運送業の賃上げ率3.0%、定期昇給制度72.9%――賃金制度は今のままでよいのか?
「2024年問題には対応したはずなのに、本当にこれで大丈夫なのだろうか」。運送会社の経営者の方から、こうした不安の声をよく伺います。
トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間と定められてから、多くの会社が対応を進めてきました。しかし、届け出た36協定の内容と、ドライバーの実際の勤務実態が一致していないケースは、今も少なくありません。
私は社会保険労務士として、運送業の労働時間と賃金に特化したコンサルティングに力を入れています。
自動車運転の業務では、特別条項付きの36協定によって年960時間まで時間外労働を延長できますが、実際の上限はあくまで36協定の内容次第です。「年間960時間以内に抑えればクリア」というのは誤解であり、届け出た内容と実態のズレは、労使協定違反のリスクにつながります。
その内容が実態に合っているか不安な方は、一つひとつ一緒に確認していきましょう。
また、1年単位の変形労働時間制は、対象期間の労働日や労働時間をあらかじめ特定する必要があり、配送や荷主の都合で予定が変わりやすい運送業では、適切に運用できているか確認が欠かせません。
私は、これまで20社以上の運送会社の賃金制度・労働時間制度づくりを支援してきました。現場の実情を理解し、年間の残業時間などを把握した上で、実態に合った36協定と制度を整えます。
歩合給や固定給、残業代の計算ルールが賃金規程に明文化されていない会社も多いため、歩合給・固定残業代・各種手当の役割を明確に分けて規程化し、誰が計算しても同じ結果になる仕組みを目指します。
2025年からは厚生労働省委託事業「東京働き方改革推進支援センター」の専門家として活動し、2026年9月には東京都トラック協会の研修会で36協定をテーマに講師を務めました。
運送業を含む物流に関わる業界は、トラック適正化二法や改正物流効率化法など、これまでの商習慣が大きく変革される時代を迎えています。その変革の目的は、業界に関わる人たちの待遇改善です。
物を届ける運送業は、社会に欠かせない産業です。高齢化と残業規制によって人材不足が深刻になる今、ドライバーの待遇改善を通じて業界を支えたいと考えています。待遇改善を目的とするトラック適正化二法や改正物流効率化法の目的は、自社の36協定や賃金制度と関連するものです。


