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並木将央

成熟社会へのビジネスシフトをサポートするコンサルタント

並木将央(なみきまさお) / 経営コンサルタント

株式会社ロードフロンティア

コラム

フレームワークのビジネスモデルキャンバスとは?簡単なビジネスモデルの作り方

2020年10月2日 公開 / 2020年12月29日更新

テーマ:成熟社会の理解度アップ!

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: ビジネスモデル

ビジネスモデルとは?ビジネスモデルキャンパスとは?


「アフターコロナのニュータイプの世の中に向けて、ビジネスモデルを変革せよ!」
「飲食店はビジネスモデルを変えていかなければコロナショックを乗り越えられない」
と叫ばれている現在、ビジネスモデルの見直しを考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

まずは「ビジネスモデル」とは何か?を検索してみても、「利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造を示す用語である」と書かれていて「何のこっちゃ?」という方もいると思います。

私はいつも、ビジネスモデルとは「ビジネスに付随する一連のストーリー」だとお伝えしています。ビジネスにおけるあらゆる事柄を、物語の構成と同様に5W1Hを捉えながら組み立てたものがビジネスモデルです。それをフレームワークとして入れ込んだものがビジネスモデルキャンバスです。下記の5W1Hが書ければ、ビジネスモデルキャンバスは埋められます。

・Who:どのような顧客に
・When:いつのタイミングに
・Where:どのような場所(市場)で
・What:どのような価値を
・How:どのような仕組み・活動でその価値を生み、どう提供するか
・Why:どうして利益を生み出せるか(どう集金し、何に費用を使うのか)

貴社はどのようなストーリーを描いていますか?書き出してみてください。書きづらい場面があれば、そこが貴社のウィークポイントです。





成長社会のビジネスは「“誰”の“何”の問題を“どうやって”解決するか」といった、問題解決型として成り立っていました。しかし、成熟社会になると誰も困っていないので、この概念も変わってきます。みなさんもランチなどで、お腹は空いているけれど特に食べたいものがなく、お店が決まらずに悩んだ経験はないでしょうか。ニーズ(お腹がすいている)が顕在化しても、ウォンツ(食べたもの)が定まらないのです。選択肢が多いから選び切れずにいるだけで、お金を使って解決したいほどには困っていないのです。つまり、問題解決だけがビジネスではなくなったのです。

成熟社会のビジネスとして成り立つ“2つのポイント”


①できなかったことをできるようにしてあげること
②快感を与えるか、苦痛を取り除くこと。またはその両方

例えば、医者というビジネスは
①自分で治すことができない病気を治してくれる
②苦痛や恐怖が取り除かれる
といったように2つのポイントが成立しています。

では、ブライダル業界はどうでしょうか。
①人生で一番の晴れ舞台を演出してくれる
②夫婦の希望に合わせた挙式で満足感を得られることができる
かつては結婚したら挙式+披露宴が当たり前とされていましたが、今では「挙式+披露宴」をしない選択をする人も少なくないようです。また、最近では新型コロナウィルスの影響で「リモートウェディング」が注目されています。
このようにものやサービスをしっかりと提供していても、今回のコロナのような強烈な外的要因に限らず、価値観が変化して価値にならなくなり、今までのビジネスモデルでは成り立たなくなってしまうケースは今後も増えていくことでしょう。そのとき、貴社はどのようにビジネスモデルを変革していきますか?「“誰”の“何”の問題を“どうやって」を再確認、再定義する必要があるのです。

私は、これまで行ってきたビジネスそのものを捨てる必要はないと考えています。例えるならば、衣替えのようなものだと考えてみてください。夏が来たら冷感素材の薄着、寒くなったら保温性の高い肌着や上着・コートというように、季節に合わせた洋服を選びますよね?それと同様に、ビジネスモデルも時代に合わせて変えていきましょう。
では、ビジネスモデルの変更例を見ていきましょう。

