の湯治文化なるものがあるのをご存じでしょうか?特定の疾病を緩和させることを目的に、一定期間、温泉地で療養することを湯治と言います。
今回のコラムでは正しい湯治の仕方や、気をつけたいポイントについてご紹介します。
そもそも湯治って何だろう?
日本人は古くから温泉に親しんできました。現代人もまた日々の生活のストレス、体調不良をやわらげてくれる温泉を愛してやみません。
温泉地に保養や療養を目的として滞在し、日にちをかけて入浴することを湯治と言います。
「お風呂+旅館やホテルでの豪華な食事」に期待する温泉旅行とは、ちょっと趣が違います。あくまでも温泉が持つ効果効能を利用して、持病や病気のケアや緩和をしようという滞在です。
昔は湯治宿には自炊場が備えられていて、自分の体調に合わせた食事をおのおので準備しながら療養期間を過ごしていました。今でも炊事場付きで長期滞在が可能な場所があります。東北など、湯治の風習が根強く残っている地方です。
湯治は原点に立ち返った現代版の癒やし術。健康を取り戻そうと温泉地を訪ねる湯治客はあとを絶ちません。
湯治の期間と湯治の方法
湯治は休息を取りながら温泉につかり、体の調子を整えていく過ごし方です。
湯治には一定の期間が必要です。7日間を1クールとして3クールが良いとされる場合、21日間かけて行うのが理想です。
これは、「細胞が生まれ変わるのに2週間かかる」と言われることから考えられた理想の湯治期間で、最低でも14日間は必要とされます。
では湯治の方法をご紹介しましょう。
1クール目は、温泉湯に体を慣らしていくことから始めます。朝晩2回程度のゆったりとした入浴を心がけましょう。半身浴や寝湯などで手足をのばし、体をリラックスさせてあげましょう。
最初は3分程度の入浴をこころがけ、無理せず休憩をいれながらくつろぐ気持ちで行いましょう。
2クール目に入ると、入浴回数を1日3回程度に増やしていきます。泉質やお湯の温度、体の状態や体質などによっても異なりますが、1回の入浴時間は5~30分ほどが目安となります。
熱すぎないお湯にゆっくり入ることで、温泉成分である天然ミネラルの吸収がよくなると言われています。
毎回、入浴の前には十分な掛け湯をしてお湯に体を慣らし、毛細血管を徐々に広げてから入るようにするとよいでしょう。
ただし忙しい現代人の場合、湯治にあてる日数の確保は難しいかも知れません。そこで、1クールを3日間と考えるなど、プチ湯治を試みるプランなども登場しています。
湯治の前に知っておきたい注意点
最後により良い湯治を目指す意味でも、温泉に入る前のルールとして覚えておいていただきたいこと、現代の湯治において気をつけてほしいことをお話しします。
まずは基本中の基本からです。
体に負担をかけないように入浴直前の食事は控えてください。飲酒後の入浴も厳禁です。
入浴は思っている以上に体力を消耗します。十分な睡眠をとった状態で湯治に臨みましょう。湯治場に入る日は、移動で体も疲れています。休憩をしっかりとって体の調子を整えてからお湯に入るようにしましょう。
大量の汗をかくほどの長湯は避けるようにしましょう。せっかくの温泉成分を流してしまわないためにも、仕上げのシャワーなどは不要です。
入浴後の湯冷めにも注意しましょう。夏は特にクーラーや扇風機の前で涼みたくなりますが、急激に体を冷やすのはNGです。
お湯から上がったあとのリラックスはとても重要です。休憩を取りながら、常温のお茶や水で水分補給をしましょう。白湯(さゆ)を飲むのもいいでしょう。
大切なこととして「禁忌症(きんきしょう)」という状態も頭に入れていただきたいと思います。温泉好きの方なら、聞き覚えのある言葉かもしれません。
禁忌症とは、1回の温泉入浴であっても「体に良くない影響が出る可能性のある病態」を言います。
たとえば活動性の結核、進行した悪性腫瘍、強い貧血、少し動いても息苦しくなるような心臓病や肺の疾患、むくみのある腎臓病、消化管出血などが一般的な禁忌症で、温泉療養をしてはいけない病気や症状となります。
いずれも自己判断は避けて、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
ほかにも、温泉の泉質により注意が必要な泉質別禁忌症があり、酸性泉と硫黄泉の2つの泉質は要注意です。皮膚や結膜の過敏な方、高齢で皮膚乾燥の著しい場合は入浴を避けましょう。
湯治を行うことで効果を期待できる症状としては、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、うちみ、慢性消化器病、痔疾患、冷え性などがあります。また病後の疲労回復、健康増進のための湯治も一般的です。
泉質によって効果効能を発揮する状態としては、切り傷、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病などが挙げられます。温泉ごとに泉質は異なるので、温泉地を訪ねる際にはその都度チェックするのがおすすめです。