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並木将央

成熟社会へのビジネスシフトをサポートするコンサルタント

並木将央(なみきまさお) / 経営コンサルタント

株式会社ロードフロンティア

コラム

テレワークなら東京にいるメリットはない!?生活環境を重視した移住生活

2020年12月16日 公開 / 2020年12月19日更新

テーマ:成熟社会の理解度アップ!

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革

テレワークで進む脱東京

コロナ禍では成熟社会が加速すると私は伝えています。加速した実例として一番挙げられるのは、東京をはじめとする大都市に住むことのメリットの減少です。今年は、新型コロナウイルスの影響で大手企業もテレワークを導入し、生活がこれまでとガラリと変わった方も多いのではないでしょうか?少し前に、人材サービス大手のパソナグループが、主な本社機能を兵庫県の淡路島に移すことを明らかにし、世間を驚かせました。今後、1200人が淡路島に移住する計画だそうです。パソナグループの社員だった場合、あなたは会社のこの決断をどのように感じますか?便利な都会で暮らしたいと考える方にとっては、移住は嫌ですよね。しかし、自然豊かな地方で暮らしたい方にとっては嬉しいですよね。

ビフォアーコロナに比べると、都会を選ばない方も増えたのではないでしょうか?これまでの常識や価値観が当たり前でなくなった現在、自身の仕事や暮らし方に疑問を持ち始め『移住生活』を考える方が増えているようです。特に、『テレワーク』は、ビデオ通話やチャットを使えば、どこに住んでいても仕事をすることが出来るということを証明されました(もちろん、全ての業種ではないですが…)。そこで今回は、話題の『移住生活』についてお伝えしたいと思います。

テレワークの浸透で外れた「通勤」の制限

さて、「どこでも好きなところで働ける」となったいま、あなたはどこで毎日を過ごしたいですか?You Tubeで人気を博しているオリエンタルラジオの中田敦彦さんは、You Tubeの動画は日本じゃなくてもアップできるからシンガポールに移住すると発表しています。従来の働き方と変わったからこそ、選択できると仰っていました。その通りですよね。コロナ禍でリアルが難しくなった現在、オンラインで事が足りる人にとって東京にいるメリットは薄くなってきています。そもそも、なぜ人々は東京に集まっていたのでしょうか?通勤時間を減らす、コンビニが近くにあるなどのメリットではなく、もっと根本的な理由を見ていきましょう。

なぜ、人々は東京に集中していたのか






コロナ禍の前から、人々は東京に集中する必要がなくなっていることに気付いています。それが、コロナ禍の影響でテレワークが浸透したことによって顕著になったに過ぎません。成長社会では、いい暮らしが幸せでした。いい暮らしとは、ものやサービスに囲まれることでした。「いい車に乗っている俺!いいスーツを着ている俺!いい時計をしている俺!すなわちいい男!」というのが成り立っていたのが成長社会です。いい車、スーツ、時計を買うために必要なのは、お金です。お金を稼ぐために仕事をします。そのため、お給料が高い会社がいい会社です。だから、皆、こぞって東京に集まってきたのです。そして、お給料が高い会社は、知的労働者が優遇されているということがわかったので、皆、競って学歴を上げます。学歴を上げるために親は子供に「勉強しなさい!」といいます。「将来、いい暮らしがしたかったら、勉強しなさい」が成り立っていたのです。

ものやサービスにあふれた成熟社会となったときに、「いい暮らし=ものやサービスに囲まれること」とは思わなくなります。親は昔の価値観で「将来、いい暮らしがしたかったら、勉強しなさい」と言うけれど、子供は「将来、You Tuber/e-sports選手になりたいのに学歴って必要なの?」「一億総中流だから、頑張らなくてもいい暮らしはできるよ」と思うのが関の山です。このように、いい暮らし=幸せという定義が崩れた成熟社会では、前述した成長社会の幸せのロールモデルの方程式のすべてに疑問が浮かびます。そのため、東京に集まる必要も生まれません。幸せってなんだ?いい暮らしってなんだ?いい会社ってなんだ?と一人ひとりが考えるようになった成熟社会では、ロールモデルとなる幸せ像がないのです。コロナ禍で成熟社会が加速化したことにより、より一層、個々人の多様性が開花していきます。個々人が自分自身の幸せを実現できる環境を求めて移住生活を選び始めたのは当然のことだといえます。

移住するメリットとは?

さて、ここからは移住生活を実現するために知っておきたいことをお伝えします。都心を離れることによって生活費が安くなる、自然豊かな環境に身を置けることが主に挙げられるメリットです。コロナ禍でリアルが制限をかけられて、人との交流が限られている現在、自分自身が身を置きたいと考える環境にとことん向き合えるチャンスです。

(1)生活費が安い
地方は物価が安く、家賃もリーズナブルなので、生活コストを安く抑えることができます。都市部よりも安い家賃で、広い部屋に住むことも夢ではありません。都会ではワンルームマンションでも月額7~8万円は下らず、更に駐車場を借りるとなれば2、3万円は掛かります。ところが地方に移住すると、7万円もあれば駐車場付きのファミリータイプのマンションを借りられる地域も珍しくありません。また、直売所やスーパーなどで新鮮な食材も、手頃な値段で楽しむことができます。

(2)豊かな自然な環境
地方は、都市部と比べて豊かな自然環境が多くあります。地方都市であっても、少し移動すれば海や山などにアクセスでき、さまざまなアクティビティも楽しめるでしょう。おいしい空気や水、都会ではなかなか得られないような景色。自然に触れながら、友人や家族との時間をゆったりと過ごすことができます。自然に癒されて、心も身体も健康的になるでしょう。

移住するデメリットとは?




