居心地の良い寝室のつくりかた

津野恵美子

津野恵美子

テーマ:インテリア

夜が長く寒い季節がやってきました。一日の1/3近くを過ごす寝室。リビングなどに比べると後回しになりがちですが、一日の始まりと終わりを迎える部屋ですから、大事にしたいですよね。 寝室デザインの中でも、あかりとベッド配置をポイントに、気持ちのよい眠りと目覚めを得られる寝室のあり方を考えます。

寝室と照明

眠りに入るときの光環境は、眠りの質を左右する重要な要素です。 寝室の照明計画で重要なことは、以下の四点。
・寝ているときに光源が見えないこと
・入眠に適した電球色の光を使うこと
・手元でスイッチ操作ができること
・あかりが複数、いろいろな高さにあること
毎日どんなときでも、明かりを消してベッドに入ればすぐに眠れて、朝目覚ましを掛けた時間まで起きることがない方ならば、さほど気にならないことかもしれません。ただ寝入りが悪い時、夜中に目が覚めてしまったときに、部屋全体が明るくなってしまう天井照明しかないと、さらに眠れなくなってしまいます。全体照明は間接照明としつつ、光に照らされている面がいくつかあり、手元を照らすスタンド照明があることが理想です。


上:ヤマノイエ
下:富士山麓の家

マンションや賃貸の時は...?

とはいえ、なかなか間接照明やベッドサイドの照明スイッチが、もともと用意されている家は少ないですよね。電気工事は、免許のある職人さんでなければできないため、なかなかハードルの 高い模様替えですが、ikeaや無印のコンセントタイプの器具と、スイッチ付コンセントでも、快適なあかり環境を作ることができます。


部屋の大きさとベッドのバランス

寝室に大きな家具を置くのは、災害時にも危険ですし、圧迫感があって落ち着きません。
6畳ならばベッド+床頭台2つのみ。8畳ならばダブルベッド+床頭台2に、ローボードや1.5m巾程度の本棚 または書斎デスクを付け足すくらいが目安です。

ヤマノイエ

寝室は最小限にリビングを充実させたいときは..?

とはいえ、リビングを最大限広くして、寝室は寝られるだけでいい、という場合もあるでしょう。その場合は、逆にベッド巾とスペース巾をほとんど揃えてしまって、ベッド回りに床面をなくしてしまうようにします。 その場合、床頭台に変わるものは壁に造り付けとし、携帯や時計や読みかけの本を置ける場所を作ること。圧迫感を和らげるよう、空間的に他とつなげるようにすること、などのポイントを押さえると、コックピットのような心地よい包まれ感のありつつ窮屈さが少ないスペースを作ることができます。


光と風を共有する家


反転する家

目覚めたときに見える風景

寝室は、一日の一番始めに見える風景です。大きな寝室でも小さな寝室でも、ベッドをどこに置いて、そこから何が見えるか。設計の時に毎回気を使うポイントです。 窓の外に広がる景色や、ベランダのグリーンを楽しめる配置。リビングの広がりをのぞき見るような配置。ピクチャーウィンドウで切り取られた空を見て、一日の始まりを実感できる配置。大好きなファブリックの質感で豊かな気分になれる配置。どんなシチュエーションにある寝室でも、お気に入りの「景色」を作ることができるはずです。

富士山麓の家

あなたなら朝一番の景色を、どんなもので彩りたいですか?

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津野恵美子
専門家

津野恵美子(一級建築士)

一級建築士事務所/津野建築設計室

人がもともと持っている心地よさを感じる「寸法感覚」を利用し、外部環境や家族との関係を踏まえながら、心地よさという漠たる感覚を数値化して、空間や暮らしに適切な寸法を与え、家族ごとに暮らしやすい家を実現。

津野恵美子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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