お得に見える「特別金利キャンペーン」は、銀行が損しない商品? 投資初心者が知らなかった資産運用
(RIA JAPAN広報部記述)
このシリーズは、3年以上RIA JAPANのコラムを読んだ投資初心者に依頼して、「なるほど!と感じたポイント」や「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただきます。
投資初心者さんの執筆記事は第143回目になります。
今回はヘッジファンドについて執筆いただきました。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。
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「相場が下がろうとも安定したリターンが得られる」
「相場が下落しても安定したリターン!」
これらはとても素晴らしいことです。
ヘッジファンドは、一般人がアクセスできない富裕層向け運用といわれたことがあります。
「特別なあなたに」と勧められるような商品。
ちょっと気持ちが動きますよね。
ほんとに安定したリターンで運用できるのでしょうか。
ヘッジファンドの情報はバイアスで担ぎ上げられている可能性
バイアスという言葉があります。
バイアスとは指向性であり、偏りが生じることをいいます。
なにかの要因で偏りが生じることを「バイアスが働く」といったりするのです。
これは投資に限った言葉ではなく、さまざまな場面で使われてきました。
ここでいう情報バイアスとは、発信している側に都合のいい情報という意味です。
自分達にとってネガティブな情報は発信してもプラスになりません。
ネガティブな情報が発信されなかったらポジティブな情報が増えて偏りが生じますよね。
こうしたところにバイアスはかかるのです。
ヘッジファンドにかかるバイアス
ヘッジファンドで起こる情報バイアスとはなんでしょうか。
販売資料でよく用いられるものが「ヘッジファンド指数」による、キレイな右肩上がりのチャートです。
しかし、この指数自体のデータに強いバイアスがかかっている可能性があることをご存じでしょうか?
過去に日本銀行が出したレポートでもヘッジファンド指数やデータベースの限界点、バイアスを指摘しています。
(参考:日本銀行信用機構局・金融市場局「ヘッジファンドを巡る最近の動向」2005年7月)
例えば、低収益のヘッジファンドは報告していない。
解散などで終わったヘッジファンドもデータとして出していない。
こういった情報バイアスは、利益を出したい側からすると当然発生します。
成績が悪く閉鎖したヘッジファンドは指標として出さない可能性があるわけです。
その結果、消滅したファンドや、活動を停止したファンド等のデータは指数に含まれません。
指数のデータは、活動しているファンドのデータが占めることになるんです。
これを「生き残りバイアス」といいます。
他にも、直近の最も成績の良い期間だけを報告する「遡及バイアス」や、
消滅しようとしているヘッジファンドが清算するまで収益率を報告しないなどの「清算バイアス」などがあります。
これらの情報に偏りが発生しやすい課題点がありながら、独立した第三者からチェックされていないことも、ヘッジファンドにバイアスがかかりやすい問題なのです。
右肩上がりのチャートや絶対リターン。
本当に正しい成績といえるでしょうか。
ヘッジファンドのリターンは長期で低迷
実際のヘッジファンドのリターンを見てみましょう。
2017年から22年のヘッジファンドリターンは、約8%だったそうです。
一方、2017年から22年のS&P500指数のリターンは約14%。
ヘッジファンドのリターンは米国の代表的な株式指数を下回っています。
キレイな右肩上がりのチャート。
美しく羨望の数字かもしれません。
これなら大丈夫と思うでしょう。
でも、まずは調べることが大切です。
販売者には利益を出さないといけません。
そのため、セールスで使うデータは「運用成績が極力成績が良く見える」ようにバイアスをかけてしまうのです。
自分の大切なお金を使っての運用。
「偏った情報」だけで投資する注意点を知ることができました。
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(以下、編集後記)
今回、投資初心者さんには、ヘッジファンドについて執筆いただきました。
なお、ヘッジファンドの事実関係は2022年出版時の書籍内容に基づいております。
RIA JAPANではこれまでヘッジファンドの注意点について発信してきました。
下記リンクより発信してきたコンテンツが閲覧可能です。
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P232「ヘッジファンド神話から覚めた投資家が知っていること」にて解説しています。
NISA・つみたてNISA・iDeCoプロの選び方教えてあげる!Amazon販売ページ
繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、「なるほど!と感じたポイント」や「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について記述してもらったものです(第143回目)。
※本コラムは特定の有価証券又は金融商品を勧誘するものではありません。また、特定の資産クラスに対する今後の方向性を保証するものではありません。
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