全員がリアルに制限をかけられているので、オンラインでのセミナーや勉強会などの集まりも多くなったので、ビフォアーコロナほど、不便さは感じないでしょう。たまに会社に行かなければならないときに通勤時間が凄まじいくらいでしょう。地方ならではの付き合いや交通機関についてもデメリットと言う方が多いかもしれませんので、挙げておきます。
(1)リアルでの出社する際に、通勤時間がかかりすぎる
完全テレワークなら良いですが、たまに会社へ出向かなければならないというときに、会社までの通勤時間が凄まじいということも往々にしてあるでしょう。

(2)地方ならではの生活に順応できるか
移住をしてみたものの、地方での生活や仕事に順応できず悩む人もいます。都会では隣人の顔を知らないことも珍しくありませんが、地方では地域の付き合いや、特有のしきたりを重んじるところも少なくありません。冠婚葬祭や地域の行事に、たびたび出席しなくてはならないケースもあるでしょう。そういう付き合いを上手にこなす自信のない人は、人口の少ない田舎を避け、比較的大きい地方都市へ移住するのが無難です。

また、都会ではどこへ行くにも交通手段に困ることはありませんし、欲しいものがあればすぐ買い物に行き、手に入れることができます。もちろん、ネットスーパーが普及した現在、地方でもそれほど困ることはないでしょう。しかし、生活スタイルが大きく変わることは覚悟しておいた方がよいです。地方では、電車やバスなどの公共交通機関は1時間に1本程度しか運行がない地域もあり、お店も都会に比べて少ないです。車を持っていないと不便なことも多い地域も多いでしょう。

移住する際、仕事はどうする?

移住に伴い、問題になるのが仕事関係です。現在の仕事を完全に『テレワーク化』して移住先で続ける、もしくは新規一転、新しい土地で仕事を探すかのいずれかだと思います。今の仕事を『テレワーク化』するのではあれば、移住先で環境を整え、時々オフィスや顧客先へ向かうというので問題はなさそうです。

移住先で新たに仕事を見つけるという方は、移住先の自治体で積極的に支援が受けられるところが良いのではないでしょうか。最近では、移住生活に特化した求人サイトも多いようです。移住を機に独立や起業を考えている方には、内閣府の施作の一環である地方創生の『移住支援金』『起業支援金』を利用して最大300万円の支援を受けることが可能です。移住したい!起業したい!という方には、うってつけのチャンスです。

さらに、地方では『地域おこし協力隊』という制度があり、期間は1年から3年以下で、都市地域から過疎地に住民票を異動し、生活の拠点を移した者を対象に、地方公共団体が「地域おこし協力隊員」として委嘱しています。隊員は、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行います。地域によっては副業も認められています。(条件等別途あり)

移住した先と深く関わりながら、自分のライフスタイルが確立され、任期が終えた後も約6割の方がその地域へ定住しているそうです。平成21年には89人だった隊員数も令和元年には、5,503人となり、『地方移住』への関心の高さが伺えます。

人気の移住先は?




<2019年移住先人気都市ランキング>認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの調査によると、
1位:長野県 2位:広島県 3位:静岡県 4位:北海道 5位:山梨県だそうです。長野県は
2017~2019年で3年連続1位。2014年から2019年にかけて、6年間の調査で、4回1位に、2回2位に選出されているようです。日本全国で最も人気のある移住先の地方都市と言えます。

人気の理由には、日本でも有数の自然豊かな土地であることに加え、自治体による移住支援が充実していることなどが挙げられます。すでに移住者が多いため、移住に関する情報が豊富で、住居・子育て・就職・創業など、合わせて396もの移住支援制度があり、さまざまな年齢層のニーズに合わせた移住支援を受けることができます。

移住の準備はどんなことをする?

移住までの基本的な流れは、「①候補地を探す→②情報収集・自治体窓口に相談→③現地訪問・体験→④仕事・住まいを決める→⑤移住」です。気になる移住先を見つけたら、移住先の移住支援策を調べましょう。自治体によっては、家賃助成金・住宅修繕費用の助成・住宅地の購入支援(各自治体によって条件あり)など手厚い支援が受けられる自治体もたくさんあります。移住先に先輩移住者がいらっしゃれば、経験談などのお話を聞くのがおすすめです。さらに、お子さんがいる家庭では移住先の待機児童問題や子育て支援内容も調べておくとよいでしょう。

まとめ

コロナ禍で成熟社会が加速化したことにより、より一層、個々人の多様性が開花していきます。「移住生活」も十人十色です。無理も焦りも禁物です。移住生活の失敗は「理想と現実の違い」「リサーチ不足」で起こることが多いそうです。まずは、事前に十分リサーチし「お試し移住」で体験して、自分にとってのメリットとデメリットを明確にし「移住生活」を成功させましょう。

【合わせて読みたい】失敗しないために!起業・新規事業、ビジネスを始める前に知っておきたいこと(記事はこちらをクリック)

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