フレームワークのビジネスモデルキャンバスとは?簡単なビジネスモデルの作り方
企業の「人材」に対する考え方が社員のモチベーションに繋がる
「(社員は替えが利くから)足りなくなったら補充して!」
踊る大捜査線movie2の沖田仁美警視監(真矢みきさん)のセリフのようですが、社員に対してこのように考えている企業は多いです。人材流出を問題だと思わないで、湯水のように使ってしまっています。今いる人材が辞めるなら新しい人材を手に入れればいいと捉えていませんか?
2008年をピークに日本の人口は減少しているので、働き手も減ってきています。人材流出は企業にとって最も痛手と言っても過言ではありません。大事な資産である人材を大切にせずに「仕事なんだから、意欲高く働け!」と馬車馬のように働かせたり、「お客様は神様です!顧客ファースト!お客様が絶対!」と社員の感情に目を向けずに兵隊のように動くことを求めたりしていませんか?
このような成長社会型企業の社長は、仕事をさせるためには昇給だと信じてやみません。お金さえ与えていれば良いと思っている節があります。そのため、モチベーションについての議論となると「給与をアップさせれば、モチベーションは上がるはずだ!」と口をそろえて言います。確かに、以前は給与を上げればモチベーションも上がりました。しかし、人口が減少し始めたことによって社会は大きく変わっています。社会の移り変わりを知り、現状にあったモチベーションの上げ方をしていきましょう。
給与アップでモチベーションが上がっていた社会
戦後、普通の生活もままならなかった時代には、「豊かな生活」こそが〝幸せ〟だったと言えます。冷蔵庫を持っている、テレビを持っている、車を持っている、家を持っている・・・「ものの豊かさ=幸せ」だったのです。成長社会では、みんなが「ものの豊かさ=幸せ」を目指しているので、同じ方向を向いて頑張っていました。良い暮らしのために、一生懸命勉強をして、良い大学に合格することを目指します。そうすれば良い会社に入れて、終身雇用で安泰だと信じていました。何歳で結婚をして、何歳で家を建て、何歳で子供を産み、老後は夫婦でほっこりと暮らすというステレオタイプとも言える人生プランが、人々の頭の中に刷り込まれていた時代です。人々の夢やビジョンは、比較的、金太郎飴のように、程度の差はあれ画一的な面がありました。幸せのロールモデルがあったからです。「ものの豊かさ=幸せ」という方程式が成り立っていたので、出世や昇給といった分かりやすいビジョンに向かってモチベーション高く仕事を進んで行ってくれていました。
給与アップでモチベーションは上がらない社会
ものやサービスに溢れた成熟社会では、ものは十分にあるので「ものの豊かさ=幸せ」という方程式が崩れ去ります。給与の使い道が分かりません。安いものでも良質となってきた成熟社会では、誰も困っていません。一億総中流と言われるくらい、私たちの生活はお金持ちじゃなくても潤っています。人間はある程度の恵まれた生活に慣れてしまうと、「これ以上に何が必要か?」という疑問が出てきます。そのため「現状よりもさらに生活水準を上げるために残業して、もっと勉強して、より良い人生を!」と考えるのではなく、「現状で困っていないし、そんなに頑張りたくない。無理をしなければならないなら、このまま平穏な状態を保てればそれでいいかも」と考える人が増えてきました。もちろん個人差はあります。ブランド品を買って高い車に乗って、毎年2回以上は海外旅行に行く、というような生活を望んでいる人もいます。しかし、それが最大公約数であるとは言えないのです。
出世・昇進したくない若者の増加
最近の若者には「管理職になりたくない」「出世したくない」「昇進したくない」という社員・部下が多いというニュースもよく目にしますね。実際に困っている方も読者の方にも多いのではないでしょうか。しかし、貴社だけの問題ではありません。成熟社会では、取得できる情報量が増え、人々の価値観が多様化し、人々の夢やビジョンは個別化したため、「自分の夢に向き合える時間が減るから嫌だ」「今より頑張らなきゃいけないのなら出世・昇進したくない」という人が増えるのは当然なのです。全員が出世レースに乗っかっているのが当たり前だった成長社会とは違い、成熟社会では1人ひとりの目指している姿が違うのです。
