4資産分散でも全カテゴリーマイナス。ノルウェー、GPIFのリターン分析

安東隆司

安東隆司

テーマ:所長解説のおカネ学♫

ノルウェー政府年金基金の年間収益率はマイナス14.1%(▼14.1%)でした。
(2022年実績、2023/01/31公表)
GPIFの2022年度3Qまで累積収益率▼3.71%でした。
(GPIFでは年度で2022年4月~12月)
なお、GPIFの2022年1~3月期の資産全体で収益率は▼1.10%でした。
2022年の運用はプロでもマイナスリターンとなるような相場環境だったといえるでしょう。

ノルウェー政府年金基金の2022年リターン分析は

ノルウェー政府年金基金の2022年リターンでは

株式 ▼15.3%
債券 ▼12.1%

でした。
2022年は株式も債券も下げる形で、分散投資してもマイナス運用となる1年でした。
なお、ノルウェー政府年金基は世界有数規模の政府系ファンド(SWF=ソブリン・ウェルス・ファンド)です。

GPIFの2022年度3Qまでのリターン分析は

日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のリターンは

国内債券 ▼3.78%
外国債券 ▼4.26%
国内株式 ▼1.39%
外国株式 ▼5.87%

でした。4つの資産カテゴリーが全てマイナスとなったのです。

GPIF 2022年3Qまでのベンチマーク収益率は?

GPIFが2022/02/03に発表した2022年度第3四半期運用情報(速報)の中の「2022年度第3四半期市場環境」にベンチマーク収益率が公表されています。

国内株式 ▼3.79%
外国債券 ▼5.02%
国内株式 ▼1.30%
外国株式 ▼6.04%

パッシブ(=インデックス)運用を中心に置くGPIFのリターンは、市場環境とほぼ同様に推移したことがわかります。
市場環境がマイナスならば、リターンはマイナスはある意味当然です。

プラスのリターンを過度に信頼しない

上記のように多くの運用で株式のリターンがマイナスであった2022年ですが、株式全てがマイナスであったわけではありません。一部の国の株式はプラス運用だったのです。
ならば、そのプラスに投資すればプラス収益に出来たのではと考えるのは現実的でありません。
リスクの高い新興国株式に、資産配分の多くを振る向けるようなリスクの高い運用は危険極まりないからです。

だからといって、「オルタナティブ」に踊らされるな!

このような相場環境になると、オルタナティブ投資が重要というセールストークが目立つようになります。
オルタナティブ投資をわかりやすく説明すると、伝統的な資産のロングポジション以外に投資することです。(例、国内・外国の、それぞれ債券、株式以外、買いポジション以外に投資)
オルタナティブ投資には不動産やヘッジファンド、プライベート・エクイティ、貴金属など様々なカテゴリーがあります。
繰り返しますが、これらのオルタナティブ投資は透明度や換金性で伝統的な資産投資に劣るものが多く見られます。
そして、これらをメインとするような投資スタイルはリスクが高すぎます。
オルタナティブ投資を勧めるセールスマンは運用者でないことがほとんどです。販売者は運用のプロではなく、リスクを正しく理解していない「売り子」だと思ったほうが無難です。
ヘッジファンドなどに運用資金のほとんどを振り向けるようなことは、プロの常識からするとあり得ません。
GPIFもオルタナティブ投資を行っていますが、全体に占める比率はわずか1.43%です。
セールストークに踊らされ、安易にヘッジファンドなどに投資を多く振り向けることのないように注意が必要です。投資家の立場を考えない、販売者の収益優先のセールスにはくれぐれも注意が必要です。

分散投資しても、運用は 必ずプラスになるわけではない。 ならばどうする?

2020/03/15にダイヤモンドオンラインに寄稿したタイトルが「分散投資しても、運用は必ずプラスになるわけではない。ならばどうする?」でした。
当時の記事で大きく変わっている箇所を補足します。
当時、GPIFの資産配分は国内債券35%、外国債券15%の比率でした。
現在はそれぞれ約25%ずつに変更されています。

2019年12月書籍でこの変化を大胆予測し的中!

実はGPIFの公表前に「外国債券の残高が増える」と予想(私見)し書籍にも記載しました。

大胆に「外国債券の残高が増える」と予測します(私見)。2019年10月公表文書に興味深い内容があるのです。(中略)外国債券の残高が増えると推察されるのです

引用:『元メガバンク・プライベートバンカーが教える お金を増やすならこの1本から始めなさい』安東隆司 P187ページ

投資に「絶対」はあり得ない

話を戻します。投資に絶対はあり得ません。
分散投資しても約3割の年はマイナスリターンになるのです。
しかし

10年間運用すると、過去のリターンはほとんどプラス

になったというデータがあるのです。
長期運用が重要だといわれる一つの重要なポイントだと思います。
以下はダイヤモンドオンラインの2020年3月15日の記事です。
(別ページに移動します)
分散投資しても、運用は 必ずプラスになるわけではない。 ならばどうする?

ご参考 GPIF関連記事
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8兆円赤字、マイナス5.20%でも過度に反応しない GPIFの長期戦略基礎知識①【RIA JAPAN 】
https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5059639/
GPIFが配分を増やした資産は? GPIFの長期戦略基礎知識② 【RIA JAPAN 】
https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5059656/
12兆円黒字の要因は?GPIFの長期戦略基礎知識③【RIA JAPAN 】
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GPIF収益率 9ヶ月で全体+18.49% 外国株+42.29% 国内株+29.54%に
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GPIF、運用黒字額37兆7986億円、収益率25.15%。 大きなリターンに寄与した外国株銘柄は?
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GPIF 2022年度累計マイナス7.3兆円。過度に悲観する必要はない GPIFの長期戦略基礎知識④
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専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

安東隆司プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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