投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
年初来でマイナスリターンの株価指数があります。
このような局面になると、運用者は今までのファンドの成績悪化を打ち消したいという意図がはたらく場合があるのです。
どうすれば効果的に見えるか?
新たなファンドを開始することがひとつの手法です。
今までの成績不振はさておき、
新たなファンドを相場下落時にスタートし、
上昇局面で、「新ファンドは成績良好」と宣伝するのです。
過去人気だったヘッジファンドの高コストとは?
かつて一世を風靡したヘッジファンド。
バブル時期にはスターファンドマネージャーに運用を依頼できることが「流行り」でした。
今では考えられませんが、かなりの高コストの運用手法でした。
「2:20 (2対20)」という、年間の運用コストが2%、更に運用成功した部分の成功報酬を20%もらう、というものでした。
悪い成績を、新たなファンド設立でリセット
ヘッジファンドで成功報酬の基準を上回った部分に、成功報酬が発生するケースがあります。
しかし、相場下落で大幅にファンドの成績が下落するとどうなるでしょうか?
100でスタート、現在65 その後90まで相場が回復する前提で考えます
1) そのまま運用
相場が回復し、現在の65から90まで上昇したとしても、成功報酬をもらえる基準には到達しません。
→運用者は大きなメリットを得られません
2) 新たなファンド設立
65がスタートライン となるのですから、90という水準では
→運用者は、(90-65)の2割を成功報酬として得ることができます。
相場の回復を、
あたかも運用者の能力が優れているかのような
印象に置き換えることができます。
新しいファンドは実績も何もありません。
わざわざ損切りをした挙句、ノウハウのないファンドで高い運用コストで運用させられることに、投資家のメリットはないのです。
投資信託やファンドラップの乗換えに注意!
一般の投資信託やラップ口座でも
今後、成績不振をごまかす目的で、
「これからのテーマはこれ!」といったセールストークで
新たなファンドに乗り換えるセールスが展開されるでしょう。
投資家は、ファンド運用者などの「成績ごまかし」に注意をしてください。
余談 もともとの方針はどこにいったのか?
もともとの方針はいったいどこにいったのか?と思う事例もあります。
・投資家に直販で、金融機関の販売に頼らないことで低コスト実現
→ 新ファンドで金融機関でも取り扱い
・米国大手が手を出せない、ニッチな部分を担う日本企業を応援
→ いつのまにか米国企業への投資戦略が新ファンドで開始
時代の変化に対応するために、新たな戦略が必要ということもあるでしょう。
当初の方針を信じた投資家は納得しているのでしょうか?
新ファンドがスタートした時は総じて、相場環境が悪い時のような印象があります。
相場の回復を、
あたかも運用者の能力が優れているかのような
印象に置き換えることができます。
投資家は、運用者のこんな側面には注意をしてほしいと思います。