サイバー有事が問う遠隔医療の安全性と社会的責任

嗣江建栄

嗣江建栄

テーマ:その他

医療DXが進展する中、サイバー攻撃は医療機関にとって無視できない脅威となっている。特に、複数の医療機関をネットワークで結ぶ遠隔画像診断支援システムでは、一つの障害が広範囲に波及する危険性がある。

近年、医療機関を標的としたランサムウェア攻撃により、電子カルテの停止や診療制限を余儀なくされる事例が発生している。サイバー有事は、もはや情報システム部門だけの問題ではない。

遠隔画像診断では、CTやMRI画像の送受信、読影依頼、診断レポートの返却が停止すれば、診断の遅延を招く。特に脳卒中や大動脈解離など、迅速な判断が必要な疾患では、患者の生命に直結しかねない。

さらに、患者情報の流出や画像データの改ざんは、医療機関への信頼を大きく損なう。

こうした事態に備え、通信の暗号化、アクセス管理、システムの冗長化、バックアップに加え、障害発生時にも診療を継続できる事業継続計画(BCP)の整備が不可欠である。

サイバー有事への備えは、単なる情報セキュリティ対策ではない。患者の生命を守り、地域医療を止めないための重要な医療安全対策なのである。
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