企業は社員を画一的な基準で測るのではなく、社員1人ひとりに注目する必要があります。仕事において求めているものが、全員一緒ではないからです。社員が求めているものを見ないふりして、「昇格させて給与アップしたからいいでしょう」では、社員のモチベーションアップをする努力をしているとは言えません。企業がすべきは、社員1人ひとりが仕事に求めているものを知る必要があります。社員1人ひとりが毎日イキイキと楽しく働け、仕事の時間が自己実現に繋がるような環境を企業は整えつつ経済的利益を上げていくことが成熟社会では求められます。【顧客】ファーストではなく【社員】ファーストにしていくことが重要なのです。社員を大事にできる会社がニュータイプの社会を生き抜いていくことができます。
モチベーションを上げるには
成熟社会ではモチベーションを上げるには、昇給・昇格ではなく、【社員1人ひとりのビジョンを知り、その実現を図ること】が大事です。やりがいを与えることで、社員はモチベーションを高く働きます。
日々のモチベーションを維持させるには、【感情の管理】が重要です。感情の管理というと、難しく感じるかもしれませんが、大事なのは相手に寄り添うことです。社員が感情を表しているときは相手を知るチャンスです。この仕事の何に不快を感じているのか?何を面白く感じているのか?を聞いてあげましょう。
「大事にされている気がしない」と社員はいなくなってしまいます。大事にしているということが社員に伝わることが、モチベーション維持にとっても有効です。成熟社会の企業にとって、社員に大事にされているということを感じてもらうことは、人材流出を防ぎモチベーション高く働いてもらえるのでメリットばかりです。最大の人材戦略となると言えるでしょう。
進捗管理はモチベーションが低い社員にのみ必要
管理というと、感情の管理ではなく、進捗の管理の方が馴染み深いでしょう。では、ここで、そもそも、進捗管理がなぜ必要なのか考えてみましょう。
もちろん工場であれば機械の故障、営業であれば取引先との兼ね合いや外部との問題でスケジュール通りに進まないこともあります。しかし、意欲を持って仕事を進め夢中になっている人は、予定されていたスケジュールに合わせ、物事をうまく進められるよう自発的に行動します。途中経過で間に合わないような出来事があれば、まず上司に相談し、指示を仰ぐでしょう。もしくは必要であれば自らが率先して、その状況を打破する策を提案してくれるはずです。主体的に仕事に取り組んでいるのであれば、進捗管理はまず必要ありません。結果的に間に合わないスケジューリングだった場合は、最初からその組み方が間違えていたのであって、部下のせいではないと言えます。
つまり、基本的に進捗管理とは、仕事をつまらなく感じている社員が、いやいややらされている場合に必要なことなのです。そう考えると、部下の感情管理ができ、モチベーションを引き上げることができれば、進捗管理は必要ありません。モチベーションの高い社員が間に合わないようなスケジュールを立てるほうが間違っています。会社が社員の価値観や考え方を理解し、1人ひとりが最大限のパフォーマンスを引き出せるようになれればいいのです。
まとめ
社会の移り変わりにより、社員の意識も変わったため、給与アップではモチベーションアップを図れないということをお分かりいただけたのではないでしょうか?モチベーションを高くするには、企業は社員の1人ひとりのビジョンを知り、その実現を図ることが重要です。日々のモチベーションを維持させるには、社員の感情の管理をしていきましょう。大事にしているということが社員に伝わることが、モチベーション維持に重要です。また、進捗管理が必要なのは、モチベーションの低い社員のみで大丈夫です。モチベーションの高い社員には進捗管理は不要です。感情の管理をし、1人ひとりの自己実現を応援できる企業が成熟社会では人材を「モチベーションの高い人財」に変えていくことができます。