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2021年12月6日に金融庁で行われた金融審議会「市場ワーキング・グループ(WG)」では、仕組債の情報開示が不十分だと指摘され、是正を求める意見が挙がりました。
RIA JAPANではかねてより仕組債のリスクについてコラム、動画などで警鐘を鳴らし続けてきました。
金融商品取引に関するトラブルを解決する機関であるFINMACによると、2020年度の1年間だけで合計12億円を超える仕組債に関する損害賠償請求が行われてたのです。
仕組債は債券だから安心?仕組債は通常の「債券」とは違うことに注意!
仕組債とは、債券に株価や為替のオプション・スワップなどを組み入れ、相場の変動に伴って元本の価格が変動する債券のことを言います。リスクが高い分、高い利回りが期待できるとセールスされています。
仕組債はデリバティブ取引等の仕組みを組み込んでおり、通常の債券とは全く異なるものです。
デリバティブ取引とは金融派生商品と訳されることが多くあります。
例えば、先物取引や、オプション取引、スワップ取引などがあり、それらの総称としてデリバティブ取引と呼ばれています。
こうしたデリバティブ取引の中には極めてリスクの高いものもあり、債券と名が付いていても実際には30%以上の損失が生まれてしまう場合があります。
債券と聞くと低リスクなイメージを持つ人は多くいるでしょう。
しかし、デリバティブ取引を含む仕組債ではリスクが高い場合や、仕組みが複雑な場合もあり、また種類が多いことから、決して初心者向けとはいえない場合も多いのです。
金融庁 金融審議会にて仕組債の苦情が増えていることが指摘
2021年12月6日に金融庁で行われた金融審議会「市場ワーキング・グループ(WG)」では、仕組債について議論が行われました。
・仕組債の販売額が増えている中、「リスクの低い商品を希望したが仕組債を勧誘され損害を被った」等の販売に関する苦情が増加していること。
・日本証券業協会では重要事項説明などリスク説明の取り組みを行っているが、コストは開示されておらず、更に金融庁が採用を呼び掛けている重要情報シートも導入されていないこと。
・欧米では仕組債の情報開示が広がっていること
仕組み債が一般投資家に広く販売されている状況について、「投資経験がない人が金融商品一般が危ないという印象を受けて一層投資を控えることにつながる懸念があるのではないか。」と指摘しています。
【引用元】
P3「仕組み自体が複雑でリスク評価の難しい商品(仕組債・非上場株式等)が一般投資家に広く販売されうる状況においては、投資経験がない人が金融商品一般が危ないという印象を受けて一層投資を控えることにつながる懸念があるのではないか。」
P12「例えば仕組債について、「リスクの低い商品を希望したが仕組債を勧誘されて損害を被った」等の販売に関する苦情が多い(P14参照)。」
P14「仕組債の販売額は近年増加傾向。こうした中、仕組債の販売に関する苦情も寄せられている」
P14「こうした状況を受け、日証協では顧客への注意喚起文書の交付や重要事項説明等、リスク説明のための取組を行っている。他方、商品性にかかわる情報であるコストは開示されていない(顧客にはコストを内包した販売価格のみが提供される)。また、重要情報シートも導入されていない。」
P14「欧州ではプロダクトガバナンスの観点から、仕組債のコストとして、販売価格と公正価格の差額が開示されている。また、米国でも目論見書の表紙に仕組債の推定価値を記載することが要請されている。」
2021年12月6日 金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ(WG)」P3・P12・P14より
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market-system/siryou/20211206/01.pdf
仕組債だけでも1年で合計12億7324万円の損害賠償請求が
実際にFINMACが公表している2020年4月から2021年3月までに損害賠償請求された仕組債の金額を合計してみると、合計12億7324万円もの損害賠償請求が行われています(RIA JAPAN集計)。
当然ながら、FINMACに寄せられている部分がすべてとは考えられません。この金額は氷山の一角といえます。
更に、この損害賠償請求額は、投資した金額ではなく、基本的には損をした金額と考えられます。
全体件数の46.05%が仕組債に関するトラブル!
また、FINMACが公表しているデータをまとめると、2020年4月から2021年3月までに報告された152件の紛争解決手続のうち、70件が仕組債に関するものでした(RIA JAPAN集計)。
これは全体の46.05%にあたる数字で、他のカテゴリよりも多い件数が報告されていることがわかります。
「良い格付がついている」と言われても、格付は仕組債についているものではない
セールスで「A格の格付がついている」というセールスされることもあるかもしれません。
良い格付が付いているなら安心してしまいがちですよね。
しかし、格付は仕組債の債券部分のみに格付されているため、仕組債全体に格付がついているわけでは決してありません。
仕組債のデリバティブ部分は格付の対象から外れているということに注意していただければと思います。
2020年度の1年間だけで合計12億円を超える損害賠償請求が行われていた仕組債。
仕組債のリスクについて過去に解説した動画がYouTubeにて公開されています。
そちらも併せて参照ください。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。