金融執事は「個人情報」に対する感覚も違う?プライベートバンカーが「イニシャル」を使う理由 投資初心者が知らなかった資産運用

安東隆司

安東隆司

テーマ:投資初心者

(RIA JAPAN広報部記述)
このシリーズは、2年以上RIA JAPANのコラムを読んだ投資初心者に依頼して、「なるほど!と感じたポイント」「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただきます。
投資初心者さんの執筆記事は第110回目になります。
今回の内容はプライベート・バンカーと顧客イニシャルについての内容です。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。

********************
個人情報。
情報化社会となった昨今では、個人情報が大きな価値を持っています。
しかし、残念なことに大手企業による個人情報漏洩の問題などは絶えず起こっています。
では、富裕層などと接するプライベート・バンカーは、個人情報についてどのような感覚を持っているのでしょうか。
一般の企業に比べて、顧客情報の管理意識が非常に高いといわれる、プライベート・バンカーの情報管理を見てみましょう。

情報はどこから漏れるかわからない

ある芸能人が賃貸マンションを探すときに重要なことを語っていました。
「このマンションには芸能人は住んでいますか」
この質問に対し、「○○さんが住んでいます」といわれたら、その不動産業者とは、もう取引しないそうです。
これって何を意味しているでしょうか。
もし、この芸能人がこのマンションに住んだら、自分も営業トークに使われるからです。

「有名人」「著名人」とも取引するプライベート・バンカーや金融の執事は、顧客名を自らの営業トークに使いません。
SNSなどでも、顧客を臭わすような表現はしないものなのです。

本場のPBバンカーが、社内で顧客をイニシャルで呼ぶ理由

たとえば、顧客の名前をフルネームで語ることがないともいわれます。
顧客の名前をフルネームで呼ぶと、誰だかわかりますよね。
芸能人や、著名な人であれば、特に気を付ける必要があります。
これだけで情報が洩れる一端になるかもしれないからです。
社内であっても、多くの人が働いています。
イニシャルで情報共有する。
顧客の情報を細心の注意を払って守る、工夫をしているのです。
情報管理の重要性がわかれば、ほんの少しでもリークしないような配慮をします。
顧客想いのバンカーは、自らの顧客の名前が公に語られることを嫌うのです。

顧客情報は共有せず。フルフラット的組織とは

普通の企業では、金融機関でも顧客情報の共有が行われます。
当然といえば当然です。
上司に情報を集中し、管理する手法をとります。
これにより組織を有機的に動かそうという考え方です。
日本の金融機関の一例では、定例営業会議で、営業員ごとに、売上見込みや顧客の資産状況などを上司・営業員で共有していたそうです。
一方、プライベート・バンキングを展開している組織*は少し違います。
通常のピラミッド型組織でなく、フルフラットで横に広がる組織体系を展開しているケースがあるようです。
(*注 日本の自称プライベートバンクや外資系であっても、全てのPBのカルチャーではない。伝統的な欧州系のPBの一部が採用している制度)

わざわざ個別に情報共有を行うPB

プライベート・バンカーも当然上司と情報を共有する機会があります。
しかし、一斉に集まっての営業会議という形式はとりません。
マンツーマンの形を取ることで、他のバンカーやアシスタントにお客様の情報が漏れない管理を徹底しているのです。

顧客から信頼されるプライベートバンカー

富裕層の顧客は、金融機関の看板・ブランドの魅力よりも、

転勤や担当替えのない、専任のプライベート・バンカーとの取引を重視しているのです。

つまり、自分のお金の担当であり執事のような存在であり続けてくれる、バンカーと取引するわけです。
富裕層顧客はこの「金融執事」との取引重視をしている結果、バンカーが転職や独立するとついていくこともあります。

信頼を受けられず退職した「自称プライベートバンカー」に注意

ただ注意しなければいけないのは、「プライベート・バンカー」と名乗る人も増えてきました。
自称プライベート・バンカーです。
ある自称プライベート・バンカーが、海外の保険を文章で紹介していました。
これは、無登録の脱法行為の可能性も考えておかなければいけません。
その文章では、著名人が海外移住している事例を引き合いにしていました。
お客様は自身の名前が書籍や広告で使われていたことをご存知なのでしょうか?
普通であれば、そんなバンカーは「出入り禁止」でしょう。
信頼を失い、職を失ったバンカーは海外に行くケースが多く見られます。日本の法令順守体制では仕事が続けられず、監視の緩い海外での仕事を選ぶケースも多いようです。

本当の「プライベート・バンカー」なら、情報の重要性を理解しています。
顧客の名前を使ってイメージ戦略・営業戦略にすることはありえないでしょう。

もし実際にプライベート・バンカーとの取引を考えるなら、過去に無登録で募集を行う脱法行為を行った者を事前に調べた方が無難でしょう。
たとえば関東財務局から業務停止処分・行政処分を受けた事例を同局のHPから確認できます。
(参考、関東財務局:金融商品取引業者等に対する行政処分)
https://lfb.mof.go.jp/kantou/kinyuu/kinshotorihou/syobun.htm

********************
(以下、編集後記)
今回、投資初心者さんには、プライベート・バンカーの情報管理について執筆いただきました。
プライベート・バンカーでは、通常の顧客とは属性の違う、富裕層や著名人が取引先になることもあります。
金融機関のブランドで仕事をしている訳ではないのです。
お客様から「○○さんにお願いしたい」と頼っていただけるような、信頼関係を基礎に守秘義務なども徹底して行える環境が、価値あるプライベート・バンカーなのではないかと筆者は考えています。

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繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、「なるほど!と感じたポイント」「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について記述してもらったものです(第110回目)。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

安東隆司プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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