アジア最大級のETF国際会議のパネルディスカッションに登壇。ETF普及のカギは「販売者」でなく「中立なアドバイザー」では?

安東隆司

安東隆司

テーマ:所長解説のおカネ学♫

アジア最大級のETFの国際会議・展示会が2026年6月2日〜3日にかけホテルオークラ 東京で開催されました。
S&Pが主催する「第18回ETFコンファレンス」において、
RIA JAPAN 代表の安東隆司は、ロジャーパパ 氏、水瀬 ケンイチ 氏、東京証券取引所の岡崎 啓 氏と共にパネルディスカッションに登壇しました。
講演資料は下記リンクよりご覧いただけます。
2026年6月3日「安東隆司 リテール投資家のETF利用-次の成長フェーズへの道筋』資料

(写真は2026年「第18回ETFコンファレンス」パネルディスカッションの様子)

日本でETFが普及しない理由は、「販売者サイド」にあるのでは

今回のパネルディスカッションでは、
「リテール投資家のETF利用:次の成長フェーズへの道筋」
をテーマに議論が行われました。

ETFは、低コスト傾向、高い透明性、換金性、分散投資のしやすさなど、
資産運用ツールとして多くの優れた特性を持っています。
しかしながら、日本ではETFが十分広がっているとは言えません。

では、なぜETFは日本で広がりにくいのでしょうか。
その理由の一つは、資産運用の相談先の多くが「販売者サイド」だからです。

販売者には、ETFを積極的に勧めるメリットが薄い

銀行や証券会社など、多くの金融機関は金融商品を販売することで収益を得ています。
投資信託を販売すれば、販売手数料や信託報酬から収益が生まれます。
一方、ETFは販売者にとって、こうしたメリットが乏しい商品です。

ETFは販売手数料が無い、あるいは極めて限定的であり、
保有中のコストも低い商品が多く存在します。
投資家にとっては合理的な選択肢であっても、
販売者にとっては収益につながりにくいのです。

つまり、ETFが広がらない背景には、
「良い商品かどうか」だけではなく、「販売する側にとって都合が良いかどうか」
という構造的な問題があるのです。

そもそも販売者である以上、販売実績が求められる

販売者は、販売実績を求められる立場です。
何をどれだけ売ったのか、どれだけ収益に貢献したのかが重視されます。
その結果、収益性の高い商品や販売しやすい商品に力が入りやすくなるのです。

このような構造の中で、
販売者が「顧客にとって最も低コストで合理的な商品」を最優先で提案し続けることには、
どうしても限界があります。

もちろん、誠実な担当者もいるでしょう。
しかし、個人の善意だけでは埋められない、ビジネスモデル上の制約があるのです。

中立なアドバイザーであるフィーベース型RIAが重要

こうした中で重要になるのが、販売を行わず助言に軸足を置くフィーベース型のRIAです。
RIAとは、Registered Investment Adviserの略称です。
金融商品を販売せず、アドバイスに特化しているのが特徴です。

フィーベース型のビジネスモデルは、契約残高に応じた報酬を受け取る仕組みです。
そのため、高コスト商品を無理に勧める動機が小さく、
顧客の資産運用成功がRIAの報酬増加に繋がります。

そのため、顧客にとって有利な商品を中立な立場で選びやすく、
顧客の運用に不利な高コスト商品を勧める理由がないのです。
顧客の資産増 = RIAの報酬増
という関係は、顧客とアドバイザーがWIN-WINになりやすい仕組みとも言えるでしょう。

アメリカではRIAが主流になりつつある

アメリカでは、販売者とアドバイザーの役割が日本よりも明確です。
米国のRIA事業者数は*31,916事業者に達しています。
(* 出所 米国IAA INVESTMENT ADVISER INDUSTRY
SNAPSHOT 2025(データは2024年末時点)
SEC登録15,870事業者+州登録16,046事業者)

また、他のデータではフィーベース型アドバイザーの顧客資産で、ETFの組入比率が高まっていることが示されています。

つまり、アメリカでは
「商品を売る人」ではなく、「顧客側に立って助言する人」
が、資産運用の世界でより大きな存在感を持ちつつあるのです。

販売者サイドが中心の市場ではETFが広がりにくくても、
アドバイザー中心の市場ではETFのような低コスト商品が活用されやすい。
この違いは非常に大きいと感じます。

日本では投資助言業専業は400事業者以下

一方、日本ではどうでしょうか。
日本での投資助言業専業は*394事業者とされています。
米国と比較すると、まだ極めて少数です。
(* 出所 金融庁 金融商品取引業者一覧にて投資助言・代理業として掲載の1,002事業者から第一種・第二種・投資運用業の登録も取得している業者を除いた数(データは2026年3月末時点))

日本では今なお、
資産運用を相談する相手の多くが「販売者」です。
そのため、中立なアドバイスを受けるという文化自体が、
まだ十分に広がっていないのが現状ではないでしょうか。

ハイレベルな顧客本位を実現するには、販売者サイドだけでは限界があるのではないか

金融庁は「顧客本位の業務運営」を金融機関に求めています。
しかし、販売者である以上、販売実績や収益目標から完全に自由になることはできません。
そこに、顧客本位を徹底する難しさがあります。

ハイレベルな顧客本位を本当に実現しようとするならば、
販売者サイドの努力だけではなく、
販売を行わない中立な助言者の存在が、これまで以上に重要になるのではないでしょうか。

ETFが日本でより広く活用されるためには、
制度だけでなく、「誰に相談するのか」という視点も変わっていく必要があるのではないかと考えています。

あなたが資産運用の相談をしている相手は、
商品を販売する立場の人でしょうか。
それとも、顧客側に立って助言する人でしょうか。
ETF普及のカギは、その違いを投資家自身が見極めることにあるのかもしれません。

メディア取材、セミナーのご用命は下記リンクの弊社HPお問合せフォームよりご連絡ください。
RIA JAPAN おカネ学株式会社 お問合せフォーム

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

安東隆司プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

海外ETF・相続専門家の資産運用管理コンサル、RIA

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のお金・保険
  4. 東京の資産運用
  5. 安東隆司
  6. コラム一覧
  7. アジア最大級のETF国際会議のパネルディスカッションに登壇。ETF普及のカギは「販売者」でなく「中立なアドバイザー」では?

安東隆司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