実は正しくない金融機関の情報【2】 これは誇大広告! IFAセミナーでの事例
世界でインデックス(パッシブ)運用が増加しています。
「インデックス運用の規模は20年末で10.6兆ドル、07年の7.4倍に膨らんだ」
データ:日経新聞 2021//7/19 「タダ乗り投資」市場蝕む パッシブ化の弊害強く
なぜインデックス型運用が膨張しているのか
なぜインデックス運用の規模が拡大しているのでしょうか?
ここでは筆者なりの2つの答えをお示しします。
1)アクティブファンドの多くはインデックスに勝てない
2)多くのプロ(アクティブ・ファンドを含む)がツールとしてETFを活用している
1)勝てないアクティブファンド
1) 上記の日経の記事にも紹介されていますが、米国、欧州、日本のアクティブファンドの7割が、インデックスである株価指数に勝てないことが事実です。(データSPIVA 期間3年以上および5年以上)
高いコストのファンドが成績が良いとは限らないということが、真実なのです。*1
2)プロがETFを使う なんちゃってアクティブファンドも
2) インデックスファンドの中でも、ETFの資産残高が増大しています。
2021年6月時点のETF(ETP含む)残高は9.35兆ドルとなっています。
ETF単体でも9.11兆ドル、日本円で1008兆円という規模に拡大しているのです。 *2
日米の中央銀行や、様々なプロたちがETFを運用のツールとして利用しているのです。
なかには、運用の中身は海外のETFをまるごと利用し、日本でETFより高い信託報酬を顧客から得ている、「なんちゃってアクティブファンド」すら存在するのです。
ロバート・シラー教授にモノ申す 別の視点
日経の記事では、ノーベル経済学賞のロバート・シラー教授のコメントを紹介しています。
「全ての情報を反映するマーケットに勝ち目がないからと投資家全員がパッシブ運用になってしまったら、誰が市場に情報を反映させるのか」
「パッシブ運用は他人の努力へのフリーライダー(タダ乗り)だ」
「コストをかけて企業を調査し、株価に情報を反映させる多数のアクティブ運用者の存在があるからパッシブ運用は成立する」
「パッシブが多数派になると、市場の価格発見機能がむしばまれる恐れが出てくる」
という意見なのでしょう。
しかし、筆者は別の見解を持っています。
インデックス自体が大きく発展している
インデックスプロバイダーが指数提供というビジネスを拡大している
インデックスも多種多様なものがあります。
例えば、米国株式を例に取ると、S&P500やナスダック総合、NYダウが経済番組で連日採り上げられています。
インデックスはひとつでなく、「インデックスプロバイダー」が調査した結果を、そのインデックスに反映しているのです。
インデックス創造者の努力とインデックス使用料
近時はナスダック100という指数にも注目が集まっています。ナスダック100は、ナスダック市場のうちで、金融機関を除く上位100社を選んだインデックスです。
指数プロバイダーは開発に汗を流し、「ナスダック100指数」を造り上げました。
この指数を開発した指数プロバイダーは、海外のETFだけでなく、日本の投資信託からもこの「指数の利用料」を受取っているのです。
某ネット証券では「初めて投資信託の積み立てをするお客様の60%が S&P500もしくはナスダック100(インデックス)を選ばれている」と解説していました。
そしてS&P500インデックスに連動する投資信託がつみたてNISAやiDeCoでも投資可能になってきています。
有力な指数プロバイダーの開発した指数が、多くの投資家に受け入れられ、その勢力を伸ばしているという事実に過ぎないと思うのです。
誰が市場に情報を反映させるのか」に対する答えは?
そして、それらの指数を選んでいるのは、(プロを含む)投資家です。
投資家のインデックスの選択が、市場を造っているとも言えるのではないでしょうか?
シラー教授の「誰が市場に情報を反映させるのか」に対する、筆者なりの答えは
「インデックスプロバイダーと、投資家が市場に情報を反映している」
と思うのです。
*1
米国大型株のアクティブ型の9割が届いていない事実、20年で94%がインデックスに届いていないことを過去のコラムでお伝えしています
アクティブ型ファンドからインデックス型への潮流が更に加速。アクティブ型は9割以上がインデックスに届かない
*2
2021/07/15 安東隆司「ETF資金流入上半期660億ドル超、昨年1年間を上回る 規模9兆3540億ドルに」ご参照
https://mbp-japan.com/tokyo/ria-japan/column/5089881/
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