IT技術が発達していない時代では、ゲーム会社はユーザーAさんからお金をもらい、中古屋ショップがユーザーBさんからお金をもらいます。一見みんなハッピーに見えますが、ゲームを遊んだのは2人なのに、ゲーム会社にはカセット1本分のお金しか入りません。しかし技術発達が進んだ成熟社会では、インターネットからゲームをダウンロードできるようになります。そうすると中古屋さんに売られることもなく、2人がプレイしてくれれば、2人分のお金が手に入ります。

ゲーム(価値)を提供して対価を得るという基本的なビジネスは変わらないけれど、提供方法や販売方法といったストーリーが変化しているということがわかると思います。「ビジネスモデルを変える」とはこういうことです。

成熟社会に求められるビジネスモデルのヒント


①アライアンスを組む
企業同士が共感し、お互いを必要とするビジョンがあれば、双方のノウハウを共有し、シナジー効果で顧客獲得と収益拡大、経費削減が見込めます。すでにビジネスを始めている企業や人とうまく連携し、win-winの関係を築くのです。




②ビッグバンディスラプション
「一気に始めて、短期間に儲けて、短期で撤退する」成熟社会では、何事も始めてみないとわかりません。しかも1回だけではわからないので、一度世の中に出してみて、市場の反応を見ながら調整を繰り返して育てていく必要があるのです。成熟社会では、始めからあまり深く足を突っ込まず、まずはやってみる。やってみて駄目だったら撤退するという潔さも必要ですし、短期間で一気に懸けて即座に撤退という方法もあります。ブルース・リーの名言に「Don’t think, feel.(考えるな、感じろ)」がありますが、これに近いかもしれませんね。

③ブランドの価値を高めること
優れたものはすぐに模倣されます。そのため、成熟社会では参入障壁の築き方も重要です。
自社のサービスを知ってもらうためには、多くの人に知られる必要があります。そのブランドとしての認知・認識を高めることで参入障壁を築きます。例えば楽天やソフトバンクは球団を購入するなどしてブランド価値を高めています。しかし、周囲に存在を広く知られることは、同時に模倣されやすくなり、狙われやすくなるというリスクもあります。理想的なのは、特許をはじめとする知的財産の獲得です。

④多様化する販売販路の活用
ひと昔前までは、販売チャネルは個人商店かデパートまたは、スーパーといったように少ない選択肢から選ばれていました。しかし、インターネットが普及し、スマートフォンをひとり1台所持するようになった昨今では、選択肢が増え販売チャネルが複雑化しています。ビジネスモデルを構築する際には、「“誰に”“どうやって”」という細かい落とし込みが必要で、その完成具合がビジネスの成否を分けるといっても過言ではありません。

④テクノロジーをうまく使いこなせるか
仕事のボトルネックは技術ではなく人間になっています。人間を介在させないことが効率化であり、スピードアップの秘訣です。人口が減っていく成熟社会ではテクノロジーをうまく使いこなせるかどうかでも、企業の明暗が分かれると言えます。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やIOT(様々なものをインターネット連携させること)を使った作業の効率化が徐々に進んでいます。DX(デジタルトランスフォーメーション)化することで、人のやりたくない仕事をテクノロジーで置き換える。その分、人の育成や教育に力を入れる。この転換が遅れた企業では優秀な人材が流出し、人の補充がないまま疲弊していき、会社は弱体化していきます。




まとめ


ビジネスの正解は誰にもわかりません。だから、ビジネスは楽しいのです。貴社の問題や悩みは、ビジネスモデルを変えるだけで大幅に改善されることも多々あるはずです。冒頭に申し上げた、「ビジネスに付随する一連のストーリー」を今一度見直し、ビジネスを変えるのではなく、時代に合わないビジネスモデルは脱ぎ捨て、新しいビジネスモデルをまとうのは今です。

この記事を書いたプロ

並木将央

成熟社会へのビジネスシフトをサポートするコンサルタント

並木将央(株式会社ロードフロンティア)

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