リファスタ|ダイヤの形を決めたのは歩留まり

杉兼太朗

杉兼太朗

テーマ:ダイヤ相場

リファスタです。今回は、ダイヤモンドの形がどうやって決まってきたのかを、技術と歩留まりの視点でまとめます。

この記事を読むと、昔のダイヤが今と違う形をしている理由、技術の進歩が形を変えた経緯、そしていまも形が歩留まりで選ばれている実態が分かります。

結論からお伝えします。ダイヤモンドの形を決めてきたのは、美しさだけではありません。その時代に何ができたかという技術と、原石からどれだけ取れるかという歩留まりです。象徴的な数字があります。幅6ミリの八面体の原石から、良いプロポーションのラウンドブリリアントを切り出すと0.90カラットにしかなりません。ところが四角いプリンセスカットにすれば、同じ原石から1.00カラットが取れます。形が変われば、重さが変わり、値段が変わる。それを正しく見極めるのが、私たち買取の仕事です。

■削れなかった時代──結晶の形がそのまま形だった

ダイヤモンドを削れるのは、ダイヤモンドだけです。世界一硬いため、ほかに削れる素材がありません。色石なら対象より硬い砥粒を使って速く荒削りできますが、ダイヤにはそれができない。そこで職人は、金属製の水平に回転する円盤「スカイフ」を使いました。円盤の表面には顕微鏡で見るとくぼみがあり、そこにダイヤモンドの微粒粉末が固定され、石のファセット面を削り落とします。

さらにダイヤには、木材の木目のような「石目」があります。方向によって硬さが違うのです。研磨工は、削る面が最も軟らかい方向を向くよう慎重にセットします。時間のかかる、骨の折れる工程でした。この技術は企業秘密として守られ、16世紀にベンヴェヌート・チェッリーニが回顧録を出すまで、外には知られていません。

だから初期のダイヤは、結晶の形をほぼそのまま活かした形でした。八面体を研磨・劈開しただけのポイントカット。14世紀に出現し、先端を削り取ったテーブルカット。そして15世紀初頭に導入された、平底でドーム状のローズカットです。ローズカットは失う重量が少ない一方、ファイアやブリリアンスは減ります。

■技術が形を変えた──ブルーティングとソーイング

形を大きく変えたのは、二つの技術です。

一つ目は、ブルーティング。ダイヤに別のダイヤをすり合わせてガードルを形づくる工程で、機械によるブルーティングは1820年代に導入されました。これによって、丸い石を数多く生産できるようになります。

二つ目が、20世紀初頭に導入されたダイヤモンド・ソーイング、つまり切断です。これが決定的でした。それまでは八面体の結晶ひとつから、研磨された石はひとつしか取れませんでした。歩留まりを最大にするため、石は高く、かさ張り、膨らんだクラウンと深いパビリオンを持つ形になります。切断できるようになると、ひとつの原石から大きい石と小さい石の二つが取れる。かさ張ったクラウンは低くなり、テーブル面は大きくなりました。小さい石の供給も増えます。

そして1919年、マーセル・トルコウスキーが、ブリリアントカットにおける光の屈折を数学的に分析した結果を出版します。最高の光学的性能をもたらす角度とプロポーションを確定する試みでした。ここで初めて、ダイヤの形に数字の裏づけができたのです。

■いまも形は歩留まりで選ばれている

モダンラウンドブリリアントは57面です。クラウン側に33面、パビリオン側に24面。キューレットに面を作れば58面になります。光の分散とブリリアンスを引き出す形です。

ただし、原石が変わった形をしていたり、色やインクルージョンに事情があれば、ラウンドは最適ではありません。そこで使われるのがファンシーカットです。ラウンド以外のすべてを指します。そして、新しいファンシーカットが開発される第一の理由は、研磨業者が求められる価格水準に合わせるため、原石からの歩留まりを高めることにあります。

冒頭の数字がそれです。幅6ミリの八面体からラウンドなら0.90カラット、四角いプリンセスカットなら1.00カラット。四角い形のほうが八面体の結晶に適合しやすいためです。カラット重量の回でお話ししたとおり、1カラットは価格が跳ね上がる節目です。形の選択は、そのまま金額の選択でもあります。

なお、理想的なカットの角度が1種類だけだとは、今日の業界では考えられていません。魅力的な石を生む、少しずつ違うプロポーションが数多くあるとされています。

■まとめ

ダイヤの形は、美しさだけで決まってきたのではありません。削れなかった時代は結晶の形が形になり、ブルーティングとソーイングが形を変え、1919年に数学が入りました。そしていまも、形は歩留まりで選ばれています。

■受け継いだダイヤをお持ちの方へ──買取の見極め

だから、受け継いだ指輪のダイヤが今の形と違っていても、おかしなことではありません。それは、その石が作られた時代の証拠です。古いリングは拡大鏡で見るとファセットのエッジが摩耗していることもよくあります。

一つだけお伝えしたいことがあります。削り直せば、重さは必ず減ります。ですから、手を入れる前に、まずは今のままお見せください。リファスタでは、その石が天然か、処理か、合成かという見極めと、形と状態の確認を拡大モニターに映し、お客様と一緒に行います。LINEでの無料相談、公開している買取価格表、そして1点ごとの明細書で、価値の根拠を正確にお伝えします。

【買取サービスのご案内】

リファスタは東京池袋店・大阪心斎橋店の2店舗です。ご来店は完全予約制、定休日は毎週水曜・日曜です。LINE査定・宅配買取は全国対応で受け付けています。


※本レポートは情報提供を目的としており、投資・売却の判断を推奨するものではありません。

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杉兼太朗
専門家

杉兼太朗(貴金属・宝石・ブランド品買取業)

ラウンジデザイナーズ株式会社 リファスタ

貴金属、宝石、ブランド品を買い取り、価値を正当に評価して次世代へとつなぎます。無料LINE査定や宅配買取にも対応し、急な資金の用立てや、終活、遺品整理といった幅広い顧客のニーズに寄り添います。